『東京新聞』の連載コラム「言いたい放談」。
今回は、富良野での番組収録について書きました。
対談 倉本聰VS.鈴井貴之
北海道・富良野に行ってきた。
脚本家の倉本聰さんにお会いするためだ。
いや、それだけではない。
プロデューサーとして対談番組を収録してきたのだ。
対談の成否はテーマと組み合わせで決まる。
今回、倉本さんと向き合ったのは鈴井貴之さん。
ローカル番組でありながら、全国的な人気を誇る「水曜どうでしょう」で、大泉洋さんとコンビを組んできた“あの人”だ。
鈴井さんは俳優であるだけでなく、自ら脚本を書き、舞台の演出や映画監督もする、一種のマルチ・クリエイターである。
共に北海道を拠点に創作活動を続ける倉本さんと鈴井さん。
この二人が「テレビの現在」をめぐって対談をしたら、どんな話が飛び出すだろう。
そんな素朴かつ強烈な興味からこの企画は生まれた。
いわば、「テレビによるテレビ論」の試みだ。
対談は延々二時間に及んだ。
ただし番組枠は三十分しかない。
残念ながら、かなりの部分をカットせざるを得ないが、必ず入れたい発言がいくつもある。
たとえば、「創作」という言葉について倉本さんはこう語った。
「知識と金で、前例にならってつくるのが“作”。
金がなくても智恵で零から前例にないものを生み出すのが“創”。
今のテレビは創が僅かで、作ばかりが横行しているのではないか」
自戒を込めて、番組の中で使わせていただくつもりだ。
(東京新聞 2011.07.13)