橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #313 ≪多様化する≫

2015年12月19日 | EHAGAKI
お世話になります
あわただしい師走となり、何かとご多用のことと存じます
いつもながら呑気なブログで申し訳ありませんが、お時間のある時にでも眺めて頂ければ幸いです
 
多様な情報があり、そこから自分の好みを見つける喜び(音楽など)
まったく知らなかった情報に接した時の驚き
現代社会の大きなメリットであると感じています
 
多様化することに意味がある、様々な人がいて、様々な意見があり、互いに認め合う
そういう世の中を願っている私であります

さて“情報”

「情報をどう活かすか」的な書物は巷に溢れていますが、あまり読む気にはなりません
先般、金融機関から送られてくるFAXに以下の様な内容がありました
 
貴重な情報を活かすために
ポイント1 集めた情報を基に「書く」「話す」
ポイント2 情報の裏側を読む
ポイント3 「人」に聞き、「現場」に行く
ポイント5 情報を置き換える
ポイント6 反対意見を活かす

それはそうなんでしょうが、そう頭ごなしに言われてもねぇ、と思ってしまいます
 
先般、とある忘年会で料理の話に
最近、たしかTVで観たと思うんですが、、、、と紹介したのが
 
■おでんでは難しい玉子? お揚げさんに、卵を割り入れ半熟に、時短で旨し。トマトも

それはスゴイと皆さん褒めて頂きました
 
もう一品
■「切干大根をヨーグルトでもどす」というのも紹介しましたが、これは食いつきが悪かったです

■おでんの取皿の脇の辛子、いつの間にか溶けて無くなってる? 
どうすりゃいい? お造りの醤油皿を使えばイイ!
 
と、ちっぽけな情報でした
 
情報といえば、昔も今も“本”であります
単に情報としてだけでなく、装丁、紙の質感 等々 モノとしての魅力が本にはあります

文字情報だけではなく、本と触れ合うことにより入ってくる情報は、時として「いつどこで読んだか」ということも含めて頭に残ることがありますよね
 
また、読みすすめられず投げ出す本もあります
それも手の届くところに置いておくと、また読みたくなる、ということも
 
数日前に、私の中では、一回戦敗退の本を手にとりました
 
 
 
難しい本なので、すべて読むのではなくパラパラと見て、一部だけを読み、一部だけを理解する、ということを試してみました
 
■ ■ ■ ■ ■
 
 
■第6章 生・性・死
「性と死」123P~126Pからだけの“情報”です
 
メモ)
細胞には、原核細胞、一倍体細胞、二倍体細胞の三種がある
(二倍体の変形で三倍体などもある)
 
細胞はどれも分裂して増える
原核細胞と一倍体真核細胞はほぼ無限にふえる能力をもっているが、二倍体細胞はある回数ふえると死んでしまう
 
バクテリアや酵母菌は、本質的に死がないのに、多細胞が生まれたことによって死という概念が登場した
二倍体細胞だけでは途絶えてしまう、さあ困った、そこで二倍体細胞では一度一倍体細胞になり、接合でもう一度新しい二倍体細胞として甦るという方法、つまり有性生殖が工夫された
 
生あるところに必ず死がある、という常識は、私たちが二倍体細胞からできた多細胞だから
本来、生に死は伴っていなかった、性との組み合わせによって登場したのが死
逆に言うと、死をもつ二倍体細胞がなんとかして命をつないでいこうと工夫したのが性
 
有性生殖は、無性生殖と比べて相手を必要とする為、不便
不便だからといって面倒と言ってる場合じゃない、死んでしまう
ではなぜ死を伴う二倍体という選択をしたのか?
 
なぜ? どうどうめぐりで答えは難しい
 
しかし事実がある
人間も含め、地球上の生物の多くは、二倍体細胞の多細胞生物として存在し、有性生殖をし、その結果、細胞に死だけではなく個体の死を存在させるような生き方をしているという事実
 
こうして得たものは何か?
 
多様性であると考えられる
 
無性生殖では同じ細胞が増えるだけなので本質的には多様化は望めない
時々変異がおき、環境にうまく適応し新しい性質として残るということが稀におこるかも知れないが
 
単細胞生物の世界でも、単に同じ細胞が増殖し続けているのではなくDNAのやりとりがダイナミックに行われ多様性は起きている
ただ有性生殖をすると、これまでにない組み合わせのゲノムをもつ新しい個体ができる
これは無性生殖の世界には無く、唯一無二の個体づくりこそ有性生殖の意味であり、それこそが私たちが得られた、多様性である
 
■ ■ ■ ■ ■
 
ということでした
 
こじつけかも知れませんが、
 
人間が生物として本来持っている“意志”
知らず知らずのうちに秘めている“想い”、
 
本来、我々人間は“多様化する”ことを欲している、と愚考する次第です
 
今年最後のEHAGAKIとなります
よいお年をお迎えください

ではまた

EHAGAKI #312≪夜中の電話その2≫

2015年12月12日 | EHAGAKI

お世話になります

感動するのはアナウンサーではない。
感動は視聴者のみなさんにおあずけするもの。

NHKのスポーツアナの先人で名フレーズを連発した山本浩さんはこう言われたとか

ラグビーワールドカップの南アフリカ戦、NHKの豊原健二郎アナ、NHKらしからぬ熱い絶叫で
「行けえ~! 行けえ~!、行ったあ~! トラーイ! ニッポン、ニッポン! 逆転!」

と、ほとんど涙声でありました そしてその後の35秒間の沈黙、これは見事な実況でありました(もっとも「しゃべらなかった」のではなく「しゃべれなかった」という説もあるようですが)

元ネタ

仕事もまた、とかく勝負に例えられます
かつてのド根性商売人ドラマから、プロジェクトX、下町ロケットなどの物語はフィクション・ノンフィクションとも面白いものです

実際、営業の現場では売れば勝ち、売らなければ負け、熱意を持て、結果がすべて、と評価する会社が圧倒的に多いかと思います
お客様にサービスを提供する仕事としては、若干、違和感を感じる部分もあります

最後のいいところをお客様に持って行ってもらうため、作り手は熱くならない。常に同じ温度で淡々と仕事をする。作り手が熱過ぎると受け取り手は冷めてしまう。(井上ひさし)

井上ひさし氏の闘病中、戯曲の一つを書き始めたと知ったスタッフがその嬉しさに「新作決定!」という仮チラシをつくり、告知に動き出した
喜んでくれるだろうと井上氏に見せると、顔がみるみる険しくなり
「ビックリマークは作り手の押しつけである。作り手がチラシを受け取るお客様より熱くなっては、受け取ったほうの熱は一気に冷めるだろう」と

前回に続き「夜中の電話~仕事について」であります

夜中の電話 父・井上ひさし最後の言葉
井上 麻矢
集英社インターナショナル

■ ■ ■ ■ ■


■仕事について

どんな仕事も一個一個片付けていけばいい。

自分がいなくなった後の三年間を無駄にしない。この三年間が井上ひさしの旬と心得よ。しかし、その後もこまつ座の作品は残る。

プロには美学というものがあって、その中で生きている人は静かに仕事をする。

朝、目が醒めた時、「眠いし疲れているけれど、今日も一日がんばろう!」と思えないのであれば、今の生活、どこかで自分に嘘をついて我慢している。
その我慢がどこにあるのかを逃げないで見つめること。

「あの人には経験がないから」と言う人がいるけれど、経験が時に邪魔になったり、足かせになったりすることもある。

交渉ごとはまず先に、相手にとことんしゃべらすこと。

切符が売れないのは、死に物狂いで売ろうとしていないから。

日常を突然奪われてしまった人たち、一人ひとりのエピソ-ドを書きたい。

今の仕事がいやだからといって、それをやらずに次へ進むことはできない。

人の批判は自分を律するいい機会。むしろ観察するつもりで聞いておいて損はない。

十年間、同じ仕事を続けたら、それでご飯が食べられるようになる。だから十年は続けること。

どんな人でも、ご飯を食べるところを見ていると、優しい気持ちになる。嫌いな人とならなおさら、ご飯を一緒に食べてみるといい。

芝居は航海と同じ、海図を見誤るな。

プロデューサーさ三年先を見てものを決める。だから勉強して、いろいろなことに精通していなければ、間違った決断をすることがある。

策略に勝つために策略を立ててもダメ。策略に勝つのは正直であること。正直は最良の政策。

自分の書いたものに対して、自分が一番の批判家になる。あらゆる角度から、自分の作品を批判して、どこにもスキがなくなってから、はじめて人に渡す。
その作業に一年~三年かかることもある。

いい芝居を観た後、「自分の人生はそんなに捨てたもんじゃない」と思い、さらに自分の人生が、何だかキラキラしたものに感じられる。そんな芝居を作り続けてほしい。

稽古場に行きなさい。稽古場は後ろには戻らない場所。トラブルが起きても、スタッフみんなで知恵と技術を出し合って解決してしまう。前にしか向かわない場所だから。

昼夜公演の間、劇場の椅子にかけて目を閉じてごらん。昼公演の興奮と余韻、夜公演への準備の音、その中にいるととても心地よいから。

仕事に出かける前に「今日はこのために行く」と確認して出かける。なんとなく仕事をしない。なんとなく行ってしまうと、自分の立ち位置がわからない。立ち位置がわからないと、必要以上に笑ったり、ごまかそうとしてしまう。

最後のいいところをお客様に持って行ってもらうため、作り手は熱くならない。常に同じ温度で淡々と仕事をする。作り手が熱過ぎると受け取り手は冷めてしまう。

仕事において、内輪受けの雰囲気を醸し出していないか、送り手と受け手の立場が逆転していないか、常に自問すべきことに思います

いくつになっても働くことが、社会のためになっていると思えれば、その年齢特有の知恵を発揮して気持ちよく暮らせる。

新作は世に出た途端に古典になる。すでにある作品は、再演するたび新作以上のの輝きをもつ。そこが井上戯曲の面白いところ。こまつ座演劇の楽しいところ。だから新作にこだわることはない。

井上戯曲に登場する人物に中に、自分とよく似た人物が必ずいるはず。それは観る年代によって変わるから面白い。

責任を持つということは楽しいこと。

演劇関係者は楽観的な人が多い。

海外の舞台をそのまま持ってきて上演するのではなく、そこに日本人らしい感性をプラスしていくのが、こまつ座音楽劇の役目。

あらゆることが便利になっていくが、人間関係を便利にする方法はない。

「あいつに行ってもらえれば安心だ」と言われるような人間になれ。

相手のスキを見つけては文句をつける「クレーム社会」は考えものだ。

世界中が開拓されて、それでも常に高度成長をしていなければならない制度など、問題があるに決まっている。

何事も基本形を作ることが大事。

新しいものを古く、古いものを新しく。

仕事は先手。後手に回ったらかき回される。

過去(整理)現在(対応)未来(希望計画)というタイムスケジュールを整理する。

どの仕事でも、いい仕事は人と人とをつなげる。

大きなことを小さく処理する。

経営者の務め。それは、心身ともに健やかであること。

裏のもめごとは、すべて観客はお見通しだ、慢心せず改めよ。

忙しい時こそ、映画をみて本を読め。

本文より)
その時、父と映画を観て帰り道にカレー屋に入った。黙ってカレーを食べていた父が、いきなり映画を真似て「キープスマイル」と言った。
そのセリフは泣いている娘に父親が泣いてはいけないよ、と言う古きよきアメリカ映画のワンシーン。
そしていつも映画館を後にする時「キープスマイル」と自分に言うことにしている。

■ ■ ■ ■ ■


ということでした

「あらゆることが便利になっていくが、人間関係を便利にする方法はない。」

メールで書くのもなんですが、こうも言っておられます

「メールでの確認はいいけれど、その前に会いに行くという基本を忘れてはいけない」

「言葉だけではけっして人は人を信じたりしないのだ。行動によってのみ人は人を信じる」

「筋を通す、人を飛び越して仕事をしない、人をきちんと立てる」

おろそかにしていないか、常に自分に問い続けないといけない、と愚考する次第です


ではまた


EHAGAKI #311 ≪夜中の電話その1≫ 

2015年12月05日 | EHAGAKI

お世話になります

炎上!という言葉も聞き慣れてきました
社会の中での相手を傷つける発言は、社会的な信用そして地位をも失いかねません

主義主張をする上でも、相手を傷つけない言葉が不可欠であります


社会性というのは、特別なことではなく、自分が持っている荷物や傘が、
後ろの人にあたっていないかどうか、気遣って道を歩けるかどうかである。


ストンと腑に落ちる言葉です
これは、作家 井上ひさしさんの言葉であります

今回のお題は「夜中の電話」であります
 
夜中の電話 父・井上ひさし最後の言葉
井上 麻矢 著
集英社インターナショナル
解説から)
2010年、この世を去った著名な作家、井上ひさしは、現「こまつ座」社長の三女、井上麻矢に遺言とも言える最後の言葉を数々残して逝った。その言葉は、単なる演劇論を超えて、誰の心にも響く人生哲学でもあった。

病をえてから毎日のようにかかってきた「夜中の電話」。それは、時には明け方まで続くこともあったという。
そこで語られた珠玉の言葉77を、著者・井上麻矢の解釈と共にわかりやすく紹介。 

人間とは何か、生きていく上で大切なことは何なのか、生涯をかけて追究した作家、井上ひさしだからこそ残せた言葉は、次世代を生きる誰もが共感する、最後のメッセージである。

77の言葉、今回はその1、37までをメモしました

■ ■ ■ ■ ■

■生きるということ

自分の潔癖さを愛しなさい。

人生はなるべくシンプルに生きる。複雑にしてはいけない。複雑になっていると感じたら、どうしたらシンプルになるか考える。

問題を悩みにすり替えない。問題は問題として解決する。

人間は誰でも頭の中にやっかいな不安の虫を飼っていて、それが暴れ出して、不安を作り出す。その虫を飼い慣らして、騒ぎを抑えること、人生はその連続。

自分という作品を作っているつもりで生きていきなさい。

幸せの形はそれぞれ違うものであり、実はささやかなことだ。

大変な世の中だからこそ、目標を立てなさい。

背筋のまっすぐな女性になってほしい。コスモスの花のように風に揺れているけれど、根はしっかりしているような女性に。

何かにとりかかる前に脳みそがおかしくなるくらい考える。考えて考えて、これ以上は考えられないと思って進みだしたらもう考えない。

自律しないと本当に人なんて助けられない。まず自律すること。
※自分で「立つ」よりも自分を「律する」ほうが深い意味をもつ、としてあえて使っておられた、とのことです

いつもなぜ? そう問い続けていること。

むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと。 
まじめなことをだらしなく、だらしないことをまっすぐに、まっすぐなことをひかえめに、ひかえめなことをわくわくと、わくわくすることをさりげなく、さりげないことをはっきりと。

「何をするべきか」三十代の君にわかるわけがない。自分も六十歳を過ぎてやっとなぜ物書きになったかわかったのだから。

言葉はお金と同じ。一度出したらもとに戻せない。だから慎重によく考えてから使うこと。

食べることと出すことが生きるための基本。

自分を大切にすることは、人を大切にすることと同じ。

決定的なことは最後まで口から出さない。

悪いことばかり考えて進むと、必ずそちらに傾いてしまう。絶対に成功すると信じること。

逃げ道は作らない。

生きていくために必要なのはバランス。バランスがいい人になるように心がける。

おしゃべりな人間には気をつけろ。

社会性というのは、特別なことではなく、自分が持っている荷物や傘が、後ろの人にあたっていないかどうか、気遣って道を歩けるかどうかである。

一番大切なのは想像力。相手の立場になって考える癖を徹底的に身につけること。

二十歳までに、世界の名作をしっかり読んでおくこと。

日本語の基本をきちんと身につけておけば、どんな若者言葉にも対応できるし、若者の言葉を怖がることはない。

笑いというのは財産である。

人の心は生きもの。けっして便利ではない。生というのは自然そのものだから、どんどん形を変える。

子育ては大変だ、生身の人間が生身の人間を育てるのだから。

人生にマニュアルはない。

自分の中に「人間としてのルール」を作る。自分を律するルール。

大事なのは、後始末。

当たり前の日常が奇跡。

その人の原風景に触れてみる。

種を蒔くこと。たとえ今、芽がでなくても、ひょんなことで花を咲かせる。

家族には、家庭の問題を背負う役回りをする人が一人はいる。

誰でも国を選べたらいいのに。その時、やはり日本という国を皆が選ぶような国になればいい。

■ ■ ■ ■ ■

ということでした

今回は内容が濃いので短くしました

次回はこの続きを

ではまた