☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『革命の子どもたち』(2011)

2014年08月13日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『革命の子どもたち』(2011)

監督:シェーン・オサリバン
出演:重信房子、重信メイ、ウルリケ・マインホフ、ベティーナ・ロール、足立正生、塩見孝也、大谷恭子 他
2011年/イギリス/カラー/HD/88分 配給=太秦
【作品概要】
1968年、学生たちによる革命運動のうねりのなか女性革命家として名を馳せた重信房子とウルリケ・マインホフ。ベトナム戦争で行なわれた虐殺に戦慄した彼女たちは、世界革命による資本主義勢力の打倒を目指し、それぞれ日本赤軍とドイツ赤軍を率いて活動した。本作はふたりの娘である作家兼ジャーナリストの重信メイとベティーナ・ロールが、母親である房子とウルリケの人生をたどり、現代史において、最も悪名高きテロリストと呼ばれた彼女たちの生き様を独自の視点から探ってゆく。母親たちが身を隠すなか、ある時はともに逃走し、誘拐されるなど、メイとベティーナは過酷な幼年期を過ごし、壮絶な人生を生きてきた。再び民主主義の危機が叫ばれるなか、彼女たちは自身の母親たちが目指した革命に向き合う。
彼女たちは何のために戦い、我々は彼女たちから何を学んだのか?(ユーロスペースHPより抜粋)

【感想レビュー】@theater
上映期間が短いですが、観たかった作品に行けました
一度観ただけでは分からない点もあって、DVDだったら吟味しながら観れるのになぁ…と思いました。情報量が多いです。基本的に皆が早口なのもある…
観終えてからずっと、この手の作品に自分が惹かれる理由を考えているのだけども。
当時、学生を始めとする若者たちが、“革命”の何に熱狂し、どうして全てを掛けていったのか、という事。
また、重信房子が日本で逮捕された時の表情、振る舞い、佇まいなど…その異様さは、私の中でショッキングな映像として記憶されているわけだけど、あれは一体何だったのか。
そして、『ピンクリボン』を観た時にも感じたのだけど、足立正生という人物は一体何者なのか…?
そういった数々の疑問がずっとあって、観たというのがあります。

観終えて、革命家の娘たちの軌跡を知ることが出来てとても良かったと思った。彼女達には、マクロ的なあらゆる視点から母親を捉える事によって、その濃い血族関係の中で窒息しないように必死にもがいて生きてきた感があった。
そしてやっぱり、足立正生という人物にすごく興味が出てきた。何故、彼は映画監督でありながら、最前線で被写体と同化してしまったのか。
ネットで調べたら、とても興味深いインタビュー記事が出てきた。

【ドキュメンタリストの眼③足立正生監督インタビューtext金子遊】
http://webneo.org/archives/7102

【2002年2月執筆『映画芸術』の記事より“映画の中に自らの人生を組み込んでしまった足立正生の恐ろしさ ”(text宮台真司)】
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=923
↓抜粋
■結局、足立映画を全部見たのだが、全作品を通じて足立のモチーフが、①「ここではないどこか」がありえないという不全感に満ちた世界を、②性と暴力で切り裂こうとするが、③結局は「ここ」に戻ってしまう、という循環形式にあることが分かり、私はハマった。


あぁ、なんて恐ろしい人物なんだと震える思いで記事を読みました。彼の初期作品を観たい…!!と思ったら、なんとシネマヴェーラで、2010年に特集されていたのですね。行きたかった…!!
まずは、足立さんの本を読みたいと思います。
どうして、革命や性や愛や暴力が混ざり合い、作品世界に組み込まれ、映画という一つの芸術に落とし込まれていくのか。
私はそれが凄く凄く知りたい。

それは、音楽の世界とも強い繋がりがある事だから。

『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』(2013)

2014年08月07日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』(2013)

監督/脚本:バーナード・ローズ
デイヴィッド・ギャレット
ジャレッド・ハリス
クリスチャン・マッケイ
ヘルムート・バーガー

【作品概要】
超絶技巧で有名な伝説的バイオリニスト、ニコロ・パガニーニの破天荒な人生と、彼の人生を変えた2人の人物との出会いを描く伝記ドラマ。スキャンダルが絶えない異端児パガニーニを、欧米で圧倒的人気を誇る天才バイオリニスト、デイヴィッド・ギャレットが演じる。(Yahoo!映画より)

【感想レビュー】@theater
やっっと観に行けました

作曲家を描いた映画というのは沢山あるけれど、吹替なしというのは、実はあまりない。
でもこれは、ソリストと俳優、それぞれがその分野のプロでなければならない事を考えると、同一人物が兼ねるというのはやはり難しいことだと思うので、ジレンマというか仕方のないところなのだけれども。
どっちを取るかとなると、演技面を考慮して俳優を使い、演奏は吹替で…となるのだけど、これは音楽映画の場合、陳腐になりがちだった…。
ましてやパガニーニのようなヴィルトゥオーゾを描くとなると、やっぱりどうしても吹替なしの“本物”の演奏を劇中で聴きたくなるわけなのです

そして、そんな事が出来るのは、容姿にも恵まれ、ヴィルトゥオーゾを演じるにも申し分のないデイヴィッド・ギャレットは、あまりに素晴らしい素材であって、それを自分で分かっているあたり…うむむ
でもパガニーニを演じるなんて、相当にプレッシャーだったはずですよね…

そして、映画はというと…。ところどころ端折ったり、ん?って思うところがあるのは否めませんが、パガニーニを2時間で描ききるのは、土台無理な話しなので、仕方ありません。うん。
そこはもう演奏がすべてを物語っていますし、楽曲に魂ありきという事で

劇中にシューベルトが使われているところもパガニーニとの関連で良かったですし、パガニーニの真髄が超絶技巧だけではなく、アリアにもあるというテーマもあって、とても良かったです

いやぁ、ギャレットは格好良かった…


『夏の遊び』(1951)

2014年08月06日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『夏の遊び』(1951)

【作品概要】
1951年/98分/スウェーデン/モノクロ/スタンダード/デジタル/モノラル
出演:マイ・ブリット・ニルソン、ビルイェル・マルムステーン/脚本:イングマール・ベルイマン、ヘルヴェット・グレヴェーニウス/撮影:グンナール・フィッシェル
ゴダールが、最も美しい映画と絶賛した初期の傑作。ベルイマンが学生時代に書いた小説「マリー」を自身で脚色、あるプリマ・バレリーナの過去の苦い恋を描く。後の『野いちご』を想わせるフラッシュバックを使用。初めてすべてを自分のものとして作ることが出来たという、ベルイマンお気に入りの作品である。(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
観ながらジワジワ…とくる作品でした
若者讃歌のくだりは、もう本当に眩しくて息もつけず、観入りました
でも結局は、良い時も悪い時もあって、まぁトータルで人生はこんなものだろうといった実は温かい視点が心地よい作品でした

バレリーナの四肢、背中、身体全体が作品に躍動感を与えていて、ピアノ曲を始めとする劇中のクラシック音楽はとてもしっくり馴染み、重要な要素になっています

ベルイマンの作品にはクラシック音楽が生活の一部になっているという描写が多いように思います。お屋敷の中にピアノ、プレイエルかな?が置いてあって、演奏するシーンがしばしば出てくるのですが、それは登場人物の階級や生活レベルを一瞬で物語るアイテムになっていて、ごく自然な使われ方が説得力があって好きです

今回の特集で『冬の光』も観たかったですけど、もう行けそうにありません
またそのうち特集がありますように…



『夏の夜は三たび微笑む』 (1955)

2014年08月02日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『夏の夜は三たび微笑む』

【作品概要】
1955年/110分/スウェーデン/モノクロ/スタンダード/デジタル/モノラル
出演:グンナール・ビョルンストランド、ウーラ・ヤコブソン/撮影:グンナール・フィッシェル
舞台は20世紀初頭。北欧の白夜の中で展開される軽妙なタッチのコスチューム・プレイ。ベルイマンには珍しいエロティックな喜劇だが、緻密な構成、見事な構図、充実した俳優の演技など、その完成度は高く評価され、ベルイマンが世界に出ていくさきがけとなった。(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
面白くて、思わず仰け反って(!!)笑って観たりしました
ベルイマンでこんなに楽しい作品があるとは…
まず台詞が面白いし、粋だし、展開は薄々分かってはいても、細々と面白いシーンがあって、飽きさせません。

20世紀初頭の上流階級のお戯れ…。軍人を皮肉ったり、ちょっとブラッキーな感じも楽しい要素だったりします
着飾って澄まし、不倫も粋な恋愛のうちと言わんばかりな彼らと、召使い達ののびのびとした自由恋愛との対比が眩しいこと…!
その爆発するエネルギーは、新しい民衆の在り方を、また若者たちの愛の逃避は、新時代の到来を予感させる。

そしてやっぱり、石畳を歩くシーンは、素敵だなぁと思うのでした