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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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NHK土曜ドラマ 「正義の天秤 season2 」今や亀梨和也の代表作

2023年05月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

 

 

NHK土曜ドラマ

「正義の天秤 season2 」

今や亀梨の代表作と言っていい

 

元外科医の異色弁護士、鷹野和也(亀梨和也)の再登場だ。NHK土曜ドラマ「正義の天秤season2 」である。

鷹野は恩人の佐伯弁護士(中村雅俊)が急死した事務所に助っ人として入った。呼んだのは佐伯の娘で弁護士の芽依(奈緒)だ。

第2話では人気俳優・泉(矢野聖人)の覚せい剤所持事件が扱われた。

泉は「警察にハメられた」と主張するが、薬物常習者であることも分かっている。そんな泉を弁護することに悩む芽依。彼を逮捕した山本警部補(田中要次)に過剰捜査の有無を確認するが、山本は自殺してしまう。

超自信家で傲岸不遜な鷹野。今回も芽依はポンコツ扱いだ。「弁護士なら感じるな、考えろ!」とブルース・リーの逆を説く。

そして法廷では、山本を助けようと違法捜査に手を出した女性警察官に向って、「正義と関わる者は、何が正しくて何が間違っているのか、わからなくなることがある。そんな時、大事なことは徹底的に悩むことだ」と語りかける。

違法捜査による証拠は効力を持たない。幹や根に毒があれば、果実も有毒と見なされる。それが「毒樹の果実」だ。無罪となった泉だが、後に薬物で再び逮捕された。

亀梨は、感情を表に出さない鷹野の内面まで丁寧な演技で表現している。だからこそ、法廷での逆転劇に強いカタルシスが生まれるのだ。今や亀梨の代表作と言っていい。

(日刊ゲンダイ 2023.05.17)