『シン・ゴジラ』(2016)
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎
出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
【作品概要】
『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明と『進撃の巨人』シリーズなどの樋口真嗣が総監督と監督を務め、日本発のゴジラとしては初めてフルCGで作られた特撮。
現代日本に出現したゴジラが、戦車などからの攻撃をものともせずに暴れる姿を活写する。
【感想レビュー】@theater
(8月21日)
加筆しました
文章の半ばほどから…
(8月4日)
ようやく観てきました
初日公開から私のツイッターのタイムラインは怒濤のゴジラツイだったので、若干ネタバレも読んでしまっていましたが
(そしてこれより下は若干のネタバレを含みますあしからず。)
岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』を色々と彷彿とさせるとツイートしてる方が多かったですが、確かに!と思いました。
もう舌を噛み倒しそうな政府機関名のテロップずらり…
でもこれ、ポーズだと思うので、詳細名をそんな気にしなくても大丈夫
なのだと思います。
こんなに、こんなに、こんなに多くの日本の頭脳が集結して会議しているのに、何も解決しない!無駄な議論ばかり!誰も責任を取りたがらない!責任は取らないが人の揚げ足は取る!…みたいな。もうよく言われることですねはい…。
群像劇で出演者が多く、キャストも豪華です…!見応えたっぷりです
実は、ゴジラシリーズもエヴァンゲリオンシリーズも未見な私ですが、庵野監督だということや、今回はゴジラシリーズを観たことがなくても楽しめるというハセヒロさんの言葉を信じて!観に行きました
近代日本が抱えてきたありとあらゆる問題を内包する存在が“ゴジラ”だったので、構造として観やすい映画でした
やはり、コアなファンのいるシリーズものって、なんだか敷居が高いイメージがありますが、ホッとしました…!
広島、長崎と続けて原爆が投下されても尚、じりじりと時間だけが虚しく過ぎる会議が続く『日本のいちばん長い日 』から、まるで進歩のない現在の日本が描かれる。会議の出席者が多ければ多いほどもう滑稽な印象でしかなく、劇場でも失笑が…
“ゴジラ”は、単に建物を破壊する悪ではなく、人間社会のあらゆる膿を内包する存在だった
矛盾、怒り、哀しみ…。
その複雑さに胸が熱くなる。ゴジラを観て胸が熱くなるとは…!!
あるシーンで、もの凄ーくエモーショナルな音楽がかかるのだけど、そこのカタルシスたりや…!まんまとグッときてしまいました…!
この内容にこの音楽…!という意味において、また世界の核問題とかも含めて、『復活の日』も彷彿とさせるなぁと思いました。
そしてこれ以降、トーンはやや落ち着き…というより、やはり『日本のいちばん長い日』のように時間だけが経っていき…
自分達にはどうしようもない、とてつもない存在を前にした時、もとい、とてつもない状況を前にした時、人は一体どうすれば…!
ここで一つ、凄く違和感があったのは、住民の不在感。もちろん、ゴジラ上陸に伴う堤防決壊で逃げ惑う人々も、避難の様子も少しは描写される。されるけども、そんなに多くはないイメージ。
これはもう意図的だよなぁと思いながら観ました。高層ビルの窓窓の灯りが、夜景に映える。居るだろうけど居ない感じ。避難してもうここには居ないかもしれないけど居るかもしれない感じは、もはや不気味です…
↓加筆ここから↓
住民の不在は、個人的には二つの意味を感じました。
一つは、大きな人災・天災が起きた時、ごく一部の選ばれた人間達が会議室で策を講じていくという、古からのこの世界の仕組み。下々の者の知らないところで…。
もう一つは、震災との絡みもあると思いました。3.11の時も、被害状況の全貌がすぐ分からなかった。そのタイムラグがとても怖かったのだけれど。。渦中にいればもちろん何が起きているか情報が無いだろうし、たとえ情報を持っていても現地に伝える手段が無かったりする。そういうタイムラグの怖さがリアルに伝わる秀逸な演出だったのでは…と思いました。
もちろん3.11後の作品なので、製作側の気遣いがあったとも思いますが。。
↑加筆ここまで↑
そして政治家の人達がどんな状況になっても、自分の野心とかで色々判断していく超絶エゴぶりを徹底して描いているのにも内心ニヤリとしてしまいました…
日本の戦後はどうだったか。自衛隊を取り巻くあらゆる問題。原発。ジャパンハンドラー。かなり斬り込む『シン・ゴジラ』!!…痛快を極める…!!穿った見方をすると、極め過ぎて若干出来過ぎ感さえ漂う…!
ハセヒロさんと石原さとみさんのあるシーンが印象的で、彼らは日本側とアメリカ側ですが、普通に立つと身長差がかなりあると思うのですが、そこはあえて自然な差で撮っているのに、あるシーンですんごい差を感じさせるように立ち尽くすシーンがあって、奇妙過ぎるのですけど、これはやっぱり日米の奇妙なバランスのことかな…。やけに長かったし、意図的かと思うのですが…。
また、ハセヒロさん演じる矢口が、士気を上げる挨拶をする度に周りに一瞬漂う虚無感も見逃せない。特に自衛隊の前のそれは、たしか隊員の顔は前から映されなかったように思う。だから矢口の言葉は、乾いた響きとなって宙ぶらりんとなった。
それは作り手の凄いメッセージだと思うのです。。
そしてメッセージといえば、『野火』の監督でもある塚本晋也さんが俳優で出ていて、メッセージ性の高い役なのと、塚本晋也さんの存在自体のメッセージ性があいまって、なんだかすごく響きました。
『日本のいちばん長い日』のように、政府機関を皮肉りながらも、そこからさらに踏み出し、だから自分達ならこうする!という具体的なアクションがあって、そこにも強いメッセージを感じました
急傾斜の劇場で、席は最後列と最前列に僅か残るのみ。もうどうせなら、初ゴジラを見上げよう!!と思い最前列にしたものの、細かいところは見落としているかもしれません。
もう一度劇場で観たい気もします
監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
脚本:庵野秀明
音楽:鷺巣詩郎
出演者:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ
【作品概要】
『エヴァンゲリオン』シリーズなどの庵野秀明と『進撃の巨人』シリーズなどの樋口真嗣が総監督と監督を務め、日本発のゴジラとしては初めてフルCGで作られた特撮。
現代日本に出現したゴジラが、戦車などからの攻撃をものともせずに暴れる姿を活写する。
【感想レビュー】@theater
(8月21日)
加筆しました
文章の半ばほどから…
(8月4日)
ようやく観てきました
初日公開から私のツイッターのタイムラインは怒濤のゴジラツイだったので、若干ネタバレも読んでしまっていましたが
(そしてこれより下は若干のネタバレを含みますあしからず。)
岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』を色々と彷彿とさせるとツイートしてる方が多かったですが、確かに!と思いました。
もう舌を噛み倒しそうな政府機関名のテロップずらり…
でもこれ、ポーズだと思うので、詳細名をそんな気にしなくても大丈夫
なのだと思います。
こんなに、こんなに、こんなに多くの日本の頭脳が集結して会議しているのに、何も解決しない!無駄な議論ばかり!誰も責任を取りたがらない!責任は取らないが人の揚げ足は取る!…みたいな。もうよく言われることですねはい…。
群像劇で出演者が多く、キャストも豪華です…!見応えたっぷりです
実は、ゴジラシリーズもエヴァンゲリオンシリーズも未見な私ですが、庵野監督だということや、今回はゴジラシリーズを観たことがなくても楽しめるというハセヒロさんの言葉を信じて!観に行きました
近代日本が抱えてきたありとあらゆる問題を内包する存在が“ゴジラ”だったので、構造として観やすい映画でした
やはり、コアなファンのいるシリーズものって、なんだか敷居が高いイメージがありますが、ホッとしました…!
広島、長崎と続けて原爆が投下されても尚、じりじりと時間だけが虚しく過ぎる会議が続く『日本のいちばん長い日 』から、まるで進歩のない現在の日本が描かれる。会議の出席者が多ければ多いほどもう滑稽な印象でしかなく、劇場でも失笑が…
“ゴジラ”は、単に建物を破壊する悪ではなく、人間社会のあらゆる膿を内包する存在だった
矛盾、怒り、哀しみ…。
その複雑さに胸が熱くなる。ゴジラを観て胸が熱くなるとは…!!
あるシーンで、もの凄ーくエモーショナルな音楽がかかるのだけど、そこのカタルシスたりや…!まんまとグッときてしまいました…!
この内容にこの音楽…!という意味において、また世界の核問題とかも含めて、『復活の日』も彷彿とさせるなぁと思いました。
そしてこれ以降、トーンはやや落ち着き…というより、やはり『日本のいちばん長い日』のように時間だけが経っていき…
自分達にはどうしようもない、とてつもない存在を前にした時、もとい、とてつもない状況を前にした時、人は一体どうすれば…!
ここで一つ、凄く違和感があったのは、住民の不在感。もちろん、ゴジラ上陸に伴う堤防決壊で逃げ惑う人々も、避難の様子も少しは描写される。されるけども、そんなに多くはないイメージ。
これはもう意図的だよなぁと思いながら観ました。高層ビルの窓窓の灯りが、夜景に映える。居るだろうけど居ない感じ。避難してもうここには居ないかもしれないけど居るかもしれない感じは、もはや不気味です…
↓加筆ここから↓
住民の不在は、個人的には二つの意味を感じました。
一つは、大きな人災・天災が起きた時、ごく一部の選ばれた人間達が会議室で策を講じていくという、古からのこの世界の仕組み。下々の者の知らないところで…。
もう一つは、震災との絡みもあると思いました。3.11の時も、被害状況の全貌がすぐ分からなかった。そのタイムラグがとても怖かったのだけれど。。渦中にいればもちろん何が起きているか情報が無いだろうし、たとえ情報を持っていても現地に伝える手段が無かったりする。そういうタイムラグの怖さがリアルに伝わる秀逸な演出だったのでは…と思いました。
もちろん3.11後の作品なので、製作側の気遣いがあったとも思いますが。。
↑加筆ここまで↑
そして政治家の人達がどんな状況になっても、自分の野心とかで色々判断していく超絶エゴぶりを徹底して描いているのにも内心ニヤリとしてしまいました…
日本の戦後はどうだったか。自衛隊を取り巻くあらゆる問題。原発。ジャパンハンドラー。かなり斬り込む『シン・ゴジラ』!!…痛快を極める…!!穿った見方をすると、極め過ぎて若干出来過ぎ感さえ漂う…!
ハセヒロさんと石原さとみさんのあるシーンが印象的で、彼らは日本側とアメリカ側ですが、普通に立つと身長差がかなりあると思うのですが、そこはあえて自然な差で撮っているのに、あるシーンですんごい差を感じさせるように立ち尽くすシーンがあって、奇妙過ぎるのですけど、これはやっぱり日米の奇妙なバランスのことかな…。やけに長かったし、意図的かと思うのですが…。
また、ハセヒロさん演じる矢口が、士気を上げる挨拶をする度に周りに一瞬漂う虚無感も見逃せない。特に自衛隊の前のそれは、たしか隊員の顔は前から映されなかったように思う。だから矢口の言葉は、乾いた響きとなって宙ぶらりんとなった。
それは作り手の凄いメッセージだと思うのです。。
そしてメッセージといえば、『野火』の監督でもある塚本晋也さんが俳優で出ていて、メッセージ性の高い役なのと、塚本晋也さんの存在自体のメッセージ性があいまって、なんだかすごく響きました。
『日本のいちばん長い日』のように、政府機関を皮肉りながらも、そこからさらに踏み出し、だから自分達ならこうする!という具体的なアクションがあって、そこにも強いメッセージを感じました
急傾斜の劇場で、席は最後列と最前列に僅か残るのみ。もうどうせなら、初ゴジラを見上げよう!!と思い最前列にしたものの、細かいところは見落としているかもしれません。
もう一度劇場で観たい気もします