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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

プードル・スプリングス物語

2014-06-27 20:47:23 | 読んだ本
レイモンド・チャンドラー+ロバート・B・パーカー/菊池光=訳 1990年 早川書房
「チャンドラー+パーカー」というのは、未完の遺作を、30年後に引き継いで書いたということで、これをもってチャンドラーの正統の後継者はパーカーと認められたとされているようだ、一般的には。
どっからどこまでがチャンドラーで、パーカーなのかはよくわからないと思って読み返してたんだけど、いま見たらカバーに書いてあった、第四章までがチャンドラーだって。
全四十一章だから、それぢゃパーカーがほとんど書いたようなものじゃん、っていうのは私の読んでるとき受けた印象と同じ。
物語の舞台プードル・スプリングスは、高級住宅地。
大富豪の娘と結婚したフィリップ・マーロウは、そこで豪華な新居に住むことになったんだけど。
奥さんの実家のカネにはまったく頼らず、自分の身の丈にあったオフィスを借りて、あいかわらずの探偵稼業を続ける。
そこへ、ギャンブルに負けたのに現金を払わず借用書を書いて行方をくらましてしまった男の捜索という依頼がくる。
どーせ、死体をみつけることの名人のマーロウだから、殺人事件に出っくわすんだろうなと思いながら読み進めることになるんだが。
その気になれば自由につかっていい財産があるんだから、探偵なんかやめればいいのに、私といっしょにそれなりの階級の人々と社交的につきあってほしいのに、って思ってる新妻に対して、
>いいか、ミセズ・マーロウ。おれは並の人間にすぎないんだ。おれにできることがいくつかある。射撃ができる。約束を守ることができるし、暗くて狭い所を歩ける。だから、そうしているんだ。自分がやっていること、自分の性分にあった仕事を見つける。(略)
とか、
>何度も説明してきたように、だからおれは受け取ることができないんだ。落伍者にならないためには、おれは自由でなければならない。完全に自立した人間だ。おれはマーロウ、下層社会の騎士だ。自分がやることは自分で決める。おれを買うことはできない、圧力で思い通りにすることもできない、たとえ愛によってでも。(略)
とかって、堂々と言い張る場面を読むと、これはスペンサーの科白だろ、やっぱこれはパーカーによる物語だなって感想をもっちゃう。
わるくはないんだけどね、全然。

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