☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014)

2015年10月23日 | 邦画(1990年以降)
『円卓 こっこ、ひと夏のイマジン』(2014)
スタッフ
監督:行定勲
原作:西加奈子
脚本:伊藤ちひろ
音楽:めいなCo.
出演者:芦田愛菜、伊藤秀優、青山美郷
入江甚儀、八嶋智人、羽野晶紀、丸山隆平(関ジャニ∞)、いしだあゆみ、平幹二朗

【作品概要】
大阪の団地で大家族と暮らすちょっぴり偏屈な小学3年生の少女のひと夏の成長を、ユーモラスに描いた感動作。大阪の団地で祖父母と両親、そして三つ子の姉たちと暮らす小学3年生の渦原琴子、通称こっこ(芦田愛菜)は、大家族の温かな愛情に包まれながらいつも不満だらけで、孤独に憧れていた。家と学校という限定された世界の中でいろいろなことに悩み、考えるこっこは、祖父・石太(平幹二朗)が教えてくれたイマジンという言葉を胸に少しずつ成長していく。(Wikipediaより)

【感想レビュー】
あぁ、なんて素晴らしい映画なのでしょう…‼
最近の邦画で、久方ぶりに感激したかもしれません
あれ、芦田愛菜ちゃん?と見紛う表情が多数。“こっこ”はエキセントリックな少女だし、主役だし、特別な存在感でなくてはならないのですが、もう本当に圧巻でした
円卓を囲む家族+たまに彼氏とか、お料理の数々とか、他愛のないお喋りに温かさが滲む。
エキセントリックな“こっこ”は、自分が発言すると、場の空気が変わってしまう事があると悩む。
でもみんながみんなある事柄について、同じような反応だったら、、、世の中は息苦しくて生きにくい社会に違いない。人と違う感性や発言は貴重で、かえってそれで救われる人も沢山いるのだ。でもそれには、他者の気持ちを想像し、その人の心の痛みを思った上で発言しないとなりません…というわけで、“こっこ”のひと夏のイマジン
そんな“こっこ”を、家族や幼なじみや周りの温かくて優しい眼差しが包む。

細部に至るあれこれを大好きになってしまう、そんな映画でした
原作を思わず買ってしまった…!



『野性の証明 』(1978)

2015年10月21日 | 邦画(クラシック)
『野性の証明 』(1978)

監督:佐藤純彌
出演者:高倉健、中野良子、薬師丸ひろ子

【作品概要】
森村誠一の小説、およびその小説を原作として1978年10月7日に公開された日本映画。東北の寒村で大量虐殺事件が起こる。その生き残りの少女と、訓練中、偶然虐殺現場に遭遇した自衛隊員。この二人を主人公に、東北地方の都市を舞台にした巨大な陰謀を描く。(Wikipediaより)


【感想レビュー】
夏八木勲さん目当てでレンタルリストにいれていたのですが、ようやく観る事に

もう次から次へと大物俳優さん達が出てきますから…興奮しながら観ました(みなさんお若いっ…)

ストーリーは後半になればなるほど破綻していくような気もしましたが、それを超越してしまう迫力のアクションの数々にグイグイ惹き込まれました

男も惚れる男を演じる高倉健さん。後半のストーリー展開に難がありつつも、ラストに向かってその部分がググっとクローズアップされてきて、なんだかシビれさせられることに…
夏八木勲さんも素敵でしたし、薬師丸ひろ子さんが可愛かった…


『肉弾』(1968)

2015年10月14日 | 邦画(クラシック)
『肉弾』(1968)

監督:岡本喜八
脚本:岡本喜八
製作 馬場和夫
ナレーター:仲代達矢
出演者:寺田農、大谷直子
音楽:佐藤勝

【作品概要】
「独立愚連隊」「日本のいちばん長い日」の岡本喜八監督による戦争ドラマの傑作。特攻隊員となった若者が作戦遂行直前に与えられた一日だけの休日に体験した瑞々しい出来事を通して戦争の愚かさとそれによって踏みにじられた幾多の青春への思いをコミカルなタッチで痛切に描く。allcinema ONLINE(外部リンクより)

【感想レビュー】
うーん‼…と思わず唸るほど凄い映画でした。反戦映画です。戦中日本の愚の数々を何とも痛快に描いていて、仲代達矢さんのナレーションや寺田農さんの台詞が、時にはまったりとしたテンションで語られる。内容はシニカルだったりするけど、そのまったりとした柔らかな語り調が妙にリアルさを醸し出しています。

寺田農さん演じる主人公の氏名は一切出てこず、あいつ、兵隊さん、牛、豚、ねずみ…神などと呼ばれる。でも彼は人間になりたいのだ。特攻に出る前の最後の一日を、神様でもなく、人間らしく生きたいのだ。そんな若者がたくさん、たくさんいたのでしょうから、たまらないですね…。

“あいつ”は、最後の一日をどう過ごすか考える。活字が読みたいと古本屋に寄り、それから女郎屋へ行く。因数分解を解いたり、数式を唱えたり。文化的な生活は一体どこへ去ってしまったのか。そういった事を描きながら、でもそれでいてちょっと、いやけっこうゲラゲラ笑えてしまったりするから本当に凄い
涙涙ものよりも、かえって胸に迫るものがあります。
大谷直子さんの裸身は白く輝き、寺田農さんの細いが雄々しい肉体に、瑞々しい若さが宿る。近い未来の希望さえ断たれた青春のエネルギーが充満する。
大谷直子さんのお若い頃、ちょっと土屋太鳳ちゃんに似てらしたなぁ

古本屋のくだりの笠智衆さんと寺田農さんの掛け合いがとってもツボでした。いや、むしろツボだらけの映画だった‼


広い海でぽつっと一人、魚雷がくくりつけられたドラム缶の中で傘を差しながら寺田農さんが『21歳と6ヶ月か俺…おしまいだなぁ』と言うシーン。
ドラム缶が波に揺られ、“第二あけぼの楼”と書いてある傘の“あ”の字が眼鏡に写る。目のとこにちょうどくるから、台詞と裏腹に何ともブラックユーモアなシーンに



いやはや、何度も観たくなる作品に出会えて嬉しいです






『暁の追跡』(1950)

2015年10月10日 | 邦画(クラシック)
『暁の追跡』(1950)

監督:市川崑
脚本:新藤兼人
出演者:池部良、杉葉子、水島道太郎

【作品概要】
カメラを交番の中に据え、ドキュメンタリー・タッチで警官の活躍を描いたもの。のちの様式美に至る様々な手法を模索していた時代の佳作。

【感想レビュー】
新橋の高架下。行き交う列車。建物はあれど舗装されていない道路。車や人々の往来。
戦後5年ほどの作品です。癒されない心を抱えながら、そして職になかなかつけず生活苦にあえぎながら、必死に生きる人々。盗みや詐欺…多少の悪が許されなければ生きていく術がないじゃないかという弱い心につけ込む真の悪人がいる。
一方、貧しくても日々健気に働く人々もいる。。
警察の仕事とは何なのかを主人公は苦悩する。悪を罰することで犯罪が減る社会を目指すことなのか。はたまた弱い者を助けることで犯罪を減らしていく社会を作るべきなのか。
労働者の争議に駆り出される警察。思いは労働者寄りだが立場上は抑える役割をしなければならない主人公。
その苦悩する主人公を演じる池部さんは本当に素敵なのだ…これがまた

ここに恋愛要素も絡んできて、くるくると表情が変わるキュートな杉葉子さんもまた、たまらなく素敵なのです

お二人のラブシーン…池部さんのあんな甘い声で『明日から部屋さがそ、ねっ』とか言われたら失神ですね…。

気を取り直して…。

そして、街を俯瞰で映したカットに見惚れ、レンガ造りの倉庫街のような場所の廃墟でのアクションの迫力に心が踊る

画面に映る、物、人々、そのすべてが荒々しく呼吸し、逞しく生きている。戦後の爪痕はもちろんありつつもエネルギーを感じる作品でした





『日本橋』(1956)

2015年10月10日 | 邦画(クラシック)
『日本橋』(1956)
監督:市川崑
脚本:和田夏十
原作:泉鏡花
稲葉家お孝:淡島千景
滝の家清葉:山本富士子
お酌お千世:若尾文子
葛木晋三:品川隆二
五十嵐伝吉:柳永二郎
笠原信八郎:船越英二

【作品概要】
妖しくも美しい女の恋の執念を描いた泉鏡花の名作を大映カラーにより再映画化。

【感想レビュー】
冒頭から妖しい雰囲気の漂う路地裏

なんと言っても女優陣の美しいこと美しいこと…‼ため息ものでした美し過ぎて、この世のものとは思えないほど…

大正初期が舞台ということで、芸者や芸妓の職業に対する世間の意識が背景にあります。それがありきの上で観ないとなりません。
なんというか…奥ゆかしさや健気さには胸を打つものがあります。2人の女の恋も、結局は表には出られない立場ということで、存在していながら存在していないようで物哀しい…。それがよけいに幻想的で儚い美しさなのですが。。

葛木晋三というインテリを演じる品川隆二さんのこのカットが西島秀俊さんに似ていらしたので思わずパチリ。。

あぁ、二枚目は時代を越えるンだな



そして美人も時代を越えるンだな、ふむふむと思ったのであった

それにしても怖いくらい魅力的な路地裏でした。吸い込まれそう。。。