橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #364 ≪思い込み≫ 

2019年02月22日 | EHAGAKI

お世話になります

今朝ラジオで紹介していた本です
ベストセラーです

「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」
ハンス・ロスリング (著), オーラ・ロスリング (著), 
アンナ・ロスリング・ロンランド (著)
<10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣>

ラジオで聞いてkindleのサンプルのみで書いております

まずはクイズです
※答えは最後に再度書いております

質問1 
現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう? 
A 20%
B 40%
C 60%

質問2
世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう? 
A 低所得国
B 中所得国
C 高所得国

質問3 
世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、 
過去20年でどう変わったでしょう?

A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった

質問4
世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?

A 50歳
B 60歳
C 70歳

質問5
 15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。
 国連の予測によると2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
A 40億人
B 30億人
C 20億人

 質問6
国連の予測によると、2100年にはいまより人口が40億人増える
とさ れています。人口が増える最も大きな理由は何でしょう?
A 子供( 15歳未満)が増えるから
B 大人(15歳から74歳)が増えるから
C 後期高齢者(75歳以上)が増えるから

質問7
自然災害で毎年亡くなる人の数は、 
過去100年でどう変化したでしょ う?
A 2倍以上になった
B あまり変わっていない
C 半分以下になった

※質問8は図を使っているのでここでは割愛します 


質問9
世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して予防接種を
受けている子供はどのくらいいるでしょう?
A 20%
B 50%
C 80%


質問10
世界中の30歳男性は、平均10年間の学校教育を受けています。
同じ年の女性は何年間学校教育を受けているでしょう?
A 9年
B 6年
C 3年  


質問11 
1996年には、トラとジャイアントパンダとクロサイはいずれも
絶滅危惧種として指定されていました。
この3つのうち、当時よりも絶滅の危機に瀕している動物はいくつでしょう?
A2つ 
Bひとつ 
Cゼロ


質問12
いくらでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう? 
A 20% 
B 50%
C 80% 


質問13
グローバルな気候の専門家は、これからの100年で、
地球の平均気温はどうなると考えているでしょう?
A暖かくなる
B変わらない 
C 寒くなる 


このクイズ、多くの人が間違えるそうです
たとえ優秀な人でも

たとえば3問目、極度の貧困についての問題
 過去20年で極度の貧困層はここ20年で半減しました
素晴らしい出来事です
しかしこれほど初歩的な世界の事実も広くは知られず
平均正解率7%、正しく答えられたのは10人に1人もいなかったそうです

9問目、ワクチンについて
今や、世界の殆どの子供がワクチンを接種しているのです
しかし殆どの人はその事実を知らず 平均正解率はわずか13%

一方、最後の地球温暖化については86%の人が正解
予測が知れ渡ってることがわかります

ただ、正解率が高かったのは地球温暖化の質問だけ

仮にチンパンジーにバナナを使って同じクイズをしたとします
勿論、意味が解りませんが、想像するに正解率は33%に近くなります
チンパンジーは適当にバナナを拾うだけで、高学歴の人に勝てる

何も知らなかったらチンパンジーと同じ点数であろう
では知識があるのにそれ以下なのか
情報をアップデートしていないからか

どうもそれだけではなさそう
「ファクトフルネス」の著者によると
人は、世界を悲観的にとらえる傾向がある、としています

ということで、この本のサンプルはここまで
気になる方はご自分で本を買うなりダウンロードするなりして下さい

思い当たる「思い込み」
この本の目次を記しておきます
クイズの回答は最後に


第1章 分断本能 
「世界は分断されている 」という思い込み 
第2章 
ネガティブ本能
「世界はどんどん悪くなっている」という思い込み
第3章 
直線本能 
「世界の人口はひたすら増え続ける」とい思い込み
第4章 
恐怖本能
危険でないことを、恐ろしいと考えてしまう思い込み
第5章 
過大視本能
「目の前の数字がいちばん重要だ」という思い込み
第6章 
パターン化本能
「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
第7章 
宿命本能
「すべてはあらかじめ決まっている」という思い込み
第8章 
単純化本能
「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み 
第9章
犯人捜し本能
「誰かを責めれば物事は解決する」という思い込み
第10章
焦り本能
「今すぐ手を打たないと大変なことになる」という思い込み


ということでした
「ボーっと生きてんじゃねぇよ!」と言われたくないものです

ではまた




◆問題/回答

質問1 
現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を修了するでしょう? 
A 20%
B 40%
C 60% 〇 
質問2
世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう? 
A 低所得国
B 中所得国 〇
C 高所得国
質問3 
世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、
 過去20年でどう変わったでしょう?
A 約2倍になった
B あまり変わっていない
C 半分になった 〇
質問4
世界の平均寿命は現在およそ何歳でしょう?
A 50歳
B 60歳
C 70歳 〇
質問5
 15歳未満の子供は、現在世界に約20億人います。
国連の予測によると2100年に子供の数は約何人になるでしょう?
A 40億人
B 30億人
C 20億人 〇
 質問6
国連の予測によると、2100年にはいまより人口が40億人増えるとさ れています。
人口が増える最も大きな理由は何でしょう?
A 子供( 15歳未満)が増えるから
B 大人(15歳から74歳)が増えるから 〇
C 後期高齢者(75歳以上)が増えるから
質問7
自然災害で毎年亡くなる人の数は、 過去100年でどう変化したでしょ う?
A 2倍以上になった
B あまり変わっていない
C 半分以下になった 〇

※質問8は図を使っているのでここでは割愛します 

質問9
世界中の1歳児の中で、なんらかの病気に対して
予防接種を受けている子供はどのくらいいるでしょう?
A 20%
B 50%
C 80% 〇
 質問10
世界中の30歳男性は、平均10年間の学校教育を受けています。
同じ年の女性は何年間学校教育を受けているでしょう?
A 9年 〇
B 6年
C 3年  
質問11 
1996年には、トラとジャイアントパンダとクロサイはいずれも
絶滅危惧種として指定されていました。
この3つのうち、当時よりも絶滅の危機に瀕している動物はいくつでしょう?
A2つ 
Bひとつ 
Cゼロ 〇
質問12
いくらでも電気が使える人は、世界にどのくらいいるでしょう? 
A 20% 
B 50%
C 80%  〇
質問13
グローバルな気候の専門家は、これからの100年で、
地球の平均気温はどうなると考えているでしょう?
A暖かくなる 〇
B変わらない 
C 寒くなる


EHAGAKI #363 ≪みんなって誰≫

2019年02月07日 | EHAGAKI

お世話になります

「買って、買って、みんな持ってるもん!」
「みんなって、何人?」
「3にん」

こんな会話、ありませんでした
「みんな」って何人?誰?

ということで今回のお題は「みんなって誰」であります
ネットから拾ったネタです

まずは日経新聞から

◆ ◆ ◆ ◆
日経新聞 2019/2/1付「春秋」

・オジサンって何歳からですか? 
男女1500人に博報堂生活総合研究所が尋ねた回答結果の平均値は43歳

・「日本の人口は約1億3千万人だが、このうち何人以上の意見なら世論
といえますか」という問い?

結果は見事にバラバラ
回答者の11%が1億人以上、8%が5千人未満の数字を挙げ、
1人と答えた人もいた

・みんなそう言っているぞ。みんな持っているんだから。
私たちが口にする「みんな」とは何か?

もう大衆などいない
これからは個人の時代だ
そう言われて久しい
ソーシャルメディアを舞台に、新たな「みんな」意識が生まれつつある

自分の好みに合う意見ばかり表示
たけだけしい投稿が目立つ
少数者を「みんな」だと感じやすいのがソーシャルメディア

過激なネット世論は時に社会を分断し、選挙も動かす
◆ ◆ ◆ ◆  

一致するオジサン像、一致しない世論というところでしょうか

この調査をした博報堂・生活総合研究所さんの見解は
「"みんな"(衆)というものをもう一度フラットに、
新しく捉え直す必要があると考えています」
いわば、現代の「新しい大衆論」とのこと


◆ネット炎上は「世の中のみんなから叩かれている」ように見えますが
実はそうではないらしいです

「ネット炎上の研究」田中辰雄、山口真一著、の調査によると、

炎上に参加した経験のある人は、ネット利用者全体の1.5%
そのうち1年以内の"炎上現役参加者"に限ると0.5%程度しか存在しない

炎上している当事者を擁護した経験がある人が3.1%も存在する
という意外な結果もあります

「見せかけの"みんな"」が多いことがわかります


◆蔓延する “みんな化語”の5つのタイプ

みんな基準をこしらえる「みんな化語」
内濱 大輔/博報堂生活総合研究所 上席研究員
https://www.huffingtonpost.jp/seikatsusoken/all-02_a_23531749/  から

◆ ◆ ◆ ◆  
先日、私が帰宅のために電車に乗っていた時のことです。
とある駅で20代とおぼしき女性が電車に駆け込んできました。
空いている車内でなんなく座席についた彼女は、
リュックからごそごそとパンを出して頬張り始めました。

乗客たちが思い思いにスマホを眺めて過ごしていた21時頃の車中
その彼女がほんのふたくちほどパンをかじった時、
その緩やかな空気が一変しました。
彼女の隣に座っていた70代くらいの男性が突然大声をあげたのです。

「そんなもん家で食え! 日本の恥だぞ!」

そう切って捨てるように言うと、男性はすぐに到着した次の駅でドカドカと
下車してしまいました。
彼女は声を出すこともできず、パンをそそくさとリュックにしまって、
もうその男性が居なくなっているにも関わらず、
座席で小さく丸くなっていました。

確かに電車内での食事はマナー違反だと考える人も一定数いると思います。
ただ、彼女は「日本の恥」として叱責されるほどのことをしたでしょうか。
少なくとも私は、混んでいない車内で、匂いもしないパンを食べた程度では
まったく気になりません。

私が思うに、「日本の恥」と言うとき、
その男性は幻の"みんな"をねつ造しています。

俺だけが怒っているのではなく、日本の"みんな"が怒っているのだと。
彼女により強力なダメージを与えるために、そして、
彼自身が日本国民の代弁者であるかのような全能感を得るために、
彼は主語を"私"から"みんな"にすり替えたのです。

このように、主語を大きくするタイプの言葉というものがあります
他の例では、女性が「女はお前みたいな男が嫌いなんだよ」と言う場合、
個人ではなく性別代表になってしまっています。

それでは、「みんな化語」はどのような場面で
どんな機能を果たすのでしょうか。

生活者の体験談を集めるため、博報堂生活総研が実施したweb調査で、
20~60代の男女に「みんな化語」の定義を説明した上で、
実際に「みんな化語」を人から使われた時のことを自由回答で
書いてもらいました。

そして、調査人数1,500人のうち、563人の方から寄せられ
体験談をもとに、「みんな化語」の機能を5パターンに分類しました。

1.権威づけする
個人の意見よりみんなの意見にした方が、
発言が強力になることを狙ったものです。
生活者への調査でも、子供が親に玩具を買って欲しくて
「みんな持ってるよ。だから買って」という場面で頻出しており、
「みんな化語」の使用例で、最も多いタイプになっています。

2.自己陶酔する
1つめのエピソードで、「国民の恥だ!」と叱責した男性の例は、
1の動機もありますが、自分が国民代表であるかのように
自己陶酔することにも動機がありそうです。
1が他者への説得力を重視しているのに対して、
2は自己満足している側面があります。
他の例では、一個人が「あの人の行動は国益に反する」と言うときなどに、
この動機が潜んでいる場合があります
(もちろん、まっとうな意見の場合もありますが)。

3.責任転嫁する
調査では、次のような事例を教えてくれた生活者がいました。

「駐車違反も、みんながやってるから、しょうがいないよね」
「(私のような)年寄りはモノが捨てられないから、
断舎利は苦手なんだよ」

このように、「自分個人としては、駐車違反は良くないと思う
/持ち物は整理した方が良いと思う」という体裁を示しつつ、
「でも、みんなそうじゃないのだから、しょうがないじゃないか」
と"みんな"に責任転嫁をする用法です。

もちろん、ここで出ている"みんな"は本当に全員なのではなく、
イメージ上でつくられたものです。

4.包摂する
1~3の「みんな化語」は、虚像の"みんな"を引き合いに出して
自分の主張をするような用法ですが、「みんな化語」には
誰かを擁護するようなポジティブな機能もあります。

調査で生活者が書いた事例のなかに、次のようなものがありました

「これでいいのだ」
これは、故?赤塚不二夫氏の作品中の名言。
バカボンのパパが、毎話のはちゃめちゃな展開の末、
それでも最後に全状況を肯定する決め台詞です。

「これでいいのだ」が個人の視点からではなく、
"みんな"をより大きくした"神"のような視点に立った大局的な
言葉使いだからこその効果です
(バカボンのパパは作品中ではある意味で"神"の位置にある
キャラクターとも言われています)。

この「みんな化語」は、例えば誰かが仲間外れの疎外感を
持っているとき、「それでもあなたは、間違っているのではなく、
いいことの範疇に入っているのだ」
と包み込んでくれる言葉にもなりえます。

いわゆる均一的な"大衆"が存在していた漫画連載当時、
バカボンのパパは常に異端者を演じていたわけですが、
ライフスタイルが多様化した現在は
いわば異端者だらけの時代とも考えられます。

そんな現代で、この台詞はより輝きを増しているのかもしれません

5."みんな"をジェネレートする
自分の本音を代弁するために「みんな化語」を利用するだけでなく
「みんな化語」を使うことによって
事後的に"みんな"の実態が生まれることもあります。

例えば、残業を重ねるような労働者が依然として多い日本ですが、
「お前の働き方はもう古い」と「みんな化語」によるダメだしを
一斉にしはじめることで、実際にスマートな働き方の人が多数派の
"みんな"になっていくことがありうるでしょう。

「多数派の中に入っていたい」と思う人間心理を反映していますよね。

"みんな"をジェネレートするという機能については、
日本語の文字・語彙・意味の史的研究を専門とされている
小野正弘教授(明治大学文学部)から
2つの興味深いポイントを教えて頂きました。

1つは、「みんな化語」が地域コミュニティを作っていたという点

少し前までの日本では、地域ごとに必ず世話焼きな人がいて、
「みんな○○なのよ」という話を方々でして回ることで、
結果的に地域の情報がひとつになっていた側面があったのだそうです。

もう1つは、もっと昔の飛鳥時代に活躍した
歌人の額田王(ぬかたのおおきみ)について。

彼女は戦場に向かう船団が船出を見計らって待機していた時、
船団全体の「いつが船出なのだろう?潮も満ちたしそろそろか?」
という空気が閾値を超えたのを察知して
「今こそ船出の時だ」という歌を詠んだという学説があるそうです

これから進軍しようとする全体にきっかけを与え、
意気を高めたんだとか...。

全体のまだまとまっていない空気をひとつにして、
"みんな"をジェネレートするためには、それに先んじて
「みんながこう考えている」と「みんな化語」を発する
人の存在が不可欠だということです。

実は、効果的な広告や話題になるキーワードも、
実態より一歩だけ先んじて
「みんな化」している場合が多いと思います。

◆ ◆ ◆ ◆  

ということでした

大きな流れは個人に向かう時代ですが、
全体に戻ろうとする流れとせめぎ合っている、
と言えるのではないかと愚考する次第です

また「買い物」から個性が消えつつあるそうです

支出に占める割合が増加しているのは通信費や教育費、保険医療費
特にスマホなどの普及で、通信費の占める割合は大きく増加

一方、衣料費や教養、娯楽費、交際費、こづかい費の割合は軒並み減少
買い物に個性が出る領域に回るお金が少なくなっているようです

アルゴリズムは、その人の行動履歴から、
その人に最適な"人並み"や"流行"を見せるようになっています

みんなが見ている「みんな」が実は個別バラバラに提示されているのです

みんなって誰だ?
現在進行形の難題であります


ではまた