goo blog サービス終了のお知らせ 

碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

『週刊ポスト』で、“民放19時台総1ケタ”についてコメント

2011年07月07日 | メディアでのコメント・論評

6月14日に民放各局19時台の視聴率がすべて1ケタだったことが、『週刊ポスト』今週号で記事となった。

若者のテレビ離れが加速しており、20代男性の13.5%が「テレビを観ない」という調査結果なども伝えている。


テレビ視聴率暴落 タブーな内幕
ついに19時台の民放全局がひとケタに


テレビ朝日の人気バラエティ番組を数多く担当するゼネラルプロデューサーが、ツイッターでつぶやいたこんな一言が大きな波紋を呼んでいる。

「ついに昨日、19時台の民放は全局、視聴率が1ケタになった(関東地区)」

6月14日、民放各局19時台の視聴率は日本テレビ9.4%、TBS8.3%、フジテレビ9.7%、テレビ朝日8.1%、テレビ東京5.1%となっている。

ニュースを報じるNHKはかろうじて15.1%を記録したが、「ゴールデンタイム」(19時~22時)のスタートを切る花形の時間帯としては、惨憺たる結果である。

ゴールデンタイムの視聴率は下落の一途をたどっている。総世帯視聴率(地上波のテレビ放送を観ている世帯の割合)は、90年代後半には70%あったが、現在は63%台にまで落ち込んでいる。

この傾向は3.11の東日本大震災以降、拍車がかかっている。

都内に住む50代のサラリーマンは、会社から帰って観るゴールデンタイムのバラエティ番組が何よりの楽しみだった。ところが最近、テレビの電源をつける気すらしないという。

「震災以降、気が滅入ってテレビ番組どころじゃないという理由もある。でも、それより何より、どのチャンネルをつけてもつまらなくて観る気がおきないんです。

少し前までのテレビ番組は、どんなに低俗だとバカにされようが、新たな試みで視聴者を楽しませようという気概にあふれていた。

なのに最近は、お気軽なクイズ番組ばかりで、まったくオリジナリティがない。これじゃ本当にテレビが好きなファンほど、離れていくのも当たり前ですよ」

この男性の苦言は、決してテレビ番組のトレンドがわからない「中年のぼやき」ではない。実は視聴率急落を牽引しているのは、20代の若者たちの「テレビ離れ」なのである。

アスキー総合研究所が調べた「各世代の1日のテレビ視聴時間をまとめたデータ」によると、なんと20代男性の13.5%が、テレビを「視聴していない」と答えている。 

また、今年に入って発表された「2010年 国民生活時間調査報告書」(NHK放送文化研究所・有効回答者4905人)というアンケートでは、テレビの視聴時間が最も長いのは70歳代で、どの曜日も男女とも1日4時間半以上であるのに対し、10~20歳代の男性の平均視聴時間は1日2時間を切っている。

上智大学文学部教授で、『テレビの教科書』(PHP新書)などの著書がある碓井広義氏はこう指摘する。

「BS、CSなどのチャンネルが増えたことによる多チャンネル化と、インターネット普及による多メディア化が最も大きな要因でしょう。

もはや、テレビにとってこれまで通りの番組作りは通用しない。

若い世代に“テレビはネットよりつまらない”という価値観が浸透し始めている。

“民放19時台総1ケタ”のニュースは、テレビにとってまさに“終わりの始まり”かもしれない」


(週刊ポスト2011年7月15日号)




<このブログ内での関連記事>

「民放全局の19時台視聴率が1ケタに」という局Pの嘆き 
2011年06月18日
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/f6ca8ae4ff182e094eddb132e6e05f2f