☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『クロユリ団地』(2013)

2014年06月30日 | 邦画(1990年以降)
『クロユリ団地』(2013)

監督:中田秀夫
前田敦子
成宮寛貴
勝村政信
西田尚美
田中奏生
高橋昌也
手塚理美

【作品概要】
『リング』シリーズや『仄暗い水の底から』などの鬼才、中田秀夫がメガホンを取ったホラー。とある団地へと引っ越してきた女性が、そこで続いている変死事件の真相を追ううちに想像を絶する恐怖を体験していくさまが描かれる。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
久しぶりに映画
WOWOWを録ったのですが…。

これは思ったより、とても深くてビックリしました!
ホラーだけども、怖い!…というよりは、大切な人を失った人の哀しみが強く滲む作品でした。また、老人の孤独死を悼みつつ、肯定的に捉える要素もありました。
生も死も、生きている人間の中に宿る概念なのかもしれない…。

団地の階段を上り、右側が前田敦子さん演じるヒロインの住むこの世。左側があの世。そこを行ったり来たりする時の画にバリエーションがあって飽きさせません。とっても良かったです。
作品の端々にヒントがあり、最後に繋がっていきます。

正直、前田敦子さんはどうなのかな…と思って観たのですが、不思議と惹きつけられるものがありました。

老人の正面のシルエットが、あまりに壮絶で凄かった…‼あれ、でもこのシルエットは高橋昌也さんっ
よ、よくこの役を引き受けたなぁ…と思いつつ、吸血鬼ゴケミドロの高橋昌也さんを思い出し、妙に納得しました…。

深みのあるホラー映画は、作品としてグッとくるものなのですね












『私の頭の中の消しゴム』(2004)

2014年06月21日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『私の頭の中の消しゴム』(2004)

監督 :イ・ジェハン
チェ・チョルス:チョン・ウソン
キム・スジン:ソン・イェジン
ソ・ヨンミン室長(スジンの元不倫相手):ペク・チョンハク
アンナ・チョン(ヨンミン妻の同級生):イ・ソンジン
キム社長(スジン父):パク・サンギュ
【作品概要】
不治の病と闘いながら、きずなを深めていくカップルを熱演する。“若年性アルツハイマー”という重いテーマを扱いつつも、最後まで希望を捨てないエンディングは秀逸。今までの韓国映画とは一線を画す、美男美女による格調高い恋愛ドラマ。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】
『サヨナライツカ』のイ・ジェハン監督作品なので、観たいな…と思いつつ、恋愛映画は苦手なので後回しにしていましたが、先日、WOWOWで放送していたので、やっっと観ました。
この手の映画は、ツッコミながら観てしまうと味わえないので、そこの感覚には蓋をして(!!!!)観ました

『サヨナライツカ』は後半が残念な感じが否めないのですが…前半は映像美が素晴らしいし、何度も観る作品なので、映像美には期待して観ました

ストーリーもありきたりですし、展開も早いし(ここは良かったです)、主人公の2人の容姿や雰囲気、細々としたエピソードが肝だなぁ…などと偉そうに観ましたが…まんまとちょっと泣きました
(私のどこにそんな一面が…)でも、少女漫画の世界に連れて行ってくれます

しかし、その涙も吹き飛んだのは…吹き飛んだのは…医師の老けメイク…。
これは…まさか…『サヨナライツカ』でも観たあの…老けメイクでは…

うーん、うーん。

それでも、主人公の2人の雰囲気は良かったです。男性に漂う粗野な見た目とその精神は、育ちから来るものの、どこか理知的な雰囲気が漂っていたり。
女性の方は、さぞ大事に育てられたのでしょう、というお嬢様育ちながら、視聴者に反感を持たれなそうな感じなので。
俳優陣が良かったです

しかし、あの老けメイクは…。
イ・ジェハン監督の美意識を持ってしてなぜ…。


『MOVIE BOX-ING ムービーボクシング 2ノーパンツ・ガールズ』(2004)

2014年06月21日 | 園子温監督☆映画
『MOVIE BOX-ING ムービーボクシング 2ノーパンツ・ガールズ』(2004)

【作品概要】
毎年函館で開催される<函館港イルミナシオン映画祭>が主催するシナリオ大賞の優秀作品を映像化する短編オムニバス企画“Movie Box-ing”の第2弾作品。今回は、大賞を受賞した森田剛行の『ノーパンツ・ガールズ』を基に、3人の気鋭監督が独自の切り口で競作。作品は、現役学生の月川翔監督による第1話「ノーパンツ・ガールズ」、「アニムスアニマ」の斉藤玲子監督の第2話「ノーパンツ・ガールズ外伝」、そして「自殺サークル」の園子温監督が描く第3話「大人になったら」の3本で、同一の原作とは思えない三者三様の世界観が展開していく。
「ノーパンツ・ガールズ」、「ノーパンツ・ガールズ外伝」、「大人になったら」(ツタヤディスカスより)

【感想レビュー】
園子温監督の過去作品を巡る旅。ついに20作品目です。
なんというか…、タイトルにもめげずに借りて観ました。
『性戯の達人 女体壺さぐり』や『うつしみ』も観たので、もう怖いものなど無いのだ‼ガハハ的なテンションであります

これは、原作『ノーパンツ・ガールズ』を元に3人の監督が撮ったものなのですが、三者三様でそういう意味では面白かったです。
小学生の高学年の女の子達が、退屈な日常を憂いている…というシュールで、でもありそうな話。(ノーパンという生理的に受け付けない状況にはあえて目を瞑ります…)

【第1話 月川翔監督】
「ノーパンツ・ガールズ」
大人びた女の子達と子ども全開の同級生の男の子達の対比が懐かしく思いだされる、まずまず爽やかな作品でした。

【第2話 斉藤玲子監督】
「ノーパンツ・ガールズ外伝」
女性の監督だからなのかは分からないですけど、女性が主体の目線は居心地が良かったです。

【第3話 園子温監督】
「大人になったら」
お目当ての作品。これは…やっぱり三作品の中でもぶっっ飛んでおりました…

少女達の、退屈過ぎる子どもである状態から早く“大人になりたい”という願望を映像化した、ちょっとリアルでショッキングな内容です。
サーッと流して観れば、変化球のアダルトビデオ的な要素を楽しめばいいのかも…。私には分かりませんが…

ただ、園監督らしいなと思ったのは、成人女性達が小学生の格好でランドセルを背負っているシーン。
内面の“大人”を、可視化しているのです。しかしそれ位ならまだありそうなのですが…、教室のシーンで、女性教師が教壇に立って、静かにしなさい!とクラス中に呼びかけるシーンで、教師が子どもになり、大人になりたい少女達が成人女性の画になるところ。
しかし、廊下に彼女達を呼び出して諭すシーンでは、教師が成人女性に戻って、少女達は元通り子どもの画になるところ。

そういえば、『Strange Circus 奇妙なサーカス』(2005)の中にも、成人した女性が小学生の格好でランドセルを背負って歩くシーンや教室に居るシーンがあります。それは勿論、理由があってのシーンなのですが、画だけ切り取ると、アダルトビデオと紙一重な感じに…!
この短篇映画に、撮るにあたってどのような裏話があるのかは分かりませんが、原作がある中で、画によってある種の二重の概念を持ち込む辺りが、園監督っぽいな…などと偉そうに観ました…。

『夢の中へ』(2005)

2014年06月18日 | 園子温監督☆映画
『夢の中へ』(2005)

監督:園子温
鈴木ムツゴロウ:田中哲司
タエコ:夏生ゆうな
ケイジ:村上淳
ユウジ:オダギリジョー
ランコ:市川実和子
町田:岩松了
鈴木の父:麿赤兒
演出家:温水洋一
タエコの友人:小嶺麗奈
手塚とおる

【作品概要】
園子温監督が、自身をモデルに描く不条理ファンタジー。照明を使わず1シーン1カット、わずか2週間で撮影された。

【感想レビュー】
強烈だった…!!!
とにかく面白くて面白くてヒーヒー笑いながら観ました。
劇団の中の話しが出てきます。
それで、稽古で演技をしているシーン、本番の舞台で演技をしているシーン、またテレビドラマで演技をしているシーンなど、演技をしているシーンが劇中で沢山あるのですが、それ以外のシーンも、1シーン1カットで撮っているので、その境目がぼんやりしています。夢なのか現実なのか現実で演技しているのか…が判別出来ない時間帯が多くあります。
でも、あるキーワードで戻ってくるというか…

状況もさることながら、台詞が面白いです。役者人も素晴らしくて
田中哲司さんは、職人的な性質の役者のように思うので、観ていて安心感があります(どんなに壊れた役でも…)。好きな俳優さんです
オダギリさんは、もちろん演技なのですが、元々内包しているものが滲み出る怖さが…爆発していました
なんてピッタリな役なの…

ある電車のシーンがとっても印象的なのですが、レンタルDVD特典に数テイク入っていて、興味深く観ました。微妙に台詞が違ったり、役者の動きも違うし、走っている電車なので、太陽光の入り方も刻々と変化していきますし…。生ものですね…。
そして何より、使用されたテイクは、所々台詞が聞き取りにくかったりもしたのですが、エネルギーが爆発していて、本当に素晴らしいし、何回もリピートしてしまいました
このシーン、あり得ない、不条理な状況設定を作りながら、それに耐えながら、抑圧していた感情を爆発させる素敵なシーンです

園監督のヒリヒリする自我が、色んな役者の台詞に振り分けられていて、実は社会派なのに、状況は卑猥だったりコントみたいだったりの面白い映画です

好きな台詞↓
『俺はいつから俺じゃないのか。そんな事は関係ない。そうだ、そんな事は関係ない!20代の頃、無数に居た俺からチョイスした今のこの状態は、俺が選択したんじゃない、金星人のせいだ!』

『俺はチェーン店じゃないよ!俺は俺のチェーン店じゃない!』

『フリージア』(2007)

2014年06月15日 | 西島秀俊さん☆映画
『フリージア』(2007)

監督:熊切和嘉
ヒロシ:玉山鉄二
ヒグチ:つぐみ
溝口:三浦誠己
山田一郎:柄本佑
岩鶴:嶋田久作
シバサキ:竹原ピストル
ナツミ:坂井真紀
幽霊:大口広司
岩崎恒夫:すまけい
トシオ:西島秀俊

【作品概要】
「月刊IKKI」で連載中の松本次郎のバイオレンス漫画を、玉山鉄二主演で映画化。合法的に敵討ちが行なわれる世界を舞台に、敵討ちの執行代理人となった青年の闘いを描く。


【感想レビュー】
最近、園監督の『HAZARD』→ドラマ『MOZU』→『CUT』を夜な夜な復習する…など、何やらテンションがアクションと男臭い世界観にダイブ中です。(元々好きです
『HAZARD』のエグゼクティブプロデューサーに熊切和嘉さんのお名前があって、エンドロールには確か 、 脚本協力としてお名前が出ていたと思うのですが、やっぱり撃ち合いのシーンの連想もあって、『フリージア』を復習することに

ストーリーは、漫画が原作という事もあって、いかにも青年漫画の世界観です。この作品は一度観ていて、その時もけっこう楽しく観たのですが、今回はまた新しい発見があって、より満足感を味わっております

ストーリーの設定がリアルではないのですが、そこに生きる登場人物達の心理描写が妙に人間臭くて、作品世界に入りやすかったです。
作品世界と現実世界を繋ぐ様々な対比が効果的に使われていました。
痛みを感じる事ができなくなったヒロシ(玉山鉄二さん)と、痛みを背負って生きてきたトシオ(西島秀俊さん)の対比。
喫茶店のヒロシとお店の外のデモ隊の温度差…。
また、三浦誠己さんの演じる溝口の風貌や無差別に発砲するハチャメチャなキャラクターと柄本佑さんの演じる頼りないけれど誠実で不器用で、どこかに居そうな冴えない山田一郎のキャラクターの対比。
そして、ヒロシの着ている青いライダースとヒグチの赤いニットや大判の肩掛けの色の対比。

そして敵討ち。結局は、罪のない一般の人たちのまでが、溝口の無差別の発砲によって命を落としました。その時のヒグチの思いは…。
…と、こんな感じで、近未来の架空の話しでありながら、メッセージ性も感じさせる作品で、なんだか好きです

西島さん、撃ち合いのシーンは本当に嬉しかっただろうなぁ…。心の機微が目に表れていて、本当に惹き込まれます。そうそう、青年時分のトシオは石田法嗣さんが演じていますが、やっぱり西島さんと似ているなぁとしみじみ思いました。印象に残る俳優さんです。