many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

挑戦!競馬革命

2022-04-09 18:51:04 | 読んだ本

角居勝彦 2007年 宝島社新書
これは、こないだ藤澤先生の『勝つためにすべきこと』を見つけたときに、同じ場所にしまってあったもの。
あいかわらず初めて読んだときの記憶ないなあ。
角居さんは70歳定年までまだだいぶあるのに、家業のことで調教師をやめてしまった、人生いろいろだ。
2007年12月の出版なんで、ウオッカがダービー勝った年で、エリザベス女王杯を取り消して、ジャパンカップ4着のところまで。
タイトルは大仰だけど、そんな革命的なことばかり唱えてるとかってわけぢゃなくて、どっちかというと淡々とその時点での仕事について書いてあるといった感じ。
フラムドパシオンを3歳春にUAEダービー走らせて、その後屈腱炎になってしまった話のとこで、
>とはいえ、日本の競馬を世界に対応させていくためには、挑戦を限りなく続けていかなくてはなりません。挑戦しないことには何も生まれないのですから……。
>批判によって挑戦できなくなると、次のチャレンジャーはもっと行きにくくなってしまいます。(p.117)
なんて「挑戦」について語ってるところはありますが。
どうでもいいけど、そこで「血縁者がいない私はやりたい放題ですが(笑)(略)」なんて書いてあるけど、トレセン内に血縁者がいるからって挑戦に批判が出てくるってのは、あんまり具体例が思い浮かばないが。
2000年の森厩舎の海外遠征の出国検疫を美浦でやった際に、藤澤厩舎の調教に参加させてもらったときのこと、
>何の疑問も持たずに、
>「普通調教が強いですね。毎日、こういう時計ですか?」と聞きました。
>すると即座に「角居君、“普通”って何だ?」と。(p.64)
藤澤先生に返されて、はっとしたというエピソード、いいですねえ。
>藤澤先生の数ある言葉のうち、もっとも印象的なのは、「馬はできてくるから、作りすぎてはいけない」というものでした。
>それまでは目一杯の稽古によって馬を作るのが当たり前でしたが、藤澤流は、馬なりギャロップで乗ります。「できてくるのを待っている」のです。(p.69)
という学びをもとに、その後の自身の厩舎スタイルもそういう感じにしてったらしい、レース直前に強いことをやらないとか。
あと、おもしろいと思ったのは、
>外国で馬にかかわっている人たちは、もともとが狩猟民族で、生き物を上手にコントロールする術を身につけています。ここは許してあげる。ここは叱らなければならない。そうしながら主従関係が出来上がります。しかし日本人は農耕民族。作業の段取りが中心となります。予定どおりの時間で終わらせることは上手ですが、時間内に終わらせるために、言うことを聞かない馬に、えてして怒って言うことを聞かせようとします。それが狩猟民族との感覚の違いで、待たねばいけないケースがあります。(p.190)
って民族のルーツによる(?)比較論、その日の調教メニューの距離や時計をかたくなに守ろうとするのは農耕民族的感覚だと。
>馬中心の感覚を身につけていくと、必然的に馬に対して優しくなれます。日本では、人間の段取りを狂わせるような馬に怒ってしまうのです。(同)
って、大事なことだ、私なんかは乗る前におまじないとして毎回唱えないと、すぐ忘れてしまいそうだ。
序章 ウオッカのダービー
第1章 調教師になるまで
第2章 GIを勝つまで
第3章 海外遠征
第4章 厩舎を育ててくれた馬
第5章 調教師の仕事
終章 角居厩舎の挑戦


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 2022年の桜 | トップ | 半日の客 一夜の友 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読んだ本」カテゴリの最新記事