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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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週刊現代で、「令和最高の女優」についてコメント

2022年05月11日 | メディアでのコメント・論評

 

女優は時代を映す鏡だ。昭和、平成と移ろいゆくなかで、ときを彩る女優像も変わってきた。

元号が改まって丸3年が経つ。コロナ禍に翻弄され、あっという間に過ぎ去った感が強いが、新時代にあっても女優たちは百花繚乱だ。

本誌は今回、この令和の時代に輝きを放つ女優たちのランキングを作成した。ドラマや映画、芸能全般に造詣が深い識者にアンケートを実施し、女優たちを5つの要素を各10点、50点満点で採点してもらい、令和最高のヒロインを決定した。

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若手世代のなかで、昨今最も躍進が目覚ましいのが、上白石萌音(24歳)だ。今回は総合7位にランクイン。

元上智大学文学部新聞学科教授でメディア評論家の碓井広義氏が言う。

「上白石さんの芝居を見ると、不思議と応援したくなる気持ちが沸いてくる。視聴者を引き込む『健気さ』を持つ女優だと思います。加えて演技力も高い。『カムカムエブリバディ』(`21年)では夫の戦死の知らせが来て、妻役の上白石さんが泣きながら外に出ていって街をさまようシーンがありました。『稔さん、稔さん』と夫の名前を13回連呼するんですが、1回ごとに夫の名前を叫ぶニュアンスを変えていたんです。感情の揺れ動きをここまで仔細に表現できるというのは、とてつもない才能です」

『カムカム』で上白石と一緒の主役を演じた深津絵里(49歳)と川栄李奈(27歳)もそれぞれ、26位と29位にランクインした。

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演技派女優たちから頭一つ抜けて演技力1位に輝き、総合でも5位に食い込んだのが伊藤沙莉(28歳)だ。

前出の碓井氏が言う。

「美人女優ではないですが、あえてそこを武器にして女性の内部に秘めている妬みをうまく表現することができる。NHKドラマ『これは経費では落ちません!』(`19年)では、主演の多部未華子の同僚役で仕事ができない経理部員を演じていましたが、一言一言がリアルで面白く、『こういう人いるよね』と思わせる力がある。このまま女優として成熟していけば樹木希林さんのような名女優になる逸材です」

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『大豆田とわ子と三人の元夫』(`21年)で主演を務めたのがランキングで3位となった松たか子(44歳)だった。

「松本白鷗を父に持ち、生まれた時から歌舞伎や日本舞踊が側にある環境で育ってきているので、細かな所作からしてほかの女優とは違う。また名家出身でありながらも軽やかな気品さを合わせ持つのが彼女の魅力です。演技力はもちろんのこと、セリフ一つ言うだけでも重みや響きが実に心地いい」(前出・碓井氏)

松は『HERO』(`00年)など高視聴率ドラマで見事にヒロインを演じてきたキャリアも評価され、9・0点で「実績」はトップだった。

週刊現代 2022.05.14/21)