ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

まだ〝八十八夜〟ではないけれど…、

2020年04月20日 | 俳句

 昔小学唱歌で「茶摘」という歌を、みなさんきっと一度や二度は歌ったことがあるでしょう。

 〝夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る あれに見えるは茶摘ぢゃないか あかねだすきに菅の笠〟と。

 俳句で〝八十八夜〟は春の季語になっています。立春から数えて八十八日目のことで、今年は閏年(うるうどし)でしたので、5月1日が八十八夜になります。昔から「八十八夜の別れ霜」といって晩霜を恐れたようですが、これを過ぎると気候も安定するため、農家にとっては種まきや茶摘みなどの農事の目安となる大切な日だったのです。まさに夏を迎える前の、生命力に満ちた明るい季語なんです。しかし、その字面から夜の情景に詠まれることの方が多いようですが、立春から八十八日目という意なら昼間の景でもかまわないんですよ。

 先ほど歳時記をめくっていると、次の句を見つけました。

  八十八夜茶うまし今を生きてこそ     

 これは、「馬酔木」同人で大先輩の木村風師(かざし)氏の句ですが、私は氏の名前だけで実際にお会いしたことがありません。そこで、略歴を簡単にご紹介します。

 木村風師は、大正9年1月1日福岡市生れ。昭和23年「馬醉木」入会。昭和47年「鯱(しゃち)」同人。昭和48年俳人協会会員。昭和59年「馬醉木」同人。昭和61年「曙」同人、発行所・発行人。平成9年第一句集『素描』、平成18年第二句集『瑞光』出版。馬醉木賞受賞。福岡市文学賞受賞。福岡俳人協会賞受賞。平成24年1月逝去。享年92。

 私が覚えていることといえば、目が悪くて、確か全く見えなくなられても毎月欠かさずに投句されていたということと、風師という俳号が北九州市にある「風師山(かざしやま)」から付けられたということぐらいなんです。

 ちなみに、風師山は北九州市門司区、関門海峡に突き出た企救(きく)半島の先端にあります。風師岩頭(かざしがしら)、風師山、風師南峰の3つの峰があり、山頂からは、眼下の関門海峡に巌流島や関門橋、さらには周防灘や玄界灘の絶景を見ることができ、北九州市民に親しまれて、全山が公園になっています。

 さて、氏の第二句集出版が平成18年ということなら、私が同人になった後ですから、もしかしたら句集の贈呈に与っているかもと思って本棚を捜してみると…あっ、ありました!礼状を書くのに絶対一度は読んでいるはずなのに…殆ど記憶にございません。トホホ…でも〝あとがき〟はかすかに覚えていました。

 その本には、「謹呈 失明後の十年間の作品をまとめ、…」と、ありました。句集『瑞光』は、平成9年から18年までの388句を8章に分けて所収されていて、最後の平成17年から18年の章「今生」に、上掲の句は掉尾から3句目に収められていました。〈今を生きてこそ〉に実感が籠もっていますね。このとき氏は86歳、目が見えなくなって10年…今こうやって生きているからこそ八十八夜の新茶を美味しいと思って飲めるのだという喜びが、特に〈こそ〉に溢れています。もし今お元気でしたら99歳…。このコロナ騒ぎを知らずに逝かれたのはよかったかも。ああ、平成28年に亡くなった母や春郎先生も…み~んなこのコロナの恐ろしさを味合わずにすんだのは幸せだったと思いましょう。だって、このところ益々死者が増えていますし、コロナに罹った人の話を聞くととても苦しかったとかいうんですもの…

 句集については、長くなりそうですので次に紹介したいと思います。では、なぜテーマに〝八十八夜〟を選んだのかといいいますと…今日はそれをお話ししますね。

 実は我が家の恒例の〝茶摘〟を、本日やったからなんです。2本しかないお茶の木ですが、もうこんなに芽が伸びて、八十八夜を待ってたら伸びすぎになり固くなってしまいます。ということで、今日は一番茶を摘み、5月1日の八十八夜には二番茶を摘もうということに…。このところ毎年5月を待って摘んでいたのですが、まるで番茶のように茎が固く大きくなっていてダメだったんですよ。これも地球温暖化のせいかな。

 写真で見ても分かるように、もうこれ以上伸びるといけません。一番柔らかい上3枚の葉を摘むんです。二番茶はこの後にわき芽が出ますので、それを摘みます。茶摘みをした後、私がちょっとのつもりで草などを取ってから家に戻ったとき、もう主人がお茶に仕上げていました。なんと手際の早いこと、びっくりです。そのやり方は、まず摘んだ茶葉を洗って蒸します。それを時間があれば天日干し、早くしたかったらレンジである程度乾燥させます。それを最後はフライパンで焦がさないようにから煎りすれば、できあがり。量が多いとなかなか乾かないので大変なんですが、ちょっとの場合はこれで十分に飲めるようになります。

 

 それでは、まず一番茶を…そう、できたての新茶を淹れて飲んでみることにしました。お茶請けは石垣島名産の〝しょうが糖〟。見栄えは悪いですが、ほうじ茶ですから香りがよくて…ほら、美味しそうにみえませんか? ハイ…ごちそうさまでした!

 ちょうどコロナばっかりの毎日ですので、これで退屈しのぎになりました。よかった、よかった!

 


コメント (6)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« コロナにはもう飽きましたの... | トップ | 今日は野鳥の話でも… »
最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2020-04-21 06:53:54
おはようございます。
 実際の茶摘みの時期を知ることができました。とても参考になり役立ちます。有難うございます。
調べてあることによると「2番茶、3番茶は、夏茶ともいわれ6月中旬、7月下旬から茶摘みがされ、3月から9月にかけて出荷されています。
鹿児島で秋冬茶として10、11月に摘まれるお茶は、カテキン(渋み)が多くなって地元で砂糖を入れて飲まれます。」としています。確認しながら記載しているのですが?
 情報交換ができてとても役立っています。
返信する
Unknown (翡翠)
2020-04-21 09:17:02
ちわき先生

おはようございます(*^-^*)

新茶大好きです~(^^♪
毎年同じ茶園から取り寄せています。

子供の頃に、母がお茶の木があるよって
言って摘んで来て 家で炒ったことがありました。
お茶って、こうやって作るんだーと見入っていました。

新茶と一緒に和のスイーツも楽しみます(*´▽`*)

返信する
Unknown (ちわき)
2020-04-21 09:26:39
コメント有難うございます。
俳句では季語が一番重要なのですが、このところ…というよりこの地球温暖化が騒がれ出して、それがどんどんエスカレートしていく昨今、季語の解説と時期のずれが一段と感じられます。日本列島だけでも北から南へと長いですからかなりの温度差がありますものね。これも最近はおかしくなっていることも…
だから昔に書かれた解説などは非常なずれがあったりして、説明に困ることがあります。自然の状況でさえそうですから、ましてや人工的に手が加えられたものにはもう季節感というものの失われている方が多いですね。
お茶なども新芽さえ出て、それを摘めば出来るのですが、やはり一番最初に出た新芽が苦味がなく甘くておいしいのです。何でも初物がいいのも自然の理なんでしょう。
返信する
Unknown (ちわき)
2020-04-21 09:40:02
翡翠さん、お早うございます。
あなたもお茶や和菓子などには目がない方ですよね。いや、スイーツは全部かしら…。私もですが。
始め頃は手順通りの方法でお茶作りをして大変な思いをしましたが、今ではこんなに簡単に…。以前は蒸したての熱いものを揉んでいたから手が痛くって…これは絶対に素人には無理ということ。かつて棚田のオーナーをしていたとき、この方法を教えて貰ったんですよ。素人が作るのならこの程度で十分と!
やっぱり一番茶なので渋みが殆どありませんでしたよ。
返信する
贅沢ですね~ (ミルク)
2020-04-21 11:50:22
息子共々お茶大好きです♪
ご自宅で摘んだ新茶をすぐさま、頂けるなんて至福のお茶タイムでしたね。
北限のお茶が秋田県能代市にあります。
いったん途絶えたのですが、若い人が残っていた木から復活させたんです。
返信する
Unknown (ちわき)
2020-04-21 15:01:22
あら、知りませんでした。お茶の木はどこにでもあるかと…そう、北海道でもと思っていましたから、考えてもみませんでした。
秋田県能代市が北限なんですか?なんだか新しいことを発見したみたいでうれしい!鹿児島にもあったし、熱帯でも高地で栽培していて、ネパールに行ったときに緑茶があったんですよ。だから寒い地方のことは全く考えもしませんでした。
ミルクさん、いいこと教えてくれてありがとう!
返信する

コメントを投稿

俳句」カテゴリの最新記事