碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

いまもっとも輝いている女優は?「週刊現代」でのコメント

2022年05月23日 | メディアでのコメント・論評

 

 

【最新版】

いまもっとも輝いている

「令和イチの女優」の

ベスト50を大公開…!

 

女優は時代の花だ。今回、いままさに咲き誇る一流女優たちのランキングを作成した。

前編記事『【最新版】抜群に演技のうまい女優は誰か…? 令和のイチの「ヒロイン」ベスト50をランキング』に引き続き、ドラマや映画、芸能全般に造詣が深い識者にアンケートを実施し、女優たちについて5つの要素を各10点、50点満点で採点してもらい、令和最高のヒロインを決定する。

樹木希林の再来か!?

上位を見渡すと演技派がズラリと並ぶ。11位の吉高由里子(33歳)は現代風のドラマでこそ生きる女優だという。作家の宝泉薫氏が言う。

「平成後期に流行った単なる『お仕事もの』のドラマはいまは受けない。令和のドラマは働く女性であっても、恋愛や家族の問題など、あらゆる葛藤を持つタイプの女性が描かれている。吉高はそうしたリアリティのある女性を演じるのが、抜群に上手い」

これらの演技派女優たちから頭一つ抜けて演技力1位に輝き、総合でも5位に食い込んだのが伊藤沙莉(28歳)だ。

前出の碓井氏が言う。

「美人女優ではないですが、あえてそこを武器にして女性の内部に秘めている妬みをうまく表現することができる。

NHKドラマ『これは経費で落ちません! 』('19年)では、主演の多部未華子の後輩役で仕事ができない経理部員を演じていましたが、一言一言がリアルで面白く、『こういう人いるよね』と思わせる力がある。このまま女優として成熟していけば樹木希林さんのような名女優になる逸材です」

前出の太田氏は声も伊藤の大きな武器だと言う。

「ハスキーで特徴的な声も一度聞いたら忘れられない。アニメ『映像研には手を出すな! 』('20年)での声優の仕事や、玄人の間で評価の高かったドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』('21年)のナレーションでも活躍されています」

その『大豆田~』で主演を務めたのがランキングで3位となった松たか子(44歳)だった。

「松本白鸚を父に持ち、生まれた時から歌舞伎や日本舞踊が側にある環境で育ってきているので、細かな所作からしてほかの女優とは違う。軽やかな気品があり、セリフ一つ言うだけでも重みや響きが実に心地いい」(碓井氏)

松は『HERO』('01年)など高視聴率ドラマで見事にヒロインを演じてきたキャリアも評価され、9・2点で「実績」はトップだった。

松を僅差で上回り、2位となったのが、綾瀬はるか(37歳)だ。

「女優にはどんな作品であってもその人の存在感を出すタイプと、作品の中に溶け込むタイプがありますが、綾瀬さんは後者です。自然体で何気なくドラマや映画の世界に溶け込んでいく。だから、幅広い役柄を演じられる」(太田氏)

なるほど、『ホタルノヒカリ』('07年)のようなコミカルな役、大河ドラマ『八重の桜』('13年)のような歴史もの、現在放送中の『元彼の遺言状』のやり手弁護士とどれも見事にはまっている。

「グラビアからキャリアを始めたこともあり、抜群のプロポーションも大きな武器です」(太田氏)

そして、1位に輝いたのは長澤まさみ(34歳)である。5つの要素ですべて高得点だが、とりわけ7・7点を獲得した「セクシーさ」は彼女の大きな魅力だ。

「単にスタイルが良いとか、きわどいシーンが演じられるからセクシーというわけではありません。彼女は何でもないシーンでちょっと潤んだ目を見せるだけで見る人の心を奪う力がある。

近年の彼女の代表作である『コンフィデンスマンJP』('18年)はコメディ作品ですが、詐欺師を演じる彼女が場面ごとに多様な衣装を着こなし、それがまた色っぽい。

30代に入り、味のある脇役も見事に演じるようになっている。『すばらしき世界』('21年)では主演の役所広司の脇で、したたかなテレビ局のプロデューサー役をこなしました。3番手、4番手の役でも輝きを放てる」(影山氏)

今回、ベスト50に名を連ねた女優はいずれも後世まで名を残す一流女優ばかりだろう。あなたのお気に入りの女優は何位だっただろうか。令和のヒロインたちのさらなる活躍に期待したい。

(『週刊現代』2022年5月14・21日号より)

----------

週刊現代が独自にリストアップしたトップ級女優60名以上について、5つの要素を各10点、満点を50点として碓井広義氏、影山貴彦氏、木俣冬氏、宝泉薫氏、太田省一氏、近藤正高氏が採点。識者の採点の平均点を算出し、ランキングを作成した。5つの要素の評価基準は次の通り。

「美貌…顔の造形やスタイル、画面に映える美しさ」、「演技力…表現力、役の幅の広さなど芝居そのものの力量」「セクシーさ…色っぽさ。ラブシーンなどでより魅力的になる」「露出度…現在、ドラマ・映画の出演数が多い、話題作に出ている」「実績…高視聴率ドラマや評価の高い映画に多く出演してきた、映画祭などで受賞歴があるかどうかなど、いままでのキャリアを総合的に評価」