昨日(22日)発売の『週刊現代』。
「ホームレスにテレ朝(「スーパーJチャンネル」)が謝るまで」という特集記事が掲載された。
この中で、コメントさせていただいている。
記事の内容は、1月20日の『スーパーJチャンネル』の中で流された特集VTR「氷点下の札幌ホームレス~恋人に真実隠し、さまよう40歳男性」で、報道番組らしからぬ“演出”、もしくは“作り方”が行われていたのではないか、というものだ。
この男性は、派遣会社に登録していたが「半年前から派遣の仕事が激減。今は日雇いの仕事もほとんどない。帰る家も頼る人もいない。所持金は約千円」という。
寝る場所もなく、厳冬の街を歩き回る。
VTRでは、彼と「一か月前、路上で知り合った」という56歳の失業者が登場。40歳のホームレスは、56歳の失業者から“説教”される。
数日後、男性はハローワークにいた。「今日は(仕事が)なかったけど、明日もまた来ます」と前向きに語り、VTRは終わる。
ところが、この男性の告発によれば、「説教」のシーンや、「ハローワーク」の場面が、実は、ディレクターからの依頼によるものであり、失業者とは「知り合い」ではなかったし、就職活動をする意思もなかった、というのだ。
ちなみに、ホームレスの男性も、失業者の男性も、それぞれ5万円の報酬をディレクターから受取り、番組出演を承諾していた。
確かに、他にも“演出”と呼ぶには危ういものが散在している。
この件に関して、VTRや資料を検討した上で、記者さんに話をさせていただいた。
例によってコンパクトにまとめられ、掲載された私のコメントは・・・
「H氏(失業者の男性)が蝦名氏(ホームレスの男性)に説教する部分と、蝦名氏がハローワークに行くシーンは、完全なやらせと言われても仕方ありません」
そして、記事の最後に・・・
「札幌では放送されないと聞いたうえで出演を了承した蝦名氏も、このストーリーを真実だと思って見ている視聴者も被害者」
「また、こうした作り方は、同じテーマをまっとうに取材しようとする他の制作者の道を阻(はば)むことになってしまう。テレビ界にとっても大きなマイナスでしょう」
望ましい“シチュエーション(状況)”や、あって欲しい“取材対象(人物像)”など、制作側が事前に考えていたことが、実際の取材現場で崩れることは当然のように起こる。
むしろ、思ったように撮れることのほうが少ないはずだ。
そんなときに、どう対応するのか。
ドラマでも、バラエティでもない、報道番組の取材方法が問われるところだ。