ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

兼題は〝星月夜〟でした!

2021年10月13日 | 俳句

 今日は朝から曇で時々は晴れ間も見えましたが、なんとも湿度が高くて…一日中80%以上はあったでしょうか。だから蒸し暑くて不快指数の高いこと!

 さて、昨日はM俳句教室、兼題は〝星月夜〟でした。本当はこれは先月の兼題だったのですが、コロナで会場が使えなくなって中止、それで持ち越しになったものなんです。

 この季語を、星と月が出ている夜だと思う人が初心者には多いですね。今回はよく説明しておきましたので、そういう間違いの句はありませんでした。

 「星月夜」というのは、月のない夜空が星明りで月夜のように明るいことをいうのですが、昔ならいざ知らず現代の電化生活ではこんな夜空を見ることは滅多にないでしょう。特に都会ではね。だから高い山の全く明りのない頂上近くの小屋やテントなどで体験するぐらいでしょうか。そういえば私はヒマラヤ・トレッキングに行ったとき、4000メートル近くのタンボチェから見た星空はまさしくこの星月夜でしたよ。

  豪雨止み山の裏まで星月夜

 この句の作者は、山岳俳人で有名な岡田日郎(おかだ にちお)。本名は岡田晃、1932年東京生まれ。福田蓼汀(ふくだりょうてい)の「山火」に投句、1951年より同編集人。蓼汀の没後、1990年より「山火」主宰を継承。1993年、句集『連嶺』で第32回俳人協会賞。山岳俳句を多く詠み、『山の俳句歳時記』などの著作もある。(Wikipediaより)

 次の写真は、俳人協会の俳句カレンダー(平成23年8月)に載った日郎氏の書かれた色紙。その下は、俳句文学館発行の新聞に載ったこの句の解説文です。

豪雨止み山の裏まで星月夜 岡田日郞

 「庚申山・庚申山荘。日本百名山中もっとも手こずったのは皇海山である」と作者の『自疏句集山』にある。
 皇海(すかい)山登頂は、3度までも天候の急変等により阻まれる。昭和63年、4度目の挑戦。山荘の夕べは、凄まじい豪雨に見舞われた。しかし夜半に目覚め外に出た作者の頭上には、満天の星が清らかに輝いていた。
 皇海山登山の前山である庚申山は、曲亭馬琴の『南総里見八犬伝』の奇々怪々な一舞台でもある。
 山小屋の屋根を打つ激しい雨音、窓ガラスを叩く雨しぶき、豪雨は時には山崩れを引き起こし、人を死に陥れることもある自然の猛威である。しかし一方では、あらゆるものを浄化する大いなる力ともいえる。
 掲句の魅力は「山の裏まで」という表現の圧倒的な存在感であろう。岳人の孤独な魂は「地球」という星の運行と天空の星の運行とをひたと見届けた。稜線を煌めきつつ昇ってきた星は、作者に啓示を与えた。
 直視・直観・直叙に基づきながらも、悲しいまでに美しい宇宙の真理を捉えた。透徹した山岳美の世界である。(乘田眞紀子)

 ちなみに、皇海山は栃木県日光市と群馬県沼田市との境界にある山で、足尾山地に属し、標高2,144m。日本百名山の一つです。

 今回の最高点句は、〈明日登る槍の山影星月夜〉でした。〝これは創作かしらね〟と言うと、〝いいえ、本当に登りました〟と作者。〝エエッ、いつ?〟〝昔、若いときに…〟なんですって。やっぱり…作者のTさんがこの教室で一番若いんですが、そういってももうお孫さんがいる年ですものね。

 この句はこれでいいとは思うのですが、登るとあれば槍だけで分かるでしょうからできれば山影を削りたい。またこのままでは中七から下五へのリズムがちょっと息苦しいでしょう。そこで〈明日登る槍前方に星月夜〉としました。

 皆さんも2ヶ月ぶりの教室で生き生きとして、やっぱり俳句は〝連座の文芸〟ですね。こういうのは充実感があって、疲れても快いものですよ。皆さんもいかがですか。( ^_^)

コメント (6)
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