橋長戯言

Bluegrass Music lover, sometimes fly-fishing addict.
橋長です。

EHAGAKI#431≪吾唯知足≫

2023年01月01日 | EHAGAKI

本年よろしくお願いします

吾唯知足

ルーカスフィルム(ディズニー)とジブリが
共同制作した短編が「禅」だったり

昨年10月、孫2号君が誕生し、禅に通じる名前であったり
禅に関する本を数冊眺め、この言葉を改めて見直した次第です

吾唯知足(われただたるをしる)

精神的に自給自足
満足する気持ちをもつ

もっともっと、と言い出すとキリがない
「このへんで」と精神的な自給自足を達成すれば
人とは比較しないで済むので心は穏やか

千利休
 食事は飢えぬほどにて足ることなり
水を運び、薪を取り、湯を沸かし、茶を点てて
仏に供え、人にも施し、そして我も飲む
花を愛で、香を焚き、皆々祖仏の行いのあと、学ぶなり
「南方録」より

ということで
正月気分に若干ですが水を差す話題であります

白米を食べるから太る、のではなく
白米を食べて、運動しないから太る

参考図書)
「江戸っ子の食養生」
車浮代:著(ワニブックスPLUS新書2022/5/20)
https://amzn.to/3PTNDnG

◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ ◆

◆江戸

家康がやってきた1590年頃、家は100軒ほど
家臣が集まり、参勤交代で大名やその家臣、それらの屋敷が必要

街づくりの → 一旗あげようと人が集まる
男女比 4:1 →幕末になりやっと1:1

超過密の大都市
江戸時代中期以降の人口は100万人
その頃パリは50万人
ロンドンや北京は70万人

江戸の人口の半分は武士、半分は町人
現在の23区より狭い江戸の居住地の60〜70%は武士の住まい
15%は寺社、残りの15〜25%に」町人たちは暮らしていた

裕福な商人は表長屋
庶民は裏路地
九尺二間(2.7m×3.6m)の裏長屋
約6畳が基本形

◆明暦3年(1657年)

1月18日から20日にかけて「明暦の大火」が江戸を襲う
江戸城本丸をはじめ多くの武家屋敷
400町とも800町とも言われる町屋が消失
死者は、当時の人口30万人のうち11万人に及んだとも言われている

その復興の為、全国から職人が集められた
市街地再開発、隅田川東岸の深川エリアの開発が行われた
インフラ整備、防災対策として両国橋や永代橋が架けられた
防火線として広小路が設置された(上野広小路など)

しかし
江戸城本丸は再建されることは無かった
膨大な資金が投入された復興は、人の習慣に影響を与えた

◆一日三食

それまで一日二食が普通であったが、とにかく体を使う
そこで戦国武将並に、庶民まで一日三食が根付いていく
また
物流がよくなり照明油が出回り
起きている時間が長くなったのも一因

◆そこでの料理の特徴

1.冷蔵庫がない →旬の素材をその日の分だけ買い食べる
 →新鮮、栄養豊富、エコ
2.燃料費が高い→料理に時間をかけない→栄養を壊さない
 →時短簡単レシピ
3.調理法は切る・焼く・煮る=油を使わない
 →ヘルシー
4.4つ足食の禁止→肉を食べたとしても少量
 →がん予防、胃腸に優しい

◆米好き

成人男性は1日5合の白米
これは武士や富裕層だけでなく裏長屋住まいの庶民も含めて

1日真面目に働けば、銀シャリが腹一杯食べられれる
それが江戸っ子の自慢であった

居候 三杯目には そっと出し

庶民でも真面目に働けば「お天道様と米の飯はついて回る」という土地柄
しかも
江戸っ子が食べていたのは、玄米や雑穀米ではなく銀シャリ

長屋には定期的に搗き屋(つきや)と呼ばれる商人がやってくる
住人はそれぞれ米を持ち寄り、臼と杵で搗いてもらう
そんな精米法なので銀シャリと言っても糠の成分も残っている

それでも
◆「江戸わずらい」なる奇病が流行

脚気、ビタミンB1不足が原因
玄米や混ぜ飯がほとんどだった地方の人はあまりかからなかった

その後
「糠漬け」がブームとなり江戸わずらいも激減したとか

◆一汁一菜

ご飯と香の物(漬物)に汁物とおかずが一品づつ
これはご飯をいっぱい食べるため

◆暮らしそのものが運動

白米は太る?
白米などの糖質を多く摂る→糖尿病
江戸の成人男性に糖尿病はあまり無かった

体質が違うのか?
たかだか200年で遺伝子は変わらない
違いは運動量

様々な職業が出てきた
よほど身分の高い人以外はほぼ徒歩での生活
日々の暮らしそのものが運動であった

その活動源が白米
白米を食べると太る
ではなく
白米を食べ運動しないから太る

◆ダートマス大学ナサニエル・ドミニー博士の研究チームは

2007年に炭水化物を分解して糖にする酵素である
アミラーゼ遺伝子は民族により違うことを発見

日常的に炭水化物をあまり摂らない民族
アミラーゼ遺伝子数:平均4〜5個
対して
日本人は平均7個

◆厚生労働省の公表資料によると

1950年
国民1人1日あたりの摂取エネルギー2098kcal
うち穀類エネルギー比率77%
炭水化物の1日量418g、白米にしてお茶碗6杯以上

2010年
国民1人1日あたりの摂取エネルギー1849kcal
うち穀類エネルギー比率43%
炭水化物の1日量258g、白米にしてお茶碗4杯弱

摂取エネルギーも炭水化物の摂取量も大幅減
なのに
肥満や糖尿病の大幅増

 

銀シャリばかりを悪者にするんじゃないよ。
こんなにうまいもん食わねえなんて
人生損ってもんだぜ。(江戸っ子談)

 

◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇  ◆  ◇ ◆

ということでした
もう一つ大事な要素、食物繊維につあては、また改めて

以前
白米より玄米
江戸の人は白米を食べていたから脚気になった
なら、バランスの良い玄米だ
みたいなコトを書いたりしておりました(下記リンク)

この本を読むと
今の白米と当時の白米は違う
という、少し考えれば解るコトが書かれていました

やはり二択のデジタル思考より
どこまでも曲線のアナログ思考が大切
と、フィルムカメラにフィルムを装填している2023年元旦であります

新年になっても油断出来ないCOVID-19であります
皆様におかれましても
心の栄養補給は怠らない様ご自愛下さい

ではまた

EHAGAKI #283≪玄米はすごいぞ≫ 2014.4.7

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