橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #353≪物語りに長けたものが世界を制する≫

2018年05月24日 | EHAGAKI

お世話になります

携帯電話や商品についての問い合わせ 電話をすると散々待たされ、たらい回しにされ、結局解決しない!

各種ネットでの手続き、散々悩みながら最後の申込をクリック!・・・タイムアウトで一からやり直し!

こんな経験は誰しもあるかと思います
先般「わたしは、ダニエル・ブレイク」という映画を観ました

巨匠ケン・ローチ監督が引退を撤回してまで描きたかったという題材  現在のイギリスの貧困、格差を助長する複雑で理不尽な制度を描いた映画でした

福祉制度→民間委託→オンライン化=人間の尊厳を無視

これを観て昔の落語を思い出しました 「ぜんざい公社」です

役所がぜんざいを売りだす、それを食べに行くと、典型的な“お役所仕事”それを徹底的に揶揄した落語です

しかしこの落語(昭和30年台作)は、役所側も人間、まだ温かみがあります
映画の方はそれが無い、同じ人間が定められたコト以外の言葉を発しない不気味さ、やり切れない現実を突きつけられます

福祉のことはともかく、これを販売、販売促進、マーケティングに置き換えると何が必要で、何が不必要(=やってはいけない)かが見えてくる、と愚考します

今回のお題は
「ニハチの法則」「パレードの法則」であります

前フリと本題とがしっくりと繋がっていない気もしますが、たまたま観た映画、たまたま読んでた本だった、ということでご容赦下さい


◆ ◆ ◆ ◆

参考図書)
「ファンベース ~支持され、愛され、長く売れ続けるために」
佐藤尚之著 ちくま新書 

今回は主に前半部分を拾い読みしました


1.状況
2020年、女性の半数が50歳超え
2024年、全国民の3人に1人が65歳以上
2026年、高齢者の5人に1人が認知症患者となる
2030年、団塊世代の高齢化で、東京郊外にもゴーストタウンが広がる
(『未来の年表』(河合雅司著,講談社現代新書)より)

消費はどうなる?
社会の先行き への不安、自身の健康不安、
老老介護などの出費を考え、消費を控え始める

また、高齢者は保守的傾向
好奇心は漸減し、新しい技術や革新的な商品に懐疑的で、謂れのない恐怖心すらもっている
使い慣れた商品のほうが安心、つまり新規の商品に手を出さない


2.傾向
「百貨店」では、顧客数の上位20 %で売上の6割強を占めるという報告がある

「雑誌」では、上位21.1%の人が総数の71.5%を、「Web」では20.1%の人が総アクセス数の63.8%

「コンビニ」では20.8%の 人が利用総数の58.5%を占める

「家事の宅配サービス」において「3回以上リピートしてくれている定期顧客」が全体の約27%で売上の約75%以上を支えていた

新国立劇場は3.3%の超高関与層(コアファン)と10 %の高関与層(ファン)で売上の2/3を上げている

ある書店チェーンでは約30 %の顧客が売 上の80 %を支えている


パレードの法則、20 : 80の法則、ニハチの法則

「全顧客の上位20%が売上の80%を生み出している」


3.事例1
カゴメトマトジュースでは、上位2·5%のコアファンが全売上の30〜40 %を占めているとわかった
1日220円以上、年間にして8万円以上カゴメ商品を購入するコアファン層がカゴメの売上を支えていた

このコアファン層が少しずつ離れていっていることにカゴメは危機感を持った
そこでコアファン層とのつながりをより強くするために「& KAGOME」というコアファン限定のコミュニティ·サイトを作った

カゴメの重友大輝さんはこう語っている
「何百万人、何十万人といった会員数の規模をウリにするコミユニティではなく、カゴメ商品が大好きで実際に日々ご購入いただいている上得意顧客が集まる場を作る」
  つまり、コアファンと濃密につきあうことによって、彼らの気持ちが離れるのを防ぎ、収益を安定させようとしている


4.事例2
紙の雑誌の凋落が言われて久しいが、創刊30周年目の老舗雑誌である『レタスクラブ』が、ある日から急に売れ出した
「売れ出してからもネット上でもSNS上でも誰も何も言わなかった」という
松田編集長によると、完売するようになってからも、誰ひとり 『レタスクラブ』を褒めたりしなかった

ところが 、ずいぶん経ったある日、あるネットメディアが『レタスクラブ』の急伸を取り上げ、また、ある読者が『レタスクラブ』が面白くなっ た理由を挙げつつ、まとめサイトを作った
その途端、今まで無言だったファンたちが至る所から現れ、「最近の『レタスクラブ』おもしろいよね」「私、昔から『レタスクラブ』大好き!」などと投稿しだした

そう、『レタスクラブ』のファンは「褒めていいのかどうか、友人に薦めていいのかどうか、自信がなかったのだ
メディアが取り上げたり、友人が褒め出したりして、一気に「あ、褒めていいんだ」「『レタスクラブ』を 好きな自分ってイケテルんだ」「友人に薦めてもバカにされないんだ」とわかり、今まで閉じていた口を開き始めた


5.つまり
価値観が近い人が愛用しているモノは自分も愛用する可能性が高い

世の中に様々な情報が砂嵐のように吹きすさぶ今、これはありがたい
もちろん、昔からクチコミの威力はずっと語られてきたが、その威力と重要度が、今ほど重要になっている時代はない


6.情報量
今ほど「企業からの都合のいい一方的な情報」が受け取られにくい時代はない
情報の数は世界中の砂浜の砂の数より多い……ほぼ無限

2020年には、45ゼタバイト流れると予測されている
つまり、世界中に砂浜が今の45倍あるとして、その砂浜のすべての砂粒分の情報が世の中に流れる、ということ  無限にもほどがある

「あなたが伝えたい情報」は、それがたとえ数億バイトの情報だとしても、分母が無限なので、「砂の一粒」程の小さな存在になる
大切な商品の存在も、吹きすさぶ砂嵐の中の小さな一粒

情報の砂嵐に巻き込まれて認知されない
奇跡的に届いたとしても、次から次へと流れてくる新しい情報に対応することに精一杯で、人は 「自分に関係ないと思われることをすぐに記憶から消去する
たった十数年前なら情報が今より圧倒的に少なかったので、企業から の情報もそれなりに受け取れたが


7.類友は最強メディア
類は友を呼ぶ、の類友である

「ソーシャルウェブの登場により、多種多様な人々と交流することが可能になった」と いう考えを抱いてしまうかもしれない。
しかし実際は、私たちは自分に似た人々としか交流していない。
これは「ホモフィリー(同類を好む傾向)」と呼ばれ、さまざまな角度から研究されてきた現象であり、ソーシャルネットワークにおける基本的な構造のひとつである。
『ウェブはグループで進化する』(ポール·アダムス著,日経BP 社)

人は、類友=強いつながりの人、5~15人程度と、そこに準ずる弱いつながりの人50~500人程 度とつながって生きている
あなたの周りには必ず類友(強いつながりの人)がいる
あなたの価値観の変化によって年々入れ替わっていくが、必ずいる

彼ら彼女らは同類だから話もしやすいし趣味も合う
だからその言葉には耳を傾ける

類友の体験や意見は、自分にとって役に立つ確率がとても高い
だから、ある商品を類友が「自分の言葉」で褒めてもらいたいから、まったく関心ない商品だとしても「へー、それ良さそうかも」と心を動かされる


8.ファンベース
ファンとは少数であり、全体の20%くらいである
ファンは買ってくれた人の20%くらい、5人買ってくれたらそのうちの 1人がファンになってくれる人、つまり少数派だ
その少数派である20%を大切にし、作り育てるのがファンベースである

一番間違えがちなのは「全員にファンになってもらいたい」と望んでしまうこと
全員の課題を解決したい。その気持ちはよくわかるが、残念ながらそれは無理

世の中にはいろんな価値観の人がいる


9.中学のクラスを思い出しす
あなたが「価値観近いな ぁ」「なんか気が合うなぁ」と親しく思ったのは、ほんの数人ではなかったか?

例えば40人クラスで10人いなかったのではないか?
感覚では、パレートの法則ではないが、20 %くらい ( 40人クラスだと8人) 。
もっとすごく気が合って親友になる人は、20%の中の20%、つまり、4%(40人クラスだと2人弱)くらいか

10.コアファン
大切にしている価値を支持してくれるファンもそんなもの
ファンで20%くらい、コアファンで4%くらい

そう、少ない
つまり「全員をファンにしよう」とすると、ファンができにくいし、今いるファンが離れる場合もある


11.経験上
特にメーカーの人は、商品を愛するあまり「商品を買ってくれた人すべてがファン」と考えがちな人が多い
ファンは買ってくれた人の20%くらいである


12.ファンの支持を強くするための3カ条
その価値自体を、アップさせること
その価値を、他に代えがたいものにすること
その価値の提供元の評価·評判を、アップさせること


13.常連さんは少数
友人のカフェやバーをやっている人たちは「常連さんは10%から30%くらい」と口を揃える
そし て、その常連さんたちが売上の80 %くらいを上げる大黒柱であることも共通 している

あなたの店が大切にする価値を支持し、気に入って通ってくれて、喜んでお金を払ってくれる人は20%くらいの少数派である
逆に、あらゆる人に好かれるように、内装を変え料理を変えサービス を変えると、あなたの店の「価値」が大好きな常連さ んたちは離れる
店は浮気者の浮動層で一瞬は賑わうが、そのうち他店との安値合戦に巻き込まれ、疲弊し消耗し、衰退していく


14.ファンの言葉を傾聴する
ファンの言葉の中に、企業がまだ気づいていない「共感ポイント」が たくさん隠されている
それを詳しく知ることはファンベースの出発点

そこに焦点を当てて改良、改善していくことで「価値」はより高まっていく

15.ファンであることに自信を持ってもらう
ファンは意外と自信がない
そこで、他のファンの言葉に触れやすいようにして、自分が支持している「価値」に自信を持 ってもらうことが必要
それは共感を高め、ファンからのオーガニ ックなオススメを起こりやすくする

16.ファンを喜ばせる
新規顧客ではなく、その「価値」を支持しているファンを「いの一番に優先する姿勢」を明確にする
そしてファンをもてなし、喜ばせる
それはファンの共感を強め、価値への支持も強める


17.商品に物語をまとわせる
友人からプレゼントをもらうのは、なぜあんなにうれしいのか?
モノが溢れるこの時代、モノ自体に感動することは少なくなった

では、 何に感動する?
プレゼントしようと自分のことを考えてくれた「想 い」がうれしい
プレゼントを選ぶために使ってくれた「時間」が うれしい
プレゼントを探すために動いてくれた「努力」がうれしい

それらこそが、単なる「モノ」を、他に代えがたい「コト」に変えてくれる

毎日の生活の中で、そのモノを見るたび使うたびに、友人の顔を思い出す
心が温かくなる
日々の生活で手放せない大事な 品になる
それが「愛着」だ


18.物語をまとったコト
企業もブランドも商品も一緒である
生活者の課題を解決するためにどれだけの「想い」があったか
多くの人がプロジェクトに携わり、どのくらい「時間」をかけたのか
そして、どのくらい生活者のために試行錯誤し「努力」したのか

そういう物語がファンに愛着という感情を起こさせる


◆ ◆ ◆ ◆


ということでした

久々に“さとなお”さんの語るような本を読みメモしてみました
そしてインディアンの言葉を思い出しました

物語りに長けたものが世界を制する(ホピ族)


ではまた