☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(2008)

2020年12月17日 | 邦画(1990年以降)
ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ(2008)

【作品概要】 
“引きこもり作家”として知られる滝本竜彦の同名ベストセラー小説を映画化した青春ドラマ。平凡な高校生が謎のチェーンソー男と戦う美少女と出会い、その戦いに巻き込まれていく。

目的もなく平凡な日々を送る高校生の陽介(市原隼人)は、謎めいた制服の美少女、絵理(関めぐみ)と出会う。彼女はチェーンソーを振り回す不死身の大男と毎晩戦っているが、その理由は分からない。つまらない日々を埋めるように、陽介も“チェーンソー男”との戦いに没頭していくうちに、絵理との距離が近づいていくが……。(Yahoo!映画より)

監督: 北村拓司
出演: 市原隼人, 関めぐみ, 三浦春馬, 浅利陽介, 板尾創路


【作品レビュー】
ペーパービューの配信で見放題に入っていた三浦春馬さんの出演作品というのもあって、観ました。

思いがけず楽しく、ぐいぐい入り込んで観ました。

数分置きに笑えたり、胸が熱くなったりさせられる映画です。

謎のチェーンソー男は、10代特有の心の葛藤の象徴的な存在。

現実とファンタジーの境い目を、多感な高校生達の妄想と現実逃避の日常という設定が妙に説得力をもたらしていて、なんとも面白いです。

関めぐみさんの目力
アクションが格好良いです!

市原隼人さんの表情、台詞のない横顔は映画的な魅力があります

浅利陽介さんが出てくるとホッコリしますし!

三浦春馬さんの演じた青年は…、
とてつもない生のエネルギー故に、命を燃やしてしまうような役どころで、色んな意味で周囲に影響を及ぼすような青年でした。
観ていて、それは現実の三浦春馬さんとどこか重ねてしまって辛くもあるのですが…、
作品はB級っぽさも含めて面白いです!

観て良かったです。


『鉄拳』(1990) Tekken @東京フィルメックス2019

2019年11月29日 | 邦画(1990年以降)
『鉄拳』Tekken

【作品概要】
日本 / 1990 / 128分
監督:阪本順治(SAKAMOTO Junji)

© 1990/写真提供:リトルモア
高知県を舞台に、事故で右腕を負傷したボクサーを再起させようとするジムのオーナーを描いた監督第2作。菅原文太と大和武士が共演。超現実的とも言うべきラストの壮絶なアクションは必見。
(フィルメックス公式ホームページより)

【感想レビュー】
フィルメックスの“特集上映 阪本順治”で観ました。
菅原文太さん、格好良いし楽しみ〜、というミーハーな気持ちでしたが、冒頭からもう面白くて面白くて、ヒィヒィ笑いながら観ました

このぶっ飛んだ感じ、これは、なんだ、これは、えーと、、、
あ!少年漫画の世界観っと思ったとたん、さらに楽しめました

ボクサーとしての成功のシーンは、エコーがかかったように朧げな感じであっさりとしたものでした。
怪我をしてからの再生が物語のメインだからでしょうか。
焦点が、成功よりも、再生に当てられていることに感激して、エネルギーや勇気をたくさん頂きました
ラストのラストまで素敵でした
死闘の後の、まさかの爽やかな蕎麦…
そんなことって…!

コミカルやユーモアがふんだんに織り込まれていて、もう観ていて忙しいです

菅原文太さんは、格好良いし、なんかキュートですし、
原田芳雄さんも格好良いし、なんだか可愛らしいし、

そういえばお二人とも亡くなられたなぁとしみじみしつつ、でもこうやってスクリーンいっぱいに永遠に残っていくことに、改めて映画の尊さを感じました。

周りの方たちも笑っていらして、良い雰囲気の上映でした。

謎の集団が出てくるのですが、上映後のQ &Aで阪本監督がその集団のことを、“今でいうヘイト”と仰っていて、とても腑に落ちました。

本格的なアクションも迫力満点でした
靴に鉄板入れてたとか、撮影では、本当に身体に当てていたとか、恐ろしいお話しもたくさん聞けました

終始、阪本監督のテンションが低めだったのは気になりましたが

『鉄拳』観れて、本当に良かったです



『静かな雨』 (2019)Silent Rain @東京フィルメックス2019

2019年11月25日 | 邦画(1990年以降)
【作品概要】@東京フィルメックス2019
日本 / 2019 / 99分
監督:中川龍太郎 (NAKAGAWA Ryutaro)
配給:キグー

宮下奈都のデビュー小説を仲野太賀とこれが映画初出演となる衛藤美彩の主演で映画化した作品。大学の研究助手の行助と鯛焼き屋を経営するこよみ。親密になりかけた二人の関係はこよみが交通事故に会ったことをきっかけに暗転する……。

監督:中川龍太郎
原作:宮下奈都『静かな雨』(文春文庫刊)
脚本:梅原英司 中川龍太郎
チーフプロデューサー:和田丈嗣 
プロデューサー:藤村駿 木ノ内輝
アシスタントプロデューサー:新井悠真 
ラインプロデューサー:保中良介
撮影:塩谷大樹 照明:西尾慶太 
録音:伊豆田廉明 音響効果:柴崎憲治
美術:安藤秀敏 菊地実幸 
ヘアメイク:榎本愛子 スタイリスト:都甲真名美
助監督:近藤有希 監督補佐:佐近圭太郎 
制作担当:久保田辰也 編集:田巻源太
スチール:四方花林
音楽:高木正勝
製作:WIT STUDIO
制作:WIT STUDIO、Tokyo New Cinema
企画協力:文藝春秋
配給:キグー
© 2019「静かな雨」製作委員会 / 宮下奈都・文藝春秋
(フィルメックス公式ホームページ、『静かな雨』公式ホームページより)
【感想レビュー】
あんまりネタバレにならないように書きます。

月とか、雨とか、陰影とか

モチーフが印象派の音楽のような映画だなぁと思いました
ドビュッシーの『月の光』のように、水面に映る月を視ているというような間接的な視点をこの映画にも感じて、詩的な佇まいに開始3、40分も経つと自然と引き込まれていきました

登場人物達の日常のルーティンも、淡々としているようでいて、少しずつトーンに変化があったりして、面白く観ました

繰り返し繰り返し、リアルが迫ってくるからでしょうか…

足を引き摺る音とか、少しずつ違うアングルの画とか、ちょこちょこと時間差で出てくる新しい登場人物達とか…!

とにかく、飽きません!

台詞は少ないように感じましたが、ナレーションでの会話は、けっこう多かったような気も。
流れている映像と会話との時間的、空間的な隔たりに、“世界”(作中に出てくるキーワードのような単語)をより立体的に感じさせられました。

また、映像を彩る劇中音楽が素敵でした
あくまで映像が主役です、というように控えめに微かに流れている時と、少しずつ少しずつ存在感が増して、まるでコンチェルトのトッティのようにオケも鳴らします!みたいな時と

あとは、ベーコンエッグが心に残りました
ふと思い出して作ってみましたとも!
白身が流れなくて素晴らしいですね。
り、理にかなってる

上映後のQ&Aで、中川監督が、画角についての質問に答える中で、枠についてお話しされていたのですが、いざベーコンを並べ終えてハタと気付いたのでした。

ここにも、“枠”が…

2020年2月7日より全国順次ロードショー!
だそうです


『蜘蛛の瞳』(1998)

2016年12月30日 | 邦画(1990年以降)
『蜘蛛の瞳』(1998)

監督・脚本: 黒沢清
脚本: 西山洋一
撮影: 田村正毅
音楽: 吉田光
出演: 哀川翔/ダンカン/大杉漣/菅田俊/寺島進/中村久美/佐倉萌/梶原聡

【作品概要】
「蛇の道」に続いて哀川翔主演で描いたバイオレンス・アクション。

【感想レビュー】
『蛇の道』に続いて観ました。面白くてゲラゲラ笑いながら観ました
とくに大杉漣さんのシーン!!
台詞とか間とか、ゼッタイ笑かそうとしてる…!
大杉漣さんが車に乗りながら、歩道を歩いている哀川翔さんに話しかけるシーンも、ゲラゲラものです。ヒーヒーお腹を抱えて観ました🤣🤣🤣

ダンカンさんとか大杉漣さんとか寺島進さんとか、北野映画によく出る俳優さんが多いというのもありますけど、特に説明されず唐突に色々と展開されていく所とか、拳銃のシーンとか、追い掛けごっこをする幾つかのシーンのナンセンスぶりとか、『蜘蛛の瞳』には、ところどころ北野映画に通ずる香りを感じました
こういうのクセになるし、なんだか好きなのですけども


また、ローラースケートとかフリスビーの動きもなんだか怖い。それ自体は別によいのだけど、1つの画面、シーンに全く別の何かをしている人達が居るということが、なんか気になって仕方ないアクセントとして使われていて…

ラストも、あれ…!??ここってそこと繋がっていたの…??!…な感じも、狐につままれたままに終わるところがたまらなく好きです

とにかく面白かった



『蛇の道』(1998)

2016年12月30日 | 邦画(1990年以降)
『蛇の道』(1998)

監督:黒沢清
脚本:高橋洋
音楽:吉田光
出演: 哀川翔/香川照之/下元史朗/雪ユーレイ/翁華栄/砂田薫/宮下辰雄/新島直巳

【作品概要】
幼い娘を殺された男と、彼に手を貸した謎の男が繰り広げる復讐劇を描いたバイオレンス・ドラマ。

【感想レビュー】
『蛇の道』と『蜘蛛の瞳』。観たかった黒沢清監督作品の2本が、WOWOWで一挙放送でしたから、もう本当に嬉しいです!放送からだいぶ経ってしまったけども、WOWOWさん、ありがとうございます!!な心境です

まずは『蛇の道』から。
こちらから観た方が良いという話しを聞いたので。

冒頭からしてもう…嫌な感じ
くねくねと蛇行する住宅街の道とか。急勾配な坂道とか。

哀川翔さんの“無”の感じとか、ゾクゾクしました虚無でもなく空虚でもなく、ただただ、“無”の感じ。
キャラクターの行動原理が説明されないまま進んでいく感じは、一寸先も読めなくてかえってワクワクします。
訳のわからない数式?みたいなものをホワイトボードに書いて授業している様子も、不気味を通り越してシュールな感じ

香川照之さんの役のキャラクターの方が、ちょっと分かりやすい。
ただ、こういうキャラクターとか演技は、今だともう既視感がありますけど、当時は相当に新鮮だったのでは、と思いました。
『クリーピー』の香川さんは、『蛇の道』や『贖罪』の進化系キャラだったのだなぁと改めてぶるぶるしております

ところどころ笑えて、なんだかクタッとしたゾンビが折り重なるように見える死体とか、思わずハッとビックリしてクスッとしてしまう感じはクセになります

また、組織の幹部:大槻の家に二回ほど乗り込んで行く度に、毎回ピアノの練習の音が聴こえてくる。ブルグミュラーの『貴婦人の乗馬』。
聴こえてくるだけで、ピアノを弾いている様子は一切映らない。
幼児や低学年の子どもの課題になるような楽曲で、またその音色の拙さから、やはり子どもの日常的な練習風景を想像させるのだけど、ここがまたゾワゾワするポイントです。
これから起こるだろうことと、全然違うテンションの人や空間が在ることを強く匂わせる演出。
“ここ”に居ながらにして、“そこ”も同時に感じながら時間が進んでいく。
なんかこういう演出の映画を観ると、いつも『ローズマリーの赤ちゃん』を思い出します 怖い怖い…。


一見、普通なのだけど、なんか変、なんか怖いっていう黒沢清監督の作風が、男性的かつシンプルに伝わってきて、あぁ好きだなぁと思いながら楽しく観ました