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☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『MAKE THE LAST WISH(デジタル)』 (2008)

2014年02月23日 | 園子温監督☆映画
『MAKE THE LAST WISH(デジタル)』 (2008)

監督:園子温
主演:満島ひかり、堀部圭亮、安藤サクラ、清水優、倉本美津留


【作品概要】
“アヴリル・ラヴィーンの妹”オーディションにやってきたミナミの動機とは!? オーディションはガチだったという、ドキュメンタリー・ドラマ作品。渋谷スクランブル交差点の真ん中で「Girlfriend」を歌う満島ひかりを観よ! アヴリル原作のコミック「Make 5 Wishes」の続編としてネット配信されるはずが頓挫した、幻の作品。
(シネマヴェーラHPより)

【感想レビュー】@theater
未公開という貴重な作品を観ることが出来ました!

この作品も、目を離すことが出来ず、集中して観ました。なんだか吸引力があるのです、園監督作品

満島さんはこの頃は無名の俳優だったという事ですが、オーラが…すごい…
歌いながらのダンスも格好イイですっ!!

ドキュメンタリーとフィクションが交錯する、なんとも不思議な作品ですが、その温度の差、空気感の違いから生じる隙間に、面白さと魅力が詰まった作品でした


【園監督×水道橋博士のトークショー】

上映後、軽やかに監督と水道橋博士さんがご登壇されました
お二人とも、ハットを被られていて素敵でした。

監督は何やら酔っぱらいのご様子!
直前まで、情熱大陸の密着で焼肉屋さんで呑んでいたらしく…!!
かな~り出来上がっていらっしゃいます(゜o゜;;…。
ひとしきりしたら、おもむろに控え室の飲みかけのお酒を持ってきてとスタッフに言い、そして瓶入りのお酒が手渡される…。お酒を呑みながらトークショー!!
それでこそ、園監督‼…っていうところを生で拝見してテンション上がりました

結局、水道橋博士さんがご用意された、ケーブルテレビでの上映しかなかった『園子温実験室』の芸人宣言デビューライブ』のメーキング映像を観ながら、監督と水道橋博士さんが話す、というコメンタリーのような形式でトークショーは進みました!
楽しかったです

『Make the Last Wish』上映後の監督のお話しですと、オーディションは実際のもので、そこにフィクションの話しを織り交ぜて撮った作品とのこと。
オーディションに満島さんとお邪魔して撮っていたと仰っていました。

また、『愛のむきだし』の後に撮った作品だった。あの頃は、みんな無名でスケジュールが空いていたから、『愛のむきだし』のキャストに本作にも出てもらったとのこと。

数々の貴重なこぼれ話をお聞きできて、とっても楽しかったです!
今年はなんと!映画を3本も撮るとのこと!!!
どよめきが起きていました!

また何か思い出したら書きたいと思います

『桂子ですけど(16mm)』 (1997)

2014年02月23日 | 園子温監督☆映画
『桂子ですけど(16mm)』 (1997)

監督:園子温
主演:鈴木桂子、内田栄一


【作品概要】
赤・黄・緑といった原色で彩られた部屋でひとり暮らしをするウエイトレス・鈴木桂子が、22歳の誕生日を迎えるまでの日々を描く。1秒1秒を意識しながら、桂子の大切な時間を記録していく“1時間1分1秒”の日記映画。徹底的に時間にこだわった実験的手法が才気を感じさせる。(シネマヴェーラHPより)
【感想レビュー】@theater
この作品、好きです
観念的な作品です。

冒頭の、無言でカメラに視線を向けている“桂子”の正面の顔の長回し。
執拗に長いので、観ている者がまるで桂子と見つめ合っている気分になります。
作品の世界と劇場との一体感。同じ時間が流れているように錯覚するのです。
そうこうするうちに、桂子の、時間についての淀みないナレーションが始まります。
ひたすら続きます。
そして、赤くて黄色い物に囲まれた部屋の長回し。
ほぼ中央のローテーブルに置かれたマグカップに立ち上る湯気だけが、時間の流れを感じさせます。

1秒を意識するというと、音楽をやっている者としては、まず、♩=60を頭に浮かべますが、それが確かに作品のあるところから効いてきます。

『1、2、3、4、5…』
桂子が秒針に合わせて歩き始めます。
クラシックの古典音楽が流れます。何の曲だったのかしら…。
音楽は、スイングするので、秒針とピッタリ合わない瞬間も沢山あるのですが、スイングしてもプラマイゼロにする考え方なので、特にフレーズの始まりの音と、桂子の数える秒数が、ピッタリ重なる時は、鳥肌ものです

園監督の作品を観るにつけ、監督のクラシック音楽の使い方が、とってもしっくりくる事に気付かされます。

作品世界と劇場の時間や空気が一体化する概念というと、アメリカの作曲家ジョン・ケージの通称『4分33秒』が思い起こされます。
無音音楽です。
ピアノを用いられる事が多いのですが、奏者は音を出しません。
袖から出てきて、お辞儀をし、ピアノの前に座ります。そしてひとしきりしたら、立ち、お辞儀をし、袖に去っていきます。
この会場の中のガサゴソとした物音さえも、今、この瞬間のこの空間で鳴っている音、空気、時間そのものが音楽であり、偶発性の芸術なのだという概念なのです。
実験音楽家としても知られるケージは、前衛芸術に大きな影響をもたらしました。

桂子のナレーション、桂子の一歩一歩、♩=60の曲。それらがっ相まった、素晴らしいアート映画でした