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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

激突!

2024-04-10 19:03:06 | 読んだ本
リチャード・マシスン/小鷹信光訳 一九七三年 ハヤカワ文庫
私がこれまでリチャード・マシスンが読みたくて古本を探してると言ってたのは、じつはこれを探してたんですねえ、去年の10月についに手に入れた。
いまから5年以上前かな、いちど神保町で見つけたんだけど、値段が高くてびっくり、迷ったけど、文庫でいくらなんでもそれはないだろ、と思って見送ったんだが。
その後どこでも見つからんから、数か月後だったかに、やっぱり買っとこと思い立って行ったら、もうなかった、とかく古本とは一期一会である。
ちなみに今手元にあるやつは1991年の七刷で、カバーにある3%の税込定価に対して、神保町の古本屋で私を当時驚かしたのは、そのざっと四倍くらいの値札だった。
で、あちこち古本屋に入っては見つかるとは思えないが探してた日々が続いたあと、去年だったか一昨年だったか地元の古本屋で見つけたんだが、これが数年前の値段のさらに三割以上増しになってるんで、それはないだろさすがに、と断念してた。
どうでもいいけど、いちど電車のなかでペーパーバック読んでるひと見かけたことがあって、廉価であるなら英語版でも読んでみるかあと思ったこともある。
まあ、ともかく、探しつづけた結果、まあこのくらいならと自分が納得できる買い物ができたのは、昨年中いちばんの収穫ではあった。
んで、満足してというか、興奮をクールダウンさせてというか、しばらく大事にしまっといて、最近やっと取り出してきて読んでみた。
さて、それはそうと、なんでそもそもこれを読もうと思い立ったかってことを、ほぼ忘れかけてたんだが、いろいろ考えたりしてみたら、きっかけは町山智浩さんの『トラウマ映画館』を読んだときではないかと判明した、いまから6年ちかく前ですね。
『バニー・レークは行方不明』という映画をとりあげた章のなかで、
>プレミンジャーは「消えた旅行者」の話が人々を恐怖させ続ける理由がわかっている。それは実存的不安だ。人は周囲の記憶と書類なしには証明できない不確かな存在なのだ。その意味でこのジャンルの最高傑作は『恐怖のレストラン』の原作者でもあるリチャード・マシスンの短編小説『蒸発』だろう。(『トラウマ映画館』p.21)
って一節があって、興味もったんだろうと。そんなおもしろい傑作あるのなら、ぜひと。
そこから「蒸発」読んでみたい、「蒸発」どこだ、なに「激突!」って文庫に収録、と調べがついてから探し求める旅が始まっちゃったんだろう。
読んでみれば、収録作はわずかに5つの短篇集、巻末に訳者解説あって、長篇・短篇の作品リストがあるんだけど、表題作が1971年と当時新しくて、あとは1953年の作品だから、表題作を日本で出版したくて、あとは適当に集めたのでは、という気がしないでもない。
その表題作「激突!」は、スティーヴン・スピルバーグの初期監督作として有名だからねえ(有名なんだよねえ?)、その映画も同1971年につくられたらしい。
どうでもいいけど、私ゃ、映画としてはそのあとの「続・激突!」のほうが好きだ、続編でもなんでもなくて違う話なんだけど、ゴールディ・ホーン(主演女優さん)がなんつってもいい。(「潮風のいたずら」も私のフェイバリット。)
「激突!」はその映画のおかげもあってストーリーも知られてるだろうけど、ひょんな追い越ししたことから、トレーラーに執拗におっかけられる恐怖の話だ、原題は「Duel」なんで決闘って意味なんだろうが、どうして邦題「激突!」になっちゃうのか、そのへんはよくわからん。
「狂った部屋」は作家志望だけどなかなか創作ができない英語教師の男がカンシャクを起こして、家の中の物にあたりちらしたりするんだけど、なんか「ミステリーゾーン」にこんなのあったなと思った、「機械に脅迫された男」と似た感じかな。
「スローター・ハウス」は古い邸を買った二十代の兄弟が亡霊に悩まされるというか憑りつかれる展開、同じ作者の『アースバウンド』は前に読んだけどその原型って感じかな。
「不吉な結婚式」は、前に読んだことがあった、『リアル・スティール』って文庫本のなかに「結婚式」って題で入ってたよ、
>とにかく木曜日に式を挙げることはできない。木曜日は、悪魔が自分の母親と結婚した日なのだから、と彼は彼女にいった。(p.213)
って書き出しが印象的なんで、おぼえてた、なんとも狂気じみてていい、普通ぢゃない感いっぱい。
肝心の「蒸発」がどんな話かは書かないでおこうっと、書き出しは、
>以下の記録は二週間前ブルックリンのキャンディ・ストアで発見された大学ノートに記されていたものである。カウンターの上にはこのノートと並んで一杯の飲みかけのコーヒーがあった。店の主人によれば、ノートに気づくまでの三時間、誰もその席には坐っていなかったという。(p.181)
である。うふふ、うふふ。
収録作は以下のとおり。
「激突!」 Duel(1971)
「狂った部屋」 Mad House(1953)
「スローター・ハウス」 Slaughter House(1953)
「蒸発」 Disappearing Act(1953)
「不吉な結婚式」 The Wedding(1953)

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