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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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「続・続・最後から二番目の恋」じんわりと温かい世界観

2025年04月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

前シーズンにはなかった「老いと死」も

じんわりと温かい世界観で描かれる

 

小泉今日子×中井貴一

「続・続・最後から二番目の恋」

フジテレビ系

 

小泉今日子と中井貴一のダブル主演「続・続・最後から二番目の恋」(フジテレビ系)が始まった。

2012年に第1期、14年が第2期だったから、吉野千明(小泉)や長倉和平(中井)とは11年ぶりの再会になる。

何より、2人の関係性が大きく変わっていない様子にホッとする。

ちょっとしたことで口論になることも、それでいて互いに認め合っていることも以前と同じだ。長倉家のリビングで交わされる日常会話にも心地よい懐かしさがある。

その一方で、2人ともちゃんと年齢を重ねている。千明はテレビ局の定年まで1年を切った59歳。和平は定年後も市役所で働く63歳。

今回は前シーズンにはなかったテーマが織り込まれている。それは「老いと死」だ。

千明は平坦な舗道で転倒し、和平の肩は当たり前のように痛む。しかも千明の上司と和平の同期が突然亡くなり、それぞれにショックを受ける。

千明が言う。「さみしくない大人なんていない。大人は自分の時間が有限なことも、今から素晴らしい大きなことが起きないことも知っているから」。

老いはリアルタイムの現実であり、死も遠い未来のことではない。

千明が続ける。「でも、老いることを一緒に笑ってネタにして共に生きる人がいれば、何とか乗り切れるんじゃないか」。

脚本の岡田恵和が描き出す世界観は、今回もじんわりと温かい。

(日刊ゲンダイ「TV見るべきものは!!」2025.04.22)

 


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