残暑お見舞い申し上げます
思い込み! 一度認識してしまうとなかなか修正出来ないモノです
特に数字、私などは数字に弱いので、数字を数式としての認識ではなく“感覚”としてとらえてしまうので始末が悪い訳であります
今回のお題は「数字?」であります
■ブータンは幸せの国?
■日本は世界3位の経済大国? ~ビックマックの値段は?
■日本の食料自給率は39%?
■日本の“真の食料自給率”は1.5%?
■キューバの食料自給率伝説?
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■ブータンは幸せの国?
2005年国勢調査で、「あなたは幸せですか」という質問に対して97%のブータン国民が「はい」と答えた、ということで、この「97%」という
数字が一人歩きし、その「幸せ伝説」をつくりあげ、我々はそういうイメージを持ってしまいました
2005年の調査の質問は、自分の幸福度を「とても幸せ」「幸せ」「あまり幸せでない」の3つから選ぶという単純なものだったそうです
5択、4択でもなく3択 「ふつう」を選びたい人は、「幸せ」を選ぶしかなかったようです
約7500人の調査官が2日間でブータン全土の人間(外国人を含む)を対象に、「人口」「健康」「移住」「雇用」「家族」などさまざまな分野について調査したようです
そして、2010年にはその割合が41%へ「激減」?
この調査は2005年の国勢調査とはまったく方法が異なる方法でした調査対象になったのは7142人(国民の約100人に1人)全数調査ではなく標本調査です
それぞれの項目ごとにポイント(%)を設定し、トータルでの達成率が77~100%を「とても幸せ」、66~76%を「まあまあ幸せ」、50~65%を
「少し幸せ」、0~49%を「幸せでない」と定義。
つまり、本人の主観だけでなく、経済レベルや生活の充足度など客観的指標も評価の対象になっているのです
41%というのは、「とても幸せ」と「まあまあ幸せ」を足した割合が40.8%のことだったのです
ブータン政府は達成率66%以上を「幸せ」と定義していますが、考えようによっては、「幸せな国民」の割合は89.5%と、かなり高くなります
そもそも「幸せ」というのは主観によるところの大きいあいまいな概念ですし、定義の仕方によって、いくらでも数値は変わってくるという、
当たり前のコトなんですがね
詳しくは↓
http://courrier.jp/blog/?p=12123
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■日本は世界3位の経済大国?
日本はGDPで中国に抜かれましたが、中国を日本より豊かな国だと思う人はあまりいないと思われます
それは人口との関係、1人あたりの所得水準は日本よりかなり低いのではないか?と思うから
では各国の1人あたりのGDPを日本と比較するとどうなるか
(2014年、187か国)
1位.ルクセンブルク、111,716ドル、3.07倍
2位.ノルウェー 、97,013ドル、2.67倍
4位.スイス 、87,475ドル、2.41倍
5位.オーストラリア、61,219ドル、1.69倍
10位.アメリカ 、 54,597ドル、1.50倍
18位.ドイツ 、 47,590ドル、1.31倍
27位.日本 、 36,332ドル、1倍
(世界の一人当たりの名目GDP(USドル)ランキング - 世界経済のネタ帳)
http://ecodb.net/
北欧やスイスは日本と比較して2倍から3倍、他の欧米諸国も日本より何割も高い数字が並んでいます
日本より上位には多くの先進国と一部の産油国がランクイン、しかも28位にイタリア、29位にはスペインと、欧州危機の引き金になると言われるほど経済が悪化していた国(PIGS)が肉薄しています
では日本とこれらの国をビックマックの価格で比較するとどうなるか
2015年1月時点で円換算した際の価格(1ドル117.77円 56か国)
1位.スイス 、888円、2.4倍
2位.ノルウェー 、742円、2.01倍
6位.アメリカ 、564円、1.52倍
15位.オーストラリア、509円、1.38倍
18位.ドイツ 、501円、1.35倍
38位.日本 、370円、1倍
詳しくは↓
http://www.huffingtonpost.jp/yoshifumi-nakajima/mcdonalds-salary_b_7788724.html
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■日本の食料自給率は39%?
これは危うい?と思ってしまいますがこの数字は日本の農水省独自のカローリーベースの自給率
日本以外でカロリーベースの自給率を発表している国はありません
このカロリーベースの試算方法には多くの問題点ありとか
・カロリーの高い牛肉や豚肉などは、エサの自給率も考慮される
日本で育った牛や豚でも、そのエサが外国産の場合は「日本産」にはならない
・計算する際の分母には「廃棄食料」も含まれる
食べ残しなどの無駄な食材が増えれば増えるほど自給率が下がる
※これはこれで大問題ですが
ちなみに生産額ベースで自給率を算出すると68%(世界5位)これだと約7割!と安心してしまいます
とはいえ人口増加、食糧危機と不安はつのりますが
浅川芳裕著「日本は世界5位の農業大国」によると
日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書) | |
浅川 芳裕 | |
講談社 |
農業も経済、需要が無いのに生産しない、需要が増えれば生産する、需要と価格を見て生産量を調整する
過去40年の人口増加率は189%、穀物の増産率は215%で26%も上回っている その結果、2009年末時点で、世界の穀物在庫は消費量の約20%に当たる4億5000万トンもあり過剰な生産と在庫に苦しんでいる
需要と価格を見て生産量を調整する、商売として当然です
そもそも食糧危機の原因は農業問題ではなく購買力の低下や物流の遮断が原因であると
例えば、戦争や無政府状態に陥るとか
詳しくは↓
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4098
一方でこんな見方もあります
■日本の“真の食料自給率”は1.5%?
化学肥料、特にリン酸・カリウムはほぼ輸入
日本のエネルギー自給率は約4%
生産にかかるエネルギーを按分した日本の“真の食料自給率”は「39%×4%≒1.5%」なのかも?
実際、アメリカはリン鉱石とカリウムを「戦略的物質」と位置づけて輸出を禁止しています
肥料価格は、農業に多大な影響を与えます、その安定確保には外交的手腕が欠かせません
食料自給率は、食品単体ではなく肥料やエネルギー等、トータルに考えなければ意味がない?
ではヒントは?
1980年代、キューバは自給率が低く、ソ連から入ってくる石油、化学肥料に頼ったいわゆる現代農法がメインで、多くを輸入に頼っていました
1990年代初頭のソ連の崩壊でエネルギー、肥料の輸入はストップ、アメリカからも経済封鎖されました
そんな絶体絶命の危機にカストロ議長(当時)が目をつけたのは、化学肥料に頼らず大量のエネルギーも必要としない「小規模有機農業」でした
「これなら外国に頼らずともやっていける」と、キューバ国民に奨励したのです
その結果、農業自給率は飛躍的に上がり、今や有機農業の先進国となっているそうです
とここまで書いてキューバのことを検索すると
■キューバの自給率伝説?
「ソ連圏崩壊後に自給率が大幅に下がり、有機農業で復活したというのは、フィクションです そうであれば、ドラマチックで面白いのですが」
という文章を発見しました
公式データは無いものの自給率の改善はそれ程無いようです
ハバナ市・県について 以下引用
結論として、食料全体そのものをハバナ市・県は自給できませんし、またいわんやその一部の野菜も自給できませんし、さらには、すべて有機農法で栽培されている野菜を自給している事実はありません。
若干、歴史的なことをいいますと、革命勝利前、ハバナ県、近県のマタンサス県西部、ピナルデルリオ県東部の農業は、大消費地ハバナ市への供給のため野菜などの換金作物の栽培が盛んでした。
しかし、60年代半ばから、砂糖の1000万トン生産のため、多くの栽培畑が、砂糖キビ栽培畑に転換されました。これが現在も基本的には継続されているのです。
なお、キューバで「地産地消」政策が、全国的に推進されるようになったのは、2007年度からです。
このようなことは、一般のキューバ人知識人にとって、また外国人キューバ農業研究者にとって、いわば常識の部類に属することですが、かたくなに「有機農業野菜ででハバナ市が100%自給されている」と信じる人には、無駄な説明の時間かもしれません。
一昨日のTV放送の影響でしょうか、マスコミの影響は大きいものがあります。それだけに正確を期して善意の視聴者、読者をミスリードしないでほしいと思います。
引用以上
あらまぁ
ただキューバも野菜はほぼ自給で「日本のように野菜を近隣諸国から大量に輸入するのは世界的に珍しい」とありました
詳しくは↓
キューバ研究室
http://estudio-cuba.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-3c85.html
※ここでのキューバについては、諸説あり私自身が未確認であることをご了承下さい
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ということでした
“複雑に入り込んだ現代社会にメスを入れ、様々な謎や疑問を徹底的に解明”する努力を惜しんではいけない、ということでしょうか
自分で考え、自分で判断することが求められている、と愚考する次第です
ではまた