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碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

大河ドラマ『軍師官兵衛』は、「朝鮮出兵」をどう描く?

2014年01月28日 | メディアでのコメント・論評

発売中の「週刊ポスト」最新号に、大河ドラマ『軍師官兵衛』に関する記事が掲載されました。

テーマは、秀吉の「朝鮮出兵」をどう描くのか。

うーん、脚本家も制作陣も、結構悩むところではないでしょうか。

記事では、歴史学者や時代考証の専門家などと並んで、話をさせていただきました。

以下は、私の「予測」部分です。

記事全体は、ぜひ本誌をご覧ください・・・・


テレビドラマに詳しい上智大学の碓井広義教授は、朝鮮出兵を「全く描かないわけにはいかない」としてこんな描写を予想する。

「現地ロケは不可能だし、中途半端に出兵を大きく取り上げると韓国の怒りに油を注ぐ。結局はピンポイントで1シーンのみ描くなど、イメージ映像で処理すると思います。

本当に最小限の描写にとどめるというならば、『~がありました』とナレーションだけの紹介もありえますが、そこまで及び腰になっては作品としてのクオリティが落ちる。賛否はあろうと、朝鮮における官兵衛の業績は、史実としてきちんと映像化してほしい」

(週刊ポスト 2014.02.07号)



・・・・大河ドラマとなると、内外からさまざまな注目のされ方をします。

「歴史認識」といった言葉も出てくるでしょう。

まあ、「外交問題に発展」なんてことにならなければいいのですが(笑)。


蜷川幸雄『演劇の力』の面白さ

2014年01月28日 | 書評した本たち

蜷川幸雄さんの新刊『演劇の力』(日本経済新聞出版社)が面白い。

特に、収録されている「私の履歴書」。

たくさんの人たちが日経新聞に「私の履歴書」を連載してきたが、その中でもベスト5に入る面白さだ。(現在進行中の小澤征爾さんの回想も素晴らしい)

以下の言葉は、蜷川さんの「履歴書」から。


「ぼくの演出する舞台は開幕からの三分を大切にする」

「制約をばねにして新しい表現を生む。それがぼくの行き方だった」

「演出家の仕事は八〇パーセントが俳優やスタッフとのコミュニケーションに費やされる。売れない俳優が現場で感じたあれこれが、演出家の勉強になったと思っている」



・・・・蜷川演劇の核心に迫る一冊、というのはオーバーかもしれないが、創造の秘密の一端を垣間見ることができるのは確かです。





今週の「読んで、書評を書いた本」は、次の通りです。

堺屋太一 『団塊の秋』 祥伝社

土屋達彦 『叛乱の時代』 トランスビュー

森 功  『平成経済事件の怪物たち』 文春新書

秋山 駿 『私の文学遍歴~独白的回想』 作品社

神足裕司 『一度、死んでみましたが』 扶桑社

安野光雅 『会えてよかった』 朝日新聞出版


* これらの書評は、
  発売中の『週刊新潮』(1月30日号)
  読書欄に掲載されています。