碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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映画「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」の完成・公開に拍手!

2015年09月24日 | 映画・ビデオ・映像



現在、旧知の方たちが携わった映画が公開されています。

まずは、「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」を見てきました。

世界の小麦の70%以上の基となった「農林10号(ノーリン・テン)」の育種者で、第2次世界大戦後の世界的な食糧危機を救い、「農」の神様と呼ばれた稲塚権次郎の半生を仲代達矢の主演で描く。農学校卒業後、農家の跡取りとして農作業に勤しむ権次郎だったが、彼の向学心がやむことはなかった。親戚の応援を受け、東京で育種家の道を歩んだ権次郎は、その生真面目な性格から、周囲からは変人扱いされながらも研究に没頭した。のちに妻となるイトとの出会いや、世界を救うこととなる「小麦農林10号」育種の成功など、稲塚権次郎の生涯と彼が生きた時代が描かれる。監督は「仲代達矢『役者』を生きる」などのドキュメンタリー映画を数多く手がけ、稲塚氏の遠戚でもある稲塚秀孝。

稲塚権次郎は実在の人物で、「現在の“こしひかり“の基となる種や小麦の代表品種“農林10号“を生み出し、世界の飢餓を救った男」です。

タイトルの「NORIN TEN」は、小麦の農林10号のことなんですね。

明治末期に生まれた権次郎は、実に真面目な人です。

東京帝大の農学部で学んだエリートですが、当時の貧しい農家を救いたいという思いから、「美味しくて収量が高い米」を生み出すことを目指します。

「育種家」という言葉も、この映画で知りました。

戦争末期の中国に赴任していた権次郎夫妻は、戦後まで苦労するのですが、農業に対する真摯な姿勢は変わりません。

この映画もまた、生真面目で、誠実な作品でした。

私にとって、稲塚秀孝監督は、テレビマンユニオン時代の先輩です。

映像監督の中堀正夫さん、音響監督の菊池正嗣さんも、ずっとお世話になってきた方たち。

特に中堀さんは、故・実相寺昭雄監督のまさに片腕であり、現在も実相寺研究の集まりで、ご一緒させていただいています。

“無私の心”で厳しい時代を生きた、ひとりの男を描く。

そんな稲塚監督の思いを、中堀さんや菊池さんたちが支えて、完成した作品です。

たくさんの皆さんが見て下さるといいな、と思いました。

【気まぐれ写真館】 渋谷 2015.09.23

2015年09月24日 | 気まぐれ写真館