☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『かぐや姫の物語』(2013)

2014年01月16日 | 邦画(1990年以降)
『かぐや姫の物語』(2013)

高畑勲監督。


【作品概要】
数々の傑作を生み出してきたスタジオジブリの巨匠、高畑勲監督が手掛けた劇場アニメ。日本で最も古い物語といわれる「竹取物語」を題材に、かぐや姫はどうして地球に生まれやがて月へ帰っていったのか、知られざるかぐや姫の心情と謎めいた運命の物語を水彩画のようなタッチで描く。(Y!映画より)

【感想レビュー】@theater
映画の世界観が圧倒的で、いつの間にか呑み込まれて観てました。
圧倒的と言っても、押し付けがましいのではなく、いつの間にか身を任せていたというような感じ…。

姫の怒りからの疾走シーンは、本当に素晴らしかったです!!

なんという躍動感!!
なんという力強さ!!

ストーリー事態は、もちろん竹取物語なのですが、姫が人間的に描かれている事で、観る人の胸に迫る何かがあると思います。

昨日観たのですが、今日はふと劇中歌を口ずさんでいたりして、心がスッと静かになったり…余韻に残る映画でした

『もうひとりの息子』(2012)

2014年01月15日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『もうひとりの息子』(2012)

ロレーヌ・レヴィ監督、エマニュエル・ドゥボスさん(オリット)、パスカル・エルベさん(アロン)、ジュール・シトリュクさん(ヨセフ)、アリーン・ウマリさん(ライラ)、カリファ・ナトゥールさん(サイード)出演。




【作品概要】
ユダヤ系フランス人のロレーヌ・レヴィが監督と脚本を担当し、第25回東京国際映画祭で東京 サクラ グランプリと最優秀監督賞に輝いた感動作。イスラエルとパレスチナという対立関係にある家族の間で、取り違えられた子どもをめぐる困惑の日々を描き出す。

【感想レビュー】@theater
ぐいぐい引き込まれて観ました!

子どもの取り違えが、もう大きな大きな問題なのですが、そこにイスラエルとパレスチナの対立問題が加わり、事態は複雑化しています。

民族、宗教、言葉の違い。
占領する側とされる側。
対立の歴史は、民族のアイデンティティーそのものなのです。

様々な葛藤がありながらも、少しずつ、少しずつ二つの家族の心がふと寄っていく数々のシーンが、キラキラして見えました。
息子同士の交流が、人間的で温かいのです。
実際には、うまくはいかない事が多々あるとは思います。

それでも、ユダヤ人が『ありがとう』とアラブ語で言い、パレスチナ人が『いいえ』、とどう致しましての意を込めてヘブライ語で返すシーン。

グッときました!!




【追記】『忘れられた皇軍』(1963)

2014年01月14日 | 映画生活の徒然日記
【追記】『忘れられた皇軍』(1963)

2014.1.14
観て一日が経ち、思った事が溢れてきました。追記として、メモしたいと思います。
ドキュメンタリーが、作意的に作られるのは、当然ある事です。
もっと言えば、ニュースですら、何をどのように放送し、何を放送しないのか、などの取捨選択がされている訳ですから、作意的であると思います。

だからこそ、視聴者は、メディアの賢い見方をしなければならないし、多角的な視点を養わなければならないと思います。

『忘れられた皇軍』は、大島渚監督の意志、考えが、言葉と映像でハッキリと示された上で、皆さんはどう考えますか?と問いかけています。
何となくの事実を並べただけで、貴方ならどう思いますか?というタイプのドキュメンタリーとは、一線を画すのです。
作り手の意志が明確だからこそ、活発な議論になるのでしょうし、享受するだけではなく、作品を観た一人一人が自ら考える作業をするキッカケとなると思うのです。
観て終了するのではなく、観たところから始まる、そういうドキュメンタリー作品は、素晴らしいと思います。

そういう意味において、『忘れられた皇軍』は、衝撃的でした。

ナショナリズムに傾く空気が、現在の日本にある中で、国家や周りに流されない為に、一人一人が判断材料をたくさん持つしかないと思います。大きい事は言えませんが、絶えず興味を持ち、アンテナを張って了見を深めていきたい、そんな風に思っています。

『忘れられた皇軍』(1963)

2014年01月13日 | 映画生活の徒然日記
『忘れられた皇軍』(1963)

大島渚監督。ドキュメンタリー作品。

【作品概要】
日本テレビの「ノンフィクション劇場」で放送された約30分間の映像だ。日本軍に従軍し戦傷を負いながら、戦後、韓国籍となり社会保障制度からはじかれた元兵士を追う。
戦争で失った両目からこぼれる涙をカメラはアップでとらえる。大島監督は「カメラは加害者」と話し、怒りや悲しみなど、戦傷者が感情をあらわにした瞬間を容赦なくアップで撮影。電車内や海水浴場など東京五輪前年で盛り上がる街と白装束で募金活動する姿の対比を映し出す。最後は「日本人よ、私たちはこれでいいのだろうか」というナレーションで締めくくっている。
(朝日新聞デジタルより)


【感想レビュー】
今回、このDVD化もされていない幻の作品が観れたのは、“NNNドキュメント'14”という番組のおかげです。映画ではなく、当時放映されていた日本テレビのノンフィクション劇場という番組の作品です。このブログは、映画ブログなのですが、この衝撃を残したいと思い、メモする事にしました。

↓↓↓
「反骨のドキュメンタリスト」(日本テレビ系列で13日午前0時50分(12日深夜)、BS日テレで19日午前11時)で放送予定。「忘れられた皇軍」全編のほか、関係者が当時の制作秘話を語る。(江戸川夏樹)(朝日新聞デジタルより)

冒頭、戦後18年が経ち、人々は終戦の日の事を忘れつつある、というようなナレーションが入ります。そこからして深いショックを受けました…。戦後18年目で…‼

カメラは、七三分けに決めた白シャツにネクタイのシャープなサラリーマンや、カールの決まった髪型にオシャレなワンピースやハンドバッグを持った女性を捉えます。
そこに、日本軍に従軍し戦傷を負った在日韓国人の方達が白装束で登場します。
街を行き交う人々の、戸惑いの表情や眉を顰める感じを、カメラは執拗に捉えます。戦争の忌まわしい記憶よりも、高度経済成長に高揚したい空気がそこからは感じられます。

彼らは、日本の為に戦ったのにも関わらず、自分達には戦後の補償も無く不公平だと、日本政府に対して訴えているのです。
国会議事堂前のデモの場面、BGMはアート・ブレイキーの『チュニジアの夜』。これがピッタリとマッチするのも驚きでした。今にも壊れそうに危ういギリギリのジャズ音楽と、身と心に深い戦傷を負った皆さん…。社会的に虐げられてきた境遇が重なるからでしょうか…。

大島渚監督の『カメラは加害者だ』という言葉が忘れられなくなりました。当時のカメラマンは、監督にもっと寄れ、寄りで撮れっ!!と指示されたそうです。
あんなに寄りで撮れたのは、監督がそこに映る皆さんと同じように怒っていたからだと、当時のカメラマンは言います。その怒りとその緊張感は、時を経た今も、痛烈に訴えかけてきます。

国家は、加害者なのだ。
それでは、国民はあの戦争の被害者なのか?
いや、加害者でもあるのだ、と。


尖閣諸島や竹島の問題以降、ふと気付くと、いつの間にかナショナリズムの空気が高まっています。その空気を感じ取った時、私は胃の底がヒンヤリしました。

その時、連日放送されるテレビの情報やコメンテーターの論調が、何か空虚で信用出来ないと思いました。
自分で、調べて考えなければダメだ!その時、確かにそう思ったのです。

こんな時だからこそ、この作品を取り上げた「反骨のドキュメンタリスト」は凄いなぁ!と思いました。

観る事が出来て、本当に良かったです。

【追記】2014.1.14
観て一日が経ち、思った事が溢れてきました。追記として、メモしたいと思います。
ドキュメンタリーが、作意的に作られるのは、当然ある事です。
もっと言えば、ニュースですら、何をどのように放送し、何を放送しないのか、などの取捨選択がされている訳ですから、作意的であると思います。

だからこそ、視聴者は、メディアの賢い見方をしなければならないし、多角的な視点を養わなければならないと思います。

『忘れられた皇軍』は、大島渚監督の意志、考えが、言葉と映像でハッキリと示された上で、皆さんはどう考えますか?と問いかけています。
何となくの事実を並べただけで、貴方ならどう思いますか?というタイプのドキュメンタリーとは、一線を画すのです。
作り手の意志が明確だからこそ、活発な議論になるのでしょうし、享受するだけではなく、作品を観た一人一人が自ら考える作業をするキッカケとなると思うのです。
観て終了するのではなく、観たところから始まる、そういうドキュメンタリー作品は、素晴らしいと思います。

そういう意味において、『忘れられた皇軍』は、衝撃的でした。

ナショナリズムに傾く空気が、現在の日本にある中で、国家や周りに流されない為に、一人一人が判断材料をたくさん持つしかないと思います。大きい事は言えませんが、絶えず興味を持ち、アンテナを張って了見を深めていきたい、そんな風に思っています。







『KT』(2002)

2014年01月12日 | 邦画(1990年以降)
『KT』(2002)

阪本順治監督、佐藤浩市さん、キム・ガプス(김갑수)さん、チェ・イルファ(최일화)さん、
筒井道隆さん、香川照之さん、原田芳雄さん出演。

【作品概要】
1973年6月、朴軍事政権下の韓国から亡命し、日本で故国民主化の為に精力的な活動をしていた金大中を拉致暗殺せよとの至上命令を受けた駐日韓国大使館一等書記官・金車雲らは、いよいよそれを実行に移そうとしていた。名付けてKT作戦。現韓国大統領・金大中の拉致・監禁事件を、多角度から捉えた社会派群像劇。(Movie Walkerより)


【感想レビュー】
やっと最後まで観れました

昨年のシネマヴェーラの特集、実録・犯罪列島で『首』、『KT』と二本立ての時に、残り40分位のところで、所用でやむ終えず退出したのです´д` ;。
あまりにスリリングで、あともうちょっと、あともうちょっと、っと粘って観たほどでした。

作品全体を覆う不気味な雰囲気。
日韓の間の緊迫した空気。
在日二世の葛藤やその痛み。
拉致…。

様々な対比が、その緊張感を生んでいるようでした。三島由紀夫の自決から始まります。70年代の日本の、闇の部分を垣間見る事ができました。