橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI #345≪人類を変えた鳥≫

2017年02月14日 | EHAGAKI
 
 
お世話になります
 
久々のEHAGAKIであります
 
人類に欠かせない伴侶となった鳥、ニワトリ
恐竜の末裔たちと言われるニワトリの物語であります
 
 
参考図書)
ニワトリ ~人類を変えた大いなる鳥
アンドリュー・ロウラー:著(インターシフト)
 
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 
文化放送「武田鉄矢・今朝の三枚下ろし」を耳で聞いたメモ、ネット上にある書き起こしを参考にしたものであります
※今回も本は読んでおりません


人類を変えた鳥
 
 
世界でもっとも広範囲にその個体数の多い生き物、それは?
人類よりも多く生きている「温血脊椎動物」は?
 
それは「ニワトリ」
あえて人口と言うと、ニワトリの人口は200億
今この地球上でニワトリは200億羽いる
 
この地球上でニワトリが居ない所はバチカン市国と南極大陸しかない
 
なぜ南極には居ないか ?
これはペンギンに病気が感染らないように人間が制限しているから
 
 
「NASA」が火星旅行の準備をしている
ここでの最大の目的はなんと、宇宙船の中でニワトリが飼えるかどうか
「旅の最中の食料になりうる」あるいは「卵をある程度の無重力状態で産めるか」、そういう研究課題がある
 
 
世界中の遺跡を見ると、必ずニワトリの骨が出てくる
昔から人間が旅すると同時に持ち歩いた形跡がある
 
4千年以上前、アラビアの海岸でインドの商人が交易のためアフガンから材木を仕入れていた
その材木の遺跡が見つかったが、その材木の遺跡の中からニワトリの骨が発見された
 
時代的に言えば「ピラミッド」以前の時代
これが「おそらく人類が最初に食べたフライドチキンじゃないか!」と大騒ぎになった
 
よくよく調べてみたら何の事はない、発掘スタッフが昼休みに食べたケンタッキー・フライドチキンだった
当然、大発見は反故に
 
◆閑話休題
 
ニワトリがいかに偉大か
 
イヌやネコが明日全て地上から消えても、さしたるパニックは起きないのでは、ペットだから
 
ニワトリ違う
ニワトリが居なくなったら世界は大変なことになる
 
世界で一番卵を食べてるのはメキシコ
2012年、メキシコシティで鳥インフルエンザで数百万羽のニワトリが殺処分された後、メキシコシティの商店から卵が消えた
そのため次の朝、暴動が起きてる
 
イランは一時期、鶏肉が高騰して庶民が買えなかった時に暴動になる
イラン政府は、全てのテレビドラマから鶏肉を食べるシーンを放送禁止にしたとか
 
かくの如く、世界あるいは政治、そういうものとニワトリは深ーく結びついている
 
牛肉や豚肉は、貿易では常に大問題になり、宗教の問題で扱ってないところがあったりする
ところが脇役に追いやられてるニワトリ、全然ウシ・ブタに比べて騒ぎにはならないが、実はこれほど身近なものはない
 
牛肉を扱ってない、豚肉を扱ってないというコンビニはあるが日本中のコンビニでタマゴサンドを置いてない所はない
ゆで卵を売ってないコンビニはない、唐揚げ系も
 
 
ニワトリ、何処から来たのか?
 
狩りを一緒にやるためにオオカミの一派が人間に接近して
「飯食わせてくれるんだったら一緒にお前と生きていこうぜ」ってオオカミの方から申し出て、それがイヌになった
 
人間が農業をやるようになると、穀物を倉庫に置く
「ネズミが出て参ったなー」でネズミ喜んで食ってくれる森の生物、ヤマネコがいる
基本的な飯はもつことにして「時々ネズミ駆除してくれよ」ってネコと同居し始めた
 
ニワトリはどうやって人間に接近してきたのか?
 
5千種以上の哺乳類の中で20~30種類が人間の家畜となった
 
ちなみに魚類は2万5千種、この中で飼いならせたのは2種類
金魚と鯉、これ両方とも日本、魚を飼いならしたのは日本人だけ
 
鳥類は1万種、人に接近しておびえないのは、わずか鳥類の中でも10種類のみ
その中で人間の側にいて、卵をプレゼントすることによって人間と一緒に暮らす
 
人間にとってもこのニワトリがありがたがったのは、穀物に手出さないこと
ある程度の穀物を分け与えとくと、それ以上は求めない
 
あとはそこら辺の雑草食ったり虫食ったりしながら卵を産んでくれる
そういうことで人間は彼らをパートナーに選んだのではないだろうか
 
ニワトリにとっても森の中でトカゲ・ヘビから襲われて、卵それから雌鶏そのものも食われるよりは、
人間と一緒にいて卵だけっていうのがセーフという感じがしたのであろう
 
 
ニワトリの故郷はインドシナ半島の密林らしい
ここに赤色野鶏、赤い色の野原のの鶏
赤色野鶏なる飛べない鳥、どうもこれがニワトリの原種らしい
 
◆歴史の振り返り
 
どのような旅をして世界に広がっていったのか?
 
1923年エジプト、イギリスの歴史家ハワード・カーターがツタンカーメン王の墓を発見
 
続いてラムセス9世とアクエンアテンの墓で陶器の欠片を発見
その陶器の模様がなんと、赤色野鶏だった
 
これが紀元前1300年のこと、おそらくインドシナ半島からエジプトまで渡った
 
絵にあるニワトリを見ると卵目当てではなかった
ニワトリは家畜ではなかった、エジプトでは何に利用されていたのか?
 
まず、マダニや蚊を食べてくれる害虫対策のための鳥だった
 
そしてピラミッド等を建てるのに「朝は定時で仕事開始したい」ということで時計として重宝された
 
時計として作業の開始を「コケコッコー」で叫ぶ、だんだん宗教の方に入ってきて、朝を知らせる鳥から「希望の朝を象徴している」となった
 
古代アッシリアの首都では、納骨堂の副葬品に象牙と金で作られた箱があり、その箱にニワトリが刻まれていた
ヒンドゥーの世界からニワトリはゾロアスター教、ユダヤ教、キリスト教へと渡り歩き、イスラムの宗教の中にもニワトリが登場する
 
 
最初は卵でもなければ肉でもない、朝を告げる鳥ということで時計代わりに非常に便利に使われた
時計代わりに使われるうちに宗教のシンボルとしてこれらの文明に住み着く
ニワトリは目覚めと勇気と復活を象徴した
 
現在一部の国では激しく対立するキリスト教とイスラム教であるが、その両方の宗教の中でニワトリは生きている
 
 
新年の挨拶で短く春を寿ぐときに「慶春」を使う
慶応の「慶」
慶応の慶の「慶」は「良い知らせがやって来るぞ」とい意味
 
鶏の中国読み。鶏の肉のことをなんて言うか?
 
「とり肉」「かしわ」?
 
「けい肉」
中国人が鶏という字を「けい」と読ませたのは「良き知らせ持ってくる」という意味で慶応の「慶」と同じ音にした、と言われている
 
 
天照大神(アマテラス)という女性の神様がいらっしゃる
この方は、太陽神
天岩戸にお隠れになって、手力雄命(タジカラオノミコト)が岩をバーッと力で開ける
その時、開ける前にアマテラスに「朝が来たぞ」と教えたのがニワトリである
 
日本神話の中にもニワトリ生きてる
 
かくの如く、ニワトリはあらゆる世界中の神話の中に潜り込んでる
「卵欲しさに飼われた」とか「鶏肉が欲しいから」と言うのではなく、時告げ鳥「太陽を呼び出す」という霊力がニワトリにはあるのではないか、と
 
宗教の中に住み着いたのがニワトリである
 
 
ニワトリは西洋方面、西ばかりではなく、東へも旅を開始する
太平洋を渡る
 
アジアを横断しオーストラリア、それから3万年前にはニューギニア・ソロモン諸島へ行ったという
そして、ベーリング海峡を渡る一派に混じって、新大陸へと渡って行った
遺跡から推測すると、1万3千年前には南米の最南端まで行った
 
 
ニワトリの歴史、西側の事情を
 
ヨーロッパでは17世紀の初めまで鳩(ハト)が鶏肉の代表であった
 
ハトというのは非常に重宝な鳥で、鳩の糞(フン)は窒素を多量に含んでいる
このハトのフンから火薬が出来る
だから軍事国家になるためにはハトをたくさん飼わなけれならない
 
そういう訳でイギリスというのはハトを食べる
そのイギリスからすっかりアジアの拠点にされた香港は、ハトを食べる
 
アグネス・チャンが日比谷でハト捕まえようとしたっていう話も
 
 
世界に冠たる大英帝国は、遮二無二ハトを食べた
17世紀のイギリスの貴族たちが食べるのはマガモ・ガン・ガチョウ・アヒル・七面鳥時には孔雀も
何処にもニワトリは居ない
 
そのニワトリに1842年、一大変化が起きた
 
エドワード・ベルチャー艦長が世界中の動植物、面白いものを集め、貴重希少の外来種を土産物にして ヴィクトリア女王陛下に献上した
その献上品の中に赤色野鶏がいた
 
グレートブリテン島にはですね小さいタイプのニワトリが居たが、女王に献上された赤色野鶏の美しさにヴィクトリア女王が夢中に
「もっとこんなニワトリ欲しい」ということで数をどんどん増やした
 
女王陛下はペットとしても可愛がったが、「肉も美味いだろうか」と食べたら意外と旨かった
ヴィクトリア女王陛下みずからが仲の良い貴族にこの種のニワトリの肉をクリスマスに送った
これで火が付いた、ニワトリの肉は旨い!
 
それまでイギリスに居りたニワトリは大体一羽で2.7キロしか肉が取れなかったが改良して3.2キロまで増やした
それで欧州辺りで肉は旨い、卵は旨いと、騒ぎになった
 
世界に冠たる大英帝国の時代
スペインを打ち破り、グングン国威が海軍を中心にして盛んだった頃のイギリス
 
例えばオスマン帝国、それからイスタンブール辺りからも続々とニワトリが集められ、ツガイで2千ドルというような法外な値段で取引されるようになった
 
 
一方でロンドンに人口が集中、食料の心配が出てきた
そこで「ニワトリを飼おう」となった
食肉として定番のニワトリの歴史がこのイギリス辺りから始まる
 
 
その頃、イギリスが支配していたアイルランドはジャガイモの疫病が流行ってジャガイモの大不作となり、餓死者が出る
1846年4月から餓死者が たちまち100万人
アイルランドでは人は生きられない、と人々は新大陸アメリカに渡り始める
 
これがアイルランド系の人たちがアメリカに渡った理由
アイルランドでジャガイモが採れなくて、本国のイギリスはニワトリに夢中で自分たちに何にもかまってくれない
それでアイルランドの人たちはアメリカに渡っていく
 
 
その時にアメリカに渡った一家の中にケネディ家がいた
だからジャガイモさえ豊かだったら、 ケネディ家は行ってない
 
女王様がニワトリ夢中になったばっかりに捨てられたアイルランドにケネディ一家がいて、アメリカを目ざして渡って行く
 
映画監督のジョン・フォード、西部劇の王様のジョン・ウェイン。この人たちはアイルランド系
「ジョン」が付く人は大体アイルランド系?
 
ジョンが付く人?
アイルランドの港町ダブリンで働いて、ジャガイモの不作で食えずに、アメリカに行くお金も無かったので、対岸のリバプールに住み着いたっていう人も居た
 
リバプールということは、、、
 
ジョン・レノン
ジョン・F・ケネディ、ジョン・フォード、ジョン・ウェイン
この人たちはジャガイモさえ豊かだったら、女王様がニワトリに夢中にならなければ20世紀の彼らは居なかった?
 
 
ジョンは元々アイリッシュ、アイルランド系の人たちの名前
ジョン・F・ケネディが大統領になった時に、けっこうイギリスが青ざめた?
 
ジャガイモが食えないような生活を押し付けた大英帝国だから
 
『ダーティ・ハリー』に出てくるあのキャラハン(Callahan)警部もアイリッシュ
だからか彼は孤独、孤独でいつも一人で戦うダーティ・ハリー
 
『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラ(Scarlett O'Hara)もアイルランド人
一番最後に「タラへ」っと言うが、タラ(Tara)は日本人で言うと「関ヶ原へ帰ろう」と言うのと同じ
古戦場の名前
アイルランドが独立を目指して立ち上がった古戦場がタラ
 
イギリス軍に負け、スカーレット・オハラはボロボロになっても「まだアイリッシュの魂を失わなかった」とアイルランド人が涙ぐむ
 
『刑事コロンボ』
コロンボ(Columbo)という名前は、アメリカの人はイタリア出身と分かる
そのイタリア系の人が刑事さんをやってるってのが、もう一つの疼き
 
マフィア! イタリア系
それが刑事をやって、いつも威張ってるイギリス系のホワイトをやっつける
「ちょっと待って下さい」って言いながら
 
悪人は、犯人はイギリス系のジェントルマンばかり
それをヨレヨレのコロンボが「ちょっと待って。うちのカミさんがね・・」って言いながら
苦い目に遭ってる人は「コロンボ、ヤッツケてくれ!」と
 
 
アイルランドの人がアメリカに渡る
最初に住み着く所はアメリカ南部
 
彼らはハトとかカモが買えないので、安いニワトリをクリスマスに食べていた
そのニワトリを食べるというアイルランド人の習慣を横で見てたのが黒人の人たち
周知の通り、アイルランドの人たちと同じ位、彼らも貧しい暮らしをしていた
 
アメリカの金持ちが食べる肉といえば七面鳥・ハト・ウズラ・アヒル
あとは鹿肉・ヒツジ・ブタ・ウシ
 
ニワトリなんて食べる人は居なかったが、貧しさが故に自分で買える鳥ということで黒人の人たちが真似してニワトリを飼い、野菜を育てた
それが西アフリカの人たちの料理に、野生の鳥を食べる習慣があったので、南部の料理になる
 
メアリー・ランドルフさんが書いた料理本『バージニアの主婦』にアフリカ料理として紹介される
そうしてニワトリ料理がアメリカの南部の地方の料理として発展していく
 
 
黒人の奴隷の人たちとアイルランドのジャガイモが食えなかった貧しい白人たちの間でニワトリが重宝されるようになると、
家でニワトリを飼おう、数を増やそうという工夫がアメリカで始まる
 
電気、養鶏システム、それから鶏舎を工夫し、1880年には国内で1億羽、55億個の卵を産む産業として育っていく
そして、1890年代には2億5千万羽、100億個の卵を供給する巨大産業へ成長する
 
さらに東ヨーロッパのユダヤ移民200万人がアメリカに流れ込むことによって、牛肉より安価なニワトリはもうタマラナイご馳走になっていった
 
この南部に居た青年がサンダース
この人がスパイスをかけることによってもっと美味くニワトリの肉食べられる、というのが、例のケンタッキー・フライドチキンへ成長していく
 
 
黒人の奴隷の方、それからジャガイモ移民のアイリッシュの方、それからナチス・ドイツから激しく憎まれた人たち、言葉が悪いが「下層」を形成していく
そしてニワトリを食べるので、ニワトリそのものが差別用語になる
 
臆病者のことを何と言う?
 
チキン(chicken)
 
オスがコック(cock)
メスは、ヘン(hen)
 
アメリカではオスのことは別の呼び方でルースター(rooster)っていう言い方があるそうです
 
生意気なことをコッキー(cocky)という
チキンアウト(chicken out)これは「怖気づいた」
 
それからヘンペック(hen pecked)  これは「雌鳥につつかれる」とか「尻に敷かれる」
 
「ゴキブリ」は何と呼ぶか? コックローチ(cockroach)
 
コックというのは、米英語では禁断の西洋語
成人映画なんかを観るとコックという言葉が出てきますが
 
ことほどさように「コック」っていう呼び名は、言葉はあるが使われない米英語でNo.1の言葉
 
 
ウシのことは?
カウ:cow
肉になったら?
ビーフ:beef
 
ブタはピッグ:pig、肉になったらポーク:porkになる
 
チキンはチキン
いかにニワトリを見下ろしてるかが言葉の上でもわかる
チキンで全部まとめてしまう、そういうものをニワトリが背負っている
 
日本人はニワトリと鶏肉、明らかに生きてる状態と肉を使い分けますが
 
 
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
 
 
ということでした