金沢城や兼六園では葉桜になってしまった桜を観光客が撮りまくっています。
ここ寺町の大桜もいつの間にか葉桜になりました。
寺町5丁目に松月寺というお寺がある。寺の名前より大桜の方が有名だ。かつて市電が走っていたとき、大桜という停留所があったくらいで、ここの大桜は金沢のナンバーワンといわれる。
なんでも前田利常が小松に隠居していたとき、小松城中にあった桜を当時の松月寺住職至岸和尚がもらいうけたといわれ、御殿桜ともいう。昭和18年(1943)に国の天然記念物に指定された。
この大桜は、あまりにも見事に枝がはびこっていたので、交通の邪魔になった。そこで道路の上に広がった分を切ったほうがいい。いやせっかく殿様から頂いたのにもったいない、と賛成と反対の両派が甲論乙駁した。
そうこうしているとき、ある人が木に登って一部の枝を切ろうとしたところ、仏罰が当ったのか、殿様罰が当ったのか落ちて大けがをしてしまった。それから長い間、沙汰やみになっていたが、電車が通り頻繁に車が通るようになると交通妨害というので一部の枝だけ切り落とすことにした。往時ほどの迫力がないものの、現在も見事な花を咲かせ、道行く人々の目を楽しませてくれる。―「金沢・町物語(能登印刷出版)」より。
松月寺境内より
木が大きくなりすぎたためお寺の塀がえぐりとらている。
中には2代目も用意されている。
松月寺の住職が小松城の桜をほめちぎったため、小松城に隠居いた前田利常が「そんなに気に入ったのならもっていけ」といったという。
当時は金沢の道路が狭く曲がりくねっていたため、角が曲がまれず軒を壊してまで運んだそうです。
小松から金沢まで30㎞、どうして運んだか知らないがさぞ大変だったろう。