☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『宗方姉妹』(1950)

2015年04月29日 | 邦画(クラシック)
『宗方姉妹(むねかたきょうだい)』(1950)

監督 小津安二郎
宗方節子:田中絹代
満里子:高峰秀子
田代宏:上原謙
真下頼子:高杉早苗
宗方忠親:笠智衆
節子の夫・三村亮助:山村聡

【作品概要】
当時の新東宝が力を入れていた文芸大作路線の一作。監督には松竹から小津安二郎が招かれ、小津にとっては初めて松竹を離れて制作した映画となった。ストーリーは大佛次郎の同名小説を原作とし、因習にとらわれて生きる姉と奔放な妹を対比させながら変わりゆく家庭の姿を描いている。(Wikipediaより)

【感想レビュー】
あぁ、久しぶりの小津作品
これも笠智衆さんの作品を出来るだけ観る旅でもあるのですが、今回の笠智衆さんは余命いくばくもない父親の役どころで、いつもよりさらに痩せています…。でも穏やかで温かい声色や包み込むような表情にグッときました。性格が対照的な娘達それぞれに対する愛情が…

そして多くの命が失われた戦争から5年後の公開という事もあり、社会復帰出来ない男性も描かれています。

新しい時代に向かっていくエネルギーが社会にあり…けれど癒されない傷を抱えている人も一方で多くいて…といいうような事が対照的な性格の姉妹と彼女達の周辺の人物で描かれているように思いました。

姉の台詞に『私は古くならないことが新しいことだと思うのよ。
ほんとに新しいことはいつまでたっても古くならないことだと思ってんのよ。』というのがありましたが、噛み締めております…

それにしても…田中絹代さんは『西鶴一代女』といい、幸薄い役どころが印象的です

そいで小津作品で、“キス”とか連呼するのあるのですねぇ…
高峰秀子さんが演じる妹のキャラに仰天しつつ楽しく観ました


『少年時代』(1990)

2015年04月27日 | 邦画(1990年以降)
『少年時代』(1990)

監督 篠田正浩
脚本 山田太一
製作 藤子不二雄Ⓐ
出演: 藤田哲也, 岩下志麻, 仙道敦子

【作品概要】
作家柏原兵三の小説『長い道』を、藤子不二雄Ⓐが漫画化した作品。
太平洋戦争末期、主人公の風間進一は東京から富山へ疎開する。そこで進一はタケシという少年と親友になるが、級長であり同級生の少年達の中の権力者であるタケシは、何故か学校内では進一を冷たくあしらう。やがてタケシと級友達との権力争いが始まり、進一は否応なくその争いに巻き込まれて行く。

【感想レビュー】
素晴らしかった~

子ども達の自然な表情が良かったです
子ども達の、実はシビアな世界の描かれ方にハラハラドキドキしながら観ました。時代は違うし、男女の違いはあれど、きっと誰しもが懐かしく思い出すと思う。
狭くて小さいけれど、そこが全てで逃げ場などないその世界。。

タケシ役の子は特に良かった

観ながら、木下惠介監督の『二十四の瞳』を思い出した。海のキラキラと光る水面や子ども達の表情やシビアな現実もホロっとさせる現実も、すべてを包み込むような眼差し。

調べたら、篠田監督は木下惠介監督の助監督を務めるなど関係が深かったのですね。。

なるほど。

ジャンルも年代も国も、気の向くままに旧作を観て、こういった関連性に気付くとき、なんだかとっても嬉しくなります。

映画ってこうやって脈々と受け継がれてきたのかなぁ…などと思ったりして


そしてまた旧作の旅は続く…



『日本のいちばん長い日』(1967)

2015年04月26日 | 邦画(クラシック)
『日本のいちばん長い日』(1967)

監督 岡本喜八
脚本 橋本忍
商品の詳細
出演: 三船敏郎, 加山雄三, 黒沢年男, 小林桂樹, 宮口精二,笠智衆,志村喬

【作品概要】
大宅壮一の名で発表されたノンフィクション『日本のいちばん長い日』[1](文藝春秋、初版1965年)を、東宝創立35周年記念作品のひとつとして映画化。昭和天皇や閣僚たちが御前会議において降伏を決定した1945年(昭和20年)8月14日の正午から、国民に対してラジオ(日本放送協会)の玉音放送を通じてポツダム宣言の受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を描いている。(Wikipediaより抜粋)

【感想レビュー】
圧巻です

笠智衆さんの作品を観れるだけ観ようという事で借りたのですが…。
そうか、三船敏郎さんが主役なのかな。いちいち存在感のある役者さんが出てきます。スター揃いの映画です
『七人の侍』に出てくる俳優さん達が沢山ですから
主だった役以外の登場人物の数も多いし、役のセクションも多いので、またさらに登場人物が多くなり…という感じでしたが、そこも分かりやすくて観やすかったです

8月14日から15日かけての、特にいちばん長い日の、ジリジリと時間が経つ感じが、それぞれの立場で丹念に描かれています。
陸軍大臣の阿南惟幾(三船敏郎さん)が署名をして、最後に鈴木総理(笠智衆)の部屋に挨拶に来る場面。そして部屋を出る陸軍大臣を見送る鈴木総理の背中…。もうそのシーンは片時も目が離せない。

陸軍大臣が暇乞いに来た事を悟りながらも、その覚悟を静かに見送るという…その時代の責任の取り方を改めて思い知らされるし、その空気感が臨場感があって胸を突かれます。。。

笠智衆さんの表情がまた…

陸軍大臣の切腹のシーンも凄すぎた…。

戦争というものは、結局は会議室で始まり会議室で終わるという印象を持つが、改めて最前線との温度差を感じずつにはいられない。実際に会議で見解が纏まらずに足踏み状態のまま時間だけが過ぎていく中で、多くの人が命を落としたわけなので…。

こういった事を、実際に戦争を体験してきた役者陣が演じるのだから、今の戦争映画とは一線を画すると思う。

凄かったなぁ…。

それにしても、宮口精二さんって他の作品でもしばらくしてから、あれ!?この役を演じてるの宮口精二さん!?ってなるので、今でいうカメレオン俳優的なかんじだったのかしらん…

『CURE』(1997)

2015年04月02日 | 邦画(1990年以降)
『CURE』(1997)

監督:黒沢清
高部賢一:役所広司
間宮邦彦:萩原聖人
佐久間真:うじきつよし
高部文江:中川安奈
宮島明子:洞口依子
花岡徹:戸田昌宏

【作品概要】
連続猟奇殺人事件を追及する刑事と、事件に関わる謎の男を描いたサイコ・サスペンス・スリラー作品である本作は、凄惨な題材を扱い、緊張感・緊迫感に満ちた話運びでありながら「CURE(癒し)」というタイトルとテーマを持つ。
(Wikipediaより)

【感想レビュー】
ずっと観たいと思っていてようやく観れました

終始不穏な空気が漂う作品でした
殺人現場や死体などの怖さよりも、ただただジッと映る古びた壁や濡れた床がじわじわと恐怖心を募らせていく。

住人の心が冷え切ってしまっているような室内。空気さえ動かないような、そこでの生活。繰り返し…。

噛み合わない会話。

役所広司さんの突発的なエネルギーの爆発は恐ろしく、萩原聖人さんの気の抜けた柔らかな調子の台詞回しは心許なく…そういったもの全てが、先の見えない不安を掻き立てていく。

萩原聖人さんはマークスの山でもなんか似たような感じだったような…
こういう萩原さんは魅力的ですね

バブル崩壊後のどこか虚無的な社会背景を感じる映画だった。

この頃、私は高校生だったし、はっきり覚えてはいるけれど、大人達は想像以上に疲弊していたのかもしれないな…などと思ったりしました


『ろくでなし』(1960)

2015年04月01日 | 邦画(クラシック)
『ろくでなし』

【作品概要】
1960年/88分/35mm
監督:吉田喜重
出演:津川雅彦、高千穂ひづる、川津祐介、山下洵一郎、安井昌二

吉田喜重初監督作品。爆発する若いエネルギーを拳銃に叩き込む"強盗遊び"の狂った終点!刹那の時間に生きる4人の大学生(川津祐介、津川雅彦、山下洵一郎、林洋介)と、社長秘書の女性(高千穂ひづる)をめぐるドラマ。「青春」に背を向けた若者たちの虚無的なスタンスが鮮烈に映し出される。
(東京フィルメックス公式HPより)

【感想レビュー】
ものすっごい久しぶりに映画を観た~
ちょっと仕事が一段落したので…。

昨年のフィルメックスの特集「1960 -破壊と創造のとき-」の作品で、見逃したのでDVD借りました。

徐々にボルテージが高まっていく作りで、引き込まれて観ました

大学四年生。ぎりぎりまだ子どもでいられるこの時期に最後の悪あがき。
何かが動き出しそうで、でも何も動き出しはしない現状にじりじりとする感じを懐かしく思い出す。
虚無的ながらも内的エネルギーが表出するジュンは津川さんが演じている。

台詞は本当に速くて、端的でポンポンと交わされる会話が心地よかった

崩壊するかしないかの一線をつき進む青春の一頁が丁寧に丁寧に描かれています
楽しかったです