☆映画の旅の途中☆

色んな映画をどんどん観る旅

『コンチネンタル The Gay Divorcee(HDデジタル)』 (1934)

2016年03月26日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『コンチネンタル The Gay Divorcee(HDデジタル)』 (1934)

監督:マーク・サンドリッチ
主演:フレッド・アステア、ジンジャー・ロジャース、アリス・ブラディ、エリック・ブロア、ベティ・グレイブル
【作品概要】
フレッド・アステアとジンジャー・ロジャース主演作の第1号で大ヒットし、以降同じコンビで10作品製作された。コール・ポーターの名曲「ナイト&デイ」で正装した2人が優雅でムーディーなダンスを踊る。コン・コンラッド作曲の「コンチネンタル」は第一回アカデミー主題歌賞を得た。


【感想レビュー】@theater
『教授と美女』と同日の二本立てで観ました

恥ずかしながら、フレッド・アステアを観るのは初めてです。

お顔も身体も小柄で華奢なのだなぁ…、という第一印象から一転…‼タップで刻むその細かいリズムと、円を描きながら、時に華麗に、時に優雅に、時に力強く舞うそのお姿に、もう一瞬にして心を奪われました


シンプルなストーリーながらドタバタがもう本当に面白くて、俳優陣の表情の豊かさや動きのユーモラスさで、笑いがこみ上げてきます

踊りのシーンが多く、素晴らしくて堪能しました

レコードに紙人形を立てて踊らせるシーンなんか、もう…、もう…、悶絶ものでした

終映後、隣のマダムのひとり言、『アステア、サイコー‼』が耳から離れません

二本立てともに、多幸感溢れる作品で、心がとっても充実しました





『教授と美女 Ball of Fire(デジタル)』 (1941)

2016年03月23日 | 西洋/中東/アジア/他(クラシック)
『教授と美女 Ball of Fire(デジタル)』 (1941)

監督:ハワード・ホークス
主演:ゲイリー・クーパー、バーバラ・スタインウィック、ダナ・アンドリュース、ジーン・クルーパ

【作品概要】
ゲイリー・クーパーを長とする38人のうるさがたの教授たちが、新しい辞典を作る作業で、スラングの数々を理解し解説を加えるために、バーレスクのダンサーたちの知恵を借りようとするコメディ。(シネマヴェーラHPより)

【感想レビュー】@theater
シネマヴェーラの特集、“ミュージカル映画特集 - ジャズで踊って”へ先日行ってきました

ガーシュインの曲を次の演奏会のプログラムにいれようと思っているので、『踊らん哉 』を観たかったのですが予定が合わずに見逃し…、でもジャズを映画で体感しようと勉強してきました

もう、抱腹絶倒でした…‼自分でもビックリ…。ミュージカルは…実は苦手なのですが、この映画では、ダンサー達のパフォーマンスシーンでの歌や踊りという設定だったので、とても自然な流れでした。
そして、ストーリーもだいたい予想はつくけども、ポンポンと進むテンポの良さと、少しずつ…でも心地良く裏切られる展開なところもツボでした

“教授”陣のインテリ過ぎる台詞回しが愛おしく、“美女”の美女たる所以に惚れ惚れとし、ゲイリー・クーパー氏のあまりの美男子ぶりに目がハートに…
スクリーンに吸い込まれるように魅せられました

こんなに多幸感に溢れる作品に出逢えるとは…、なんたる幸せなのだろうとつくづく思いました

笑いに包まれる劇場の一体感にグッときました


『断食芸人』(2015)

2016年03月17日 | 邦画(1990年以降)
『断食芸人』(2015)

監督:足立正生/出演:山本浩司、桜井大造、流山児祥
2015年/日本/カラー/104分/DCP/配給:太秦

【作品概要】
さまざまな解釈を可能とするカフカの著作「断食芸人」を1960年代に“アングラの旗手”として知られ、後にパレスチナ革命に身を投じた伝説的映画監督・足立正生が原作から1世紀の時を経て映像化!『幽閉者 テロリスト』以来の約10年ぶりの監督作品となる。

残酷で不条理な国で見世物にされる一人の男。人々は勝手に「断食芸人」を創りあげ、過熱してゆく。やがてその男の周りはグロテスクに膨張して不穏で禍々しい異様な世界へと姿を変えていく。(ユーロスペースHPより)

【感想レビュー】@theater
待ちに待った最新作!やっと観て参りました
上映前に目に飛び込んできたのは、なんと足立監督ご本人…‼
あれ⁉今日はトークショーあったっけ?と狐につままれつつ慌てて劇場へ。上映後に、短いながらトークショーがありました なんて幸運なんだ…‼

…と、まぁ、トークショーについては感想の後においおいと。

奇妙さ、不可思議さ、そしてそれらと生々しさが同居する面白さ。ほぼ時系列通りに進んでいくようなタイプの映画には無い面白さです。

冒頭、3.11の津波の映像が流れ、思わず息を呑みます。現在の日本を語る上で、3.11は切っても切り離せない出来事。これ以前と以後では大きな意識の変化があると思うし、そこから始めるのだなと思いました。

作品から浮かびあがるのは、近代以降の積み重ねにより、たまりに溜まった膿まみれの現在の日本。マイノリティからマジョリティなものまで、あらゆる問題のイメージが列挙されていく。監督はこれを紙芝居って仰っていたのだと思うけど、まさにそう感じました。

アイヌ民族、琉球民族。不況。新興宗教。自殺志願者。強姦。報道。IS。国境なき医師団。昭和天皇。他にもたくさん、たくさん。

檻の中の、ものを言わぬ断食芸人に向けて、たくさんのイメージが繰り広げられる。どっちが見世物なのかあべこべになっていくのです。

こうして、たくさんの問題を目の当たりにすると、何一つ解決してはいないことに改めて気付く。知識として知っていたとしても、その本質はどうだろうか?
あらゆる問題が無数に点在している世の中で、私たちは生きている。解決してもしていなくても、報道されなくなると、それはやがて気の抜けた炭酸みたいになって、一見ひっそりとする。けれど、SNSの進化でマイノリティはマジョリティへの活路を見出した。けれどそれも、時間が経つとまたひっそりとしてしまう。今の日本で、人々の興味が一定の場所に留まることは難しく、過熱したかと思うとやがて空中分解してしまう…そんなことを映画を観て感じました。

檻の中の断食芸人は喋らない。発言しないと言葉による失敗はない。そうすると、一見、賢くはみえるかもしれない。

断食芸人の彼は、断食の後、悟りを開くのか?…はたまた既に開いているのか…?…と僧侶は慄く。この僧侶の台詞の、あらゆる宗教は意味をなさなくなってきているっていうくだり、そうだよなぁ…と頷いてしまった。。

檻の中の断食芸人の存在は、サイレント・マジョリティへの痛烈な批判にも感じました。

こうして膿ばかりの日本を目の当たりにさせられるけれど、不思議なことに、虚しくはならない。足立監督のイメージ!イメージ!イメージ‼…の怒濤の連続を体感していると、なにか逆境に向かっていくエネルギーさえ湧き上がってきます。
そこらじゅうに在る問題を直視せず、薄目でなんとなく生きていくことは、本当に自由なのだろうか、と観た後にあれこれ考えてしまう映画でした

トークショーでは、英語字幕の担当者とタイトル訳をめぐって半年?もケンカしていたとか、内々のお話しも聞けました
他にもお話しされていたけれど映画の衝撃で頭がボーッとしていました あしからず…


『プラスティック・シティ』(2008)

2016年03月09日 | 西洋/中東/アジア/他(1990年以降)
『プラスティック・シティ』(2008)

監督 ユー・リクウァイ(余力為)
キリン:オダギリジョー
ユダ:アンソニー・ウォン
オチョ:ホァン・イー

【作品概要】
日系ブラジル人青年にふんするオダギリジョー主演による、ブラジルの裏社会を舞台にしたアクション・スリラー。『インファナル・アフェア』などの香港映画界の重鎮・アンソニー・ウォン演じる義父と主人公が反目し合いながら、やがてマフィアの抗争にも巻き込まれていく。ジャ・ジャンクー監督作品の撮影監督として知られるユー・リクウァイがメガホンを取り、アジアとブラジルの多彩なスタッフ・キャストが集結。オールブラジルロケの映像にも注目。
キャッチフレーズは「この世界を、生き抜く。」

【感想レビュー】
まず、映像がいちいち、本当にいちいち格好良い…!!
うっすら既視感はするけども
そして、アンソニー・ウォンさんとオダギリジョーさんが格好良い…‼
ラストの字幕語りはインファナル・アフェアみたいで、そこもジワっときました。
内容は、まぁブラジルの裏社会で、マフィアものにはよくありそうな感じで、だからなのか逆に作り手側の、もう細かい状況説明はいいでしょ、分かるでしょ的な感じも散見します

あまり無駄がないので、観ていて心地良く、ウイスキーとかチビチビ舐めながら観たい感じです

キリン演じるオダギリジョーさんが良かったです。裏社会に慣れた感じとか、ごみごみして、わちゃわちゃしているあの界隈で育ってきた感が出ていて、そういうのが本当にしっくりくる俳優さんだなぁと思います

ラストに向けて、話しは哲学的になっていって、宇宙みたいな通りをフラフラ歩くところも良かったです


『女が眠る時』(2016)

2016年03月03日 | 西島秀俊さん☆映画
『女が眠る時』(2016)

監督:ウェイン・ワン
佐原:北野武
清水健二:西島秀俊
美樹:忽那汐里
清水綾:小山田サユリ
新井浩文
渡辺真起子
リリー・フランキー

【作品概要】
『スモーク』などのウェイン・ワン監督がメガホンを取り、スペイン人作家ハビエル・マリアスの短編小説を映画化したミステリー。海辺のホテルを舞台に、偶然出会った男女の私生活をのぞかずにはいられない主人公の異様な心象風景を描写する。

【感想レビュー】@theater
観る前から、色んな解釈ができる映画だというインタビュー記事をたくさん読んでしまっていたので、そこに対して衝撃みたいなものはあまりなかったのですが、不思議な感覚の映画だなぁとじわじわ感じています。

単純に物語が時系列に展開するわけでもなく、会話が噛み合っているシーンばかりでもなく、妄想の断片が散りばめられ、もとい妄想のさらに妄想の断片かもさえしれなくて、激しいシーンもあるのに、映画全体から温度を感じないという不思議さ。

妄想の内容自体はとてもウェットなのに、映画全体のテイストは奇妙にも澄んでいる感じがとても不思議でした。
そこが怖い感じさえする…

どうとも捉えられる映画ということで、観るたびにまた違った感想を持ちそうですが。
観た直後は、小説家を演じる西島さんがプールサイドで妻の麦わら帽子を日除けに見せかけ顔に乗せ、逆サイドの二人の様子を盗み見る…というところからが既に妄想のようにも思ったのですが。
ちょっと時間が経った今は、小説家は、たけしさん演じる佐原だけを知り、どちらが先かは分からないけれど、リリー・フランキーさんのお店で佐原と女の子とその両親の写真を見たことで、成長した架空の美樹を創り上げたのかも…とさえ思うように。

いずれにしても、この映画で凄かったのは、たけしさんの内面に潜む底知れない狂気を纏った演技。その空気感は、小説家が佐原という人物像をあれこれ妄想してしまうことに、とても説得力がありました。

小説家の(私が思う)妄想のシーンでは、小説家が登場人物達に質問したりする時の台詞の間合いが、妙に早かったことが気になって、それが小説家が、頭の中で状況設定や展開をあーだこーだとイメージし、書き手の自分が登場人物達に問いかけているからのようにも思えたし、ラストの小説家が佐原に声をかけた時の表情が何とも柔和なので、どう考えても実際にはホテルでの出来事は現実にあったとは思えなくなってしまったのです

新井さんやリリー・フランキーさん達の台詞の間も内容も普通じゃなかったし、小説家の頭の中のこの人物はこういう設定みたいなメモのようにも感じました。

淀みなく流れていく展開は心地良くさえあって、最後まで、実はこうでした的な種明かしがされることもなく、
凄いなぁと思いました。

なので、不思議な映画だったなぁと思います

こういう、流れるような映画ってきっと映像ならではの表現かなと思うし、ちょっと印象派音楽のようでした。

西島さんは相変わらず、映画を邪魔しない空気感でそこも見どころでした