すこし寂しいお話になりまがご容赦下さい
親指と他の4本の指をこすり合わせると左手に比べて右手が滑らかになっ ています 今の私の右手に残った感触です
先般 私の母の四十九日法要がありました 実家の仏壇で供養し その後 近くのお墓へ 火葬し体の各部位を丁寧に収めた“骨壷”とは別に ほとんどすべての骨 を30センチほどの木箱に入れ自宅に持ち帰っておりました そしてその 骨をお墓に埋葬します “骨壷”は数年自宅にお祀りし その後納骨する のが私の実家あたりの慣わしの様です
お墓に着き まず墓石の前面 下の方にある石を移動します お花台の石 もあり狭いので私1人で作業しました その石をどけると小さな穴があり ます 周囲の細かい石などを綺麗にし中を覗くと 骨らしきものが見えま す おそらく19年前に亡くなった父親のものだと思います そこへ木箱に入った母の骨を入れていきます 狭いので木箱から直接入れ ることは出来ません 手のひらに持てる分だけ持ち 少しづつ収めていき ました 火葬されたその骨の なんと軽いことか 彼女の72年間の最後の姿を手 のひら 指で感じながら 身内の者の眼差しを感じながら 収めていきま した 手に残った感触は軽石の様な母の骨の感触です
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昨年11月 癌が発見された時はすでに末期状態でした 入退院を繰り返し放射線 抗がん剤と治療し ある程度回復した時期もありましたが 根本的なものではなく5月からは積極的な治療はしておりませんでした
ほとんど食事を口にすることもなくなり6月から週末のみ外泊し「7月1日の誕生日は何食べたい?」などと話をし なんとか72歳の誕生日を迎 えてほしいと祈っておりました 誕生日を待ていたかのようにその後容体が急変し 3日の朝 逝ってしま いました
昨年9月 嫁のお母さんが突然亡くなられ 驚き戸惑い まだ心が整理出来ていないままでした 二人の母親は時折連絡を取り合い仲良くしていた ようです あちらで私達(私と嫁)の悪口でも言ってくれていれば良いのですが
嫁のお母さんからは「端正であること」イメージとして“実” を 私の母からは「人として本当の強さ」“芯” というイメージを また久しぶりに(遺骨を)見た父からは「わずかでも必要不可欠なミネラルの様に趣味などの大切さ」 “風”を 教えられたように感じています
身内や身近な人の不幸が続く 当然辛いものですが二人の母を見習い 明るく陽気に行きたいものです
もし優しく力強いメロディーでも浮かんだら その曲のタイトルは“Two Mothers”にしようと決めています
#163 ≪Two Mothers≫2007.8.30