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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

エホバの顔を避けて

2018-04-08 18:09:11 | 丸谷才一
丸谷才一 昭和53年 中公文庫版
去年の秋に古本屋で買った文庫、最近ようやく読んだ。
ようやく読んだという意味ぢゃあ、昭和35年刊行のこの小説、著者の最初の長編で、愛読者を気取るんだったら(べつにそんな気はないが)、とっくに手をつけてなきゃいけなかったところ、なんか気が向かないで存在知ってたのに、ずっと放っておいた。
だって、なんかヘンなんだもん、主人公は日本人ぢゃなくて、大昔のアルバの町の靴職人のヨナという男。
小説のタイトルにエホバってあるのでもわかるんだけど、ヨナって、あれでしょ、旧約聖書に出てくるひと。
そっち方面の知識はないから、なにが題材で、どこからがこの小説ならではなのかもわかんないけど、大いなる魚に呑みこまれるってのは、聞いたことがあるね、ピノキオぢゃなくて、ヨナという人物について。
とにかく何だかわかんないけど、神のお告げのようなもの、望んでもないのに聞くはめになってしまい、ニネベって街に行って、この街の悪に神が怒って、あと40日で街は滅びるって言うのがミッションになる。
ヒゲが伸びたのは予言者っぽいけど、着てるものはボロボロだし、当然誰にも相手にされない、場合によっては迫害される。
三日くらいであきらめようとしたとこへ、ひょんなことから知りあった男が味方になってくれる。
素直に神を信じてる様子でもないし、なんか策略がありそうなんだけど、そいつと組んで街で説教をしてまわると、だんだん聴衆が言うことに耳を傾けてくる。
街から抜け出そうとした者が殺されていたとかってウワサもたち、十二万人ものひとびとは逃げ出すこともできず、食糧も高騰してきて殺伐とした街にとどまるしかない。
ヨナと相棒は、街角だけぢゃなくて、大きなお屋敷に行ったり、大臣のとこ行って、最後は王のところにまで行って、街の滅亡を説く。
そして40日目がやってくる、街のひとたちはすべて広場に朝から集まってんだけど、はたして日が暮れるまでにニネベの亡びは本当に訪れるのか。
うーん、私の好きではない一神教だからってわけだけでもないが、なんかいまひとつ著者らしいおもしろさがなくて、いまひとついいとは思えなかった。
どうでもいいけど、かな表記はこてこての歴史的仮名づかい、慣れないとリズムに乗りにくいかも、「じふぶん」が「十分」だって頭のなかで変換されるまで、ちょっと時間がかかっちゃったりするから。



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