碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

民放連賞の発表

2015年09月19日 | テレビ・ラジオ・メディア



17日に、日本民間放送連盟賞(民放連賞)が発表されました。

昨年6月から今年5月までに放送された番組が審査対象となっています。

私が審査委員を務めている「放送と公共性」をはじめ、番組各部門と特別表彰部門の最優秀賞は以下の通りです。

おめでとうございます!


【ラジオ】
報道=宮崎放送「機銃掃射に怯えた日々~昭和20年宮崎の空の下で」

教養=山形放送「未完の五線紙~戦没作曲家・紺野陽吉が託した音楽」

エンターテインメント=北日本放送「高原SONGS~富山に歌う」

【テレビ】
報道=山口放送「奥底の悲しみ~戦後70年、引揚げ者の記憶」

教養=テレビユー福島「TUFルポルタージュ ふつうの家族 ある障がい者夫婦の22年」

エンターテインメント=テレビ東京「家、ついて行ってイイですか?」

ドラマ=中京テレビ「マザーズ」

【特別表彰】
青少年向け=テレビ山梨「ウッティ発!アンニョンハセヨ!ワタシ桑ノ集落再生人」

放送と公共性=福井テレビ「アーカイブスを地域に活かす~『人道の港』番組制作と教育活用」


書評本: 真山 仁 『ハゲタカ外伝 スパイラル』ほか

2015年09月19日 | 書評した本たち



火山の噴火、地震、大雨、洪水、そして安保法案と、どうにも重たい秋になっています。

本の世界では、村上春樹さんの新刊エッセイ『職業としての小説家』を読んでいる秋、ということになりますが、これまでのエッセイとはまた違った意味で面白い。

こんなふうに、作家としてのこれまでや、芥川賞について、村上さん本人が語る日が来ようとは。

「ふむふむ」や「なるほど」の言葉もたくさん。

重たい秋を払拭とはいきませんが、気持ちの支えとなる一冊に感謝です。




「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本でした。

濱谷浩:著、多田亞生、片野恵介:監修 
『生誕100年 写真家・濱谷浩』

クレヴィス 2401円

戦前からの写真家である濱谷が、マグナム・フォトで日本人初の寄稿写真家となったのは昭和35年。安保闘争で亡くなった樺美智子さんを捉えた1枚もある。「モダン東京」から「戦後昭和」まで200点が並ぶ。「雪国」や「裏日本」は民俗学的価値も高い。


真山 仁 『ハゲタカ外伝 スパイラル』
ダイヤモンド社 1620円

シリーズ最新作にして、初のスピンアウト書き下ろし。企業買収の奇才・鷲津政彦と戦い続けてきた、事業再生家・芝野健夫が主人公だ。舞台は芝野が転じた大阪の町工場。高い技術力を持ちながら経営難にあえぐ零細企業の現実を踏まえ、緊迫の攻防戦が展開されていく。


四方 洋 『新聞のある町~地域ジャーナリズムの研究』
清水弘文堂書房 1620円

元「サンデー毎日」編集長が注目するのは地域紙だ。ブロック紙や県紙よりも小さなエリアを対象とした、地域密着型新聞である。登場するのは、北海道の十勝毎日新聞から熊本県の人吉新聞まで26紙。現地取材で見えてくるのは、報道以上の役割を担う真摯な姿だ。 


成毛眞、折原守 『国立科学博物館のひみつ』
ブックマン社 1994円

猛烈な博物館マニアと前副館長による科博マニアックツアーだ。樹木、鉱物、動物を手掛かりに列島を縦断するかと思えば、何万年もの歴史を遡る。科博は多様なジャンルのマニアやファンに開かれたワンダーランドだ。標本という“実物”の力は測り知れない。

(週刊新潮 2015.09.17号)