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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

アダムの肋骨

2011-11-17 21:04:49 | 諸星大二郎
諸星大二郎 1982年 創美社・ジャンプスーパーコミックス
きのうまでとは何の関係もなく。
ぽつぽつとリストアップをつづけている、諸星大二郎のコレクションのひとつ。
“傑作短編集”となってますが(なんかこのテのフレーズが多いような気がするけど)、実際なかなかモロ☆らしい作品が多くて、いいと思いますよ、この単行本。
コンテンツは
「アダムの肋骨」
「貞操号の遭難」
「男たちの風景」
「詔命」
「不安の立像」
「真夜中のプシケー」
「袋の中」
「肉色の誕生」

「アダムの肋骨」はSFもの。未知の惑星に不時着した宇宙飛行士たちが、そこにいる大型の鳥と出会うのだが、その鳥の腹の模様はまるで女の顔。著者は後に『私家版鳥類図譜』って単行本をものにするんだけど、そこに収められてもいい内容。いわゆるハーピーですね、その鳥は。
「貞操号の遭難」もSFもの。地球での出産率の低下を受けて、まったく別の高等生物との交配による品種改良というテーマを背負って、宇宙に飛び出した女性宇宙飛行士たちの物語。「ティラノサウルス号の生還」ってのもあったなー。著者はその後『バイオの黙示録』ってのを描くんだけど、そこでも出てくるよね、植物だか動物だかわかんない種族の話。
「男たちの風景」もSFもの。銀河の辺境の星マクベシアでは、三種類の人間を見ることができる。ひとつは美しく浮気好きな女たち、もうひとつは醜くひからびたその夫たち、そして最後はびっくりするほど美しい若者の男たち。美しい若い男たちも、結婚するとあっという間に、見た目も性格もダメになるという、その土地の風土。
「詔命」は、「礎」の改題とされているけど、「礎」そのものを読んだことはないです、私。都内の地震研究所に勤めている公務員に訪れた特殊任務のようなものの話。諸星伝奇モノらしくて、いいです。
「不安の立像」は、「妖怪ハンター」とかに近い、怪奇的なもの。『恐怖新聞』みたいに脅かす感じぢゃなく、そこは諸星モノらしく、ビミョーな不安を感じさせる話。線路際にたたずむ、黒い布をすっぽりかぶった人間みたいにみえる存在は何者なのか。
「真夜中のプシケー」は、悪魔もの。謎はハッキリと解明されないまま残るとこが、諸星流の不安をあおる演出。
「袋の中」も、真相がなんだかわかんないまま、不安な怪奇を描いてるとこが、いいんだよね、これはこれで。ゴミ捨て場で拾ってきた謎の奇妙な動物を、袋の中で飼うんだ。そいつは、生きたエサを、袋の中に入れてやると、むさぼり食う。
「肉色の誕生」は、副題が「ホムンクルス」。そう、人工的に(錬金術だ)生命をつくりだす話。悪趣味ともいえる幻想的なキャラが登場して、ドロドロしてて、この話が好きな諸星ファンは多いはず。踊る六郎、とかね。

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