☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『童年往事 時の流れ 』(1988)

2013年11月29日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『童年往事 時の流れ 』(1988)

侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督、游安順さん(ユー・アンシュン)、辛樹芬さん(シン・シューフェン)、田豊さん(ティエン・フォン)出演。




【STORY】
中国から台湾に移住した“外省人”である阿孝の両親は、彼を生み育てたこの地で、『大陸反攻』(本土の争奪)を信じながら、相次いで病死してしまう。祖母や兄姉と暮らす阿孝は、荒れた生活を送り、事件も起こすが、やがて新たな現実に目覚め、両親たちとは違う“台湾人”としてのアイデンティティを獲得していく……。激動の50~60年代を背景に、一少年の目から見た台湾史を個人的に語っていく侯監督の自伝的作品。(Y!映画より)

【感想レビュー】
言葉よりも、行間を感じ取る映画でした

いつの間にか、世界観が入ってくるという感覚でした!

日本統治時代の影響で、和の要素の色濃い家屋。

竹製の籐の椅子。

ご飯釜。

メンコ、駒、ビー玉。

母親のお財布から少し拝借する阿孝(アハ)。

沢山の子どもらしさに溢れ、いたずらしても、悪い事をしても、お婆ちゃんが味方になってくれた

少年時代の父親の死、青年時代の母親の死、祖母の死、どんな時もその家屋が、そして家族が在り。。
(小津安二郎監督の作品にも感じますが

幼く、若過ぎた時の、近過ぎる関係にだからこそ、優しく出来ずに過ごしてしまった記憶が、誰にでもあると思います。

その不器用な思いやりも、その痛みも、きっと誰しもが持って大人になっていくと思うのです。

静かに心に沁みていくようでした





『夜の片鱗』(1964)@東京フィルメックス

2013年11月28日 | 邦画(クラシック)
『夜の片鱗』 The Shape of Night
第70回ヴェネチア国際映画祭クラシック部門出品
1964年/106分
©1964 松竹
脚本:権藤利英 原作:太田経子
出演:桑野みゆき、平幹二朗、園井啓介、岩本多代 、富永美沙子、菅原文太


【作品解説】
19歳の芳江は、工場で働くかたわら、夜はバーに勤めていた。そこで知り合ったサラリーマンの英次に人生を託して身体を許したが、実は彼はヤクザ組織に身を置いていた。やがて金を無心するだけでなく、売春を強要するようになった英次に耐えきれなくなった芳江は逃げ出そうとするが...。どうしようもない男と知りつつ離れることのできない、複雑な心理に揺れ動く女性を桑野みゆきが好演。印象的な色彩設計やカメラワークが映像に深みのある美しさを生み、物悲しさをたたえた叙情的な世界を作り出すことに成功している。 (フィルメックス公式サイトより)

【感想レビュー】@theater
昨日観た3本の中で、実は一番夢中で観た作品です

桑野さん、今年観た『青春残酷物語』で知っていたので、なんか嬉しかったです

青春~では、茶色っぽい髪の色でしたが、夜の片鱗では、黒髪に白くてほっそりした首がゾクゾクするほど美しかったです

ワンピースなどのファッションも可愛い!!

19歳の純情な様から、何処まで行っても逃れられない男との生活に疲れていく様までの変貌ぶりが凄かったです!

お化粧をして、彼女は夜を纏うのです
初めは、お昼はまだ清楚な格好だったのに、だんだんと、お昼なのに、夜の続きを纏っている感じが…声も低く、投げやりな感じが…


平幹二朗さん演じる英次は、クールで威張っている若い頃と、家の事や彼女の細々とした世話をするようになるまでの落差が凄くて…

惨めな姿…がもう見ていられない位の落ち方で…


男女の仲のコテコテの内容と言われれば、そうですが、ここまで骨太だと本当に楽しいです

夜景に浮かぶお店のネオン看板、本当に少なかったなぁ…。
中央にぽっかり浮かぶ“トルコ”にテンションが上がりました

…と書くと誤解されそうですが、トルコ=ソープって知らなくて、間違えて『青春トルコ日記』を夏のヴェーラで観てしまったんです…。それで知ったので、見つけて本当だ!って思って合点がいったのです

40代以上の方は、普通に知っているそうで‼

でも昔の映画を見ていると、そういう事もまた発見で、面白いです



『カラオケ・ガール』(2012)@東京フィルメックス

2013年11月28日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『カラオケ・ガール』Karaoke Girl / SAO KARAOKE
タイ、アメリカ / 2012 / 77分
監督:ウィッサラー・ウィチットワータカーン (Visra VICHIT VADAKAN)


【作品解説】
ウィッサラー・ウィチットワータカーンの監督デビュー作『カラオケ・ガール』は、ナイトクラブでホステスとして実際に働いていた女性を主役に起用し、彼女の日常生活をフィクションとドキュメンタリーを交えて描いた作品である。田舎の村で育ち、15歳の年に都会に出稼ぎにやって来たサー。3年間工場で働いた後、彼女は田舎の家族を養う唯一の手段として、夜の世界に身を投じた。ウィチットワータカーンは数週間をサーとともに過ごし、姉妹のような関係を築いた後、脚本の執筆を開始したという。久しぶりに故郷の村に戻ったサーが都会で働いていた時とは全く異なる表情を見せる瞬間が感動的だ。ロッテルダム映画祭コンペティションで上映。(フィルメックス公式サイトより)

【感想レビュー】@theater
熱帯夜の街をネオンが彩ります。
車のパッーパッーという、アジアの交通には欠かせない喧騒音が響きます。

家族の為にお金を稼ぎ、村の行事にも高額の寄付をする彼女は、田舎の村の人々に偉いと慕われてるようでした。

強く引くアイラインは、彼女の武器に見えました。
素顔の彼女はあどけない顔立ちの可愛い女性です。

瑞々しい作品でした

でも、描きたい事は何となく分かるのですが、正直、今ひとつ掴まれるものがありませんでした。。









『トランジット』(2013)@東京フィルメックス

2013年11月27日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『トランジット』 Transit / Transit
フィリピン / 2013 / 92分
監督:ハンナ・エスピア(Hannah ESPIA)


【作品解説】
イスラエルのヘルツリヤで働くフィリピン人労働者モイゼスが息子の4歳の誕生日を祝うためにテルアビブのアパートに戻ってくる。その日、モイゼスと隣人のフィリピン人女性ジャネットは、イスラエル政府の移民政策の変更により、外国人労働者の子供たちが強制送還されることになったことを知る。モイゼスとジャネットはそれぞれの子供たちの存在を隠そうと画策するが......。フィリピンのインディー映画の登竜門として知られるシネマラヤ映画祭で最優秀作品賞を初めとする数々の賞に輝いたハンナ・エスピアの監督デビュー作『トランジット』は、イスラエルの外国人労働者という興味深い題材にスポットを当てた作品だ。俳優たちの演技のアンサンブルも見事である。 (フィルメックス公式サイトより)

【感想レビュー】@theater
これはとても面白かったです!

もちろん、ストーリー自体は深刻なテーマがモチーフですし、観ていて辛い瞬間もシーンも多々ありました。

でも、作品の終点がある程度分かる内容がテーマなのですが、観せ方が斬新過ぎて、飽きさせない造りだったのです

初めは、時間軸が何度も戻るので、不思議でした。
戻る度に、ちょっとずつ違う角度から、そして台詞も付いたり付かなかったり?で。

それを重ねる度に、だんだん登場人物のそれぞれの心の動きが深度を増していき、作品自体もより深みを増していくようでした。

そんな斬新な造りなのに、登場人物たちは、とっても人間味があって、逆にその温度が浮き彫りになるというか…

そういう意味で面白かったのです‼

そして、やっぱり映画を通して、イスラエルの今を知る事ができました。

それがほんの一部であっても、繋がっている事がたくさんあると思うので、観て本当に良かったです


Q&Aで、監督のお話しが聞けました。

中でも、一番気になっていた、多角的な視点について聞いて下さった方がいて、とっても嬉しかったです

質問の内容は、確かこんなでした。
同じ場面を、登場人物それぞれの視点から捉えて編集していた事について。

これについては、監督、確かこのように仰っておられました。

一番始めはオーソドックスに時間軸通りに脚本を書いた。
それは、スタッフが混乱しない為でもあった。
でも、監督をする前は、自分は編集をやっていたので、常に新しい編集の手法を模索している。
それで、こういう形になったとの事でした。

常時カメラを、一つのシーンでも、4~5台(5~6台?←細かい数字は忘れてしまいました)回していたので、編集するに当たって、部品はたくさんあったとの事でした。


Q&Aは、とっても興味深くて、楽しいです





『大人の見る繪本 生れてはみたけれど 』(1932)

2013年11月27日 | 邦画(クラシック)
『大人の見る繪本 生れてはみたけれど 』(1932)

小津安二郎監督、斎藤達雄さん、吉川満子さん、菅原秀雄さん、突貫小僧さん、坂本武さん出演。




【STORY】
当時急激に増加した東京郊外に住むサラリーマンの生態を子供の目から風刺した喜劇。

1932年の松竹蒲田撮影所製作の日本映画。小津作品の特徴である、フェードイン・フェードアウトを使わずに固定したカットをつなぐ場面展開は本作品によって決定付けられた。(Wikipediaより)

【感想レビュー】
まさか自宅でサイレント映画を観る日が来るとは…
しかも小津作品の戦前の作品を観るのは初めてです。

サイレント映画自体を観るのは、初めてではありませんが、台詞の音が無いだけで、風や日常の物音、動物の鳴き声などが入っている作品だったので、全くのサイレントを観るのは初めてだと思います。

たまに台詞が画面いっぱいに出るので、設定もストーリーの展開も分かりやすかったです。

音が無い分、画面の隅々まで情報を拾おうとするので、集中を強いられますが、途中でもっと楽に観よう´д` ;と思い始めた頃に、なんと、なんと、ジャイアンみたいな少年が‼

もう夢中で観ました
面白かったです

空き地に、ジャイアンみたいなガキ大将と、性格の良さそうなスネ夫と、鼻垂れ小僧たち

小学生の子ども達の小競り合いが、面白くて可愛いかったです

またその小競り合いが、ちょっとブラックだったりして

父親に対しても、とことん追い詰めるのですが…、子どもって残酷な事を平気でするし、言うからなぁなどと、思いながら観ました。

同級生に対してや親に対して、子ども時分に窮地に立った経験は、誰にでもあるはずですから、共感しやすいです


スクリーンで観たい欲求が日に日に高まってきているので、特集に行こうかと思います