映画『アントマン&ワスプ』公開中ですが、ご覧になりましたか?
笑いどころ満載なのにほろり、冷や冷やもドキドキもありつつ、
まさに「おとな」として生きていく世知辛さや生活感、小さな幸福の
大切さも感じられるヒーロー映画でした!
こちらを観に行ったのには大きな理由が…。
前評判を聞いたり、そして監督のペイトン・リード氏を取材したお友だち
の映画ライター相馬学氏より、「監督はスミスの頃からモリッシーのファンで、
劇中に登場するモリッシーネタは監督のアイディア」と聞いていたから。
観ないわけには行かない!!
そしてついに一昨日観てまいりました。いろいろな方の感想など見ていると
「マーヴェル映画でなぜモリッシー?」
「モリッシーってイギリス人じゃないの?」
「LAのメキシコ系アメリカ人はなんでモリッシーが好きなの?」
…という疑問をよく目にしました。本にも少し触れたのですが、最近よく聞かれる
ことも多いので、今回そのあたりをまとめてみました。
以下、映画のネタバレあり↓↓↓↓これからご覧になる方はご注意を!!!
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①『アントマン&ワスプ』の中で「モリッシー」はどのように使われているか
・主人公のスコットの親友ルイスはメキシコ系アメリカ人。おしゃべりで「人間ジュークボックス」
とも言われる彼からスコットの電話にかかってくる電話の着メロが“Everyday Is Like Sunday”です。
スコットの娘からかかってきた時は違う着信音だったので、ルイスからかかってくる時は彼の好きな
モリッシーに個別設定しているのでは?と思いました。さすが親友。
・「ジュークボックス」と部下から言われたルイスは、あることを思い出ししゃべり始めます。
それは、おばあちゃんが経営するレストランに「モリッシーの曲だけのジュークボックスがあった」
ということ。その回想シーンのバックでは“First of the Gang to Die”がかかります。
(※劇場で一緒に歌いたくなるの注意)
その時のルイスのセリフ。
「おばあちゃんのやってるレストランにはジュークボックスがあった。モリッシーしかかからない
ジュークボックスでさ。俺達ラティーノは、モリッシーを『モズ』って呼ぶ。ばあちゃんは
『あんたモズを好きじゃないのかい?』ってな感じで言う。もし誰かがモズの文句言おうものなら
『出てけ!』ときたもんだ。なんで俺達がこんなに彼を好きなのかわかんないけど、思うに、
彼のメランコリックなバラードはほんと、わかるわかるって感じなんだよね」
この映画にモリッシーが出てくる「リアル感」「現場感」が感じられますね。
日本風におきかえれば、
「ばあちゃんのやってたスナックでは、山本譲二ばっかりかかってた(どんだけマニアック)。
ばあちゃんは『あんた譲二を好きじゃないのかい?出てけ!!』ときたもんだ。やっぱ
『みちのくひとり旅』はしみるんだよね…」
…みたいな感じでしょうか(だいぶ違う)。
例えはさておき、実際にあるバックグラウンドを持った固有名詞が出てくることで、フィクションに
真実味や生々しさを持たせることができるのは確か、ストーリー・テリングの技でしょう。
ペイトン・リード監督のインタビューでもその理由が語られていました。
②ペイトン・リード監督はなぜモリッシーを劇中に登場させたのか
Polygonに掲載されたこちらのインタビュー、インタビュアーに『アントマン&ワスプ』は、
「メキシコ系アメリカ人のモリッシーへの愛を描いた自分が観た最初の映画」と言われた監督は
「私はもとからスミスのファンだった。実際に、“Louder Than Bombs”という名前のスミスの
カバーバンドで少しの間ドラムをやっていた。数年前、ロスのシルバー・レイクののSpaceland
(オルタナ、インディー系のナイトクラブ)でやったショーにバンドで出て、スミスのカバーを演奏
したら、ライブの後で『ねえ、すごいよかったよ!“Sweet And Tender Hooligans”くらいだよ。
スミスをカバーしてるバンドって素晴らしいよね!』と声をかけられた。
『ちょっと待って、Sweet And Tender Hooligans??何、そのバンド?』と聞くと、
『え!?見たことがないのか』と言われたんだ。
それでそのバンドを見に行った。彼らはラテン系のスミスのカバーバンド。明らかに私たちの
バンドよりずっとうまかった。そしてその時初めて、モリッシーは彼の歌い方スタイルのお陰で、
こんな本当に特別な崇拝者たちをロスに抱えているってことに気付いた。そして、昨今の彼は、
特にこの崇拝者たちに向けて歌を書き始めていたのだということに気が付いた。
このことを知ってから、長い間温めてきた。ルイスの持つこの種の難解な知識、彼のおばあちゃんが
モリッシーしかかからないジュークボックスのあるレストランをやっているだろうという想定は、
ルイスの好みにぴったり合っていると感じた。おもしろいと思ったし、本当に具体的な
生々しいディテールがルイスをルイスらしくする。それで劇中では、実際にあんな風に落ち着いた」
…とのこと。監督がモリッシーがチカーノに愛されていることを知るきっかけとなった
“Sweet And Tender Hooligans”とは、「昼間はライフガード、夜はモリッシー」で有名な
メキシコ系アメリカ人ホセ・マルドナドさん率いるスミス/モリッシーのカバーバンドですね。
スミスというかほぼ、最近のモリッシーへに寄せてます。
こちらで、日本語字幕つきのドキュメンタリーも見れます。
『モンスターが生まれる11月』の完璧なりきりPVがすごいです!!
obsessed:メキシコ版モリッシー
インタビューでは監督から言及はなかったものの、メキシコ本国にはモリッシーを
マリアッチ・カバーする“Mexrrissey”もいます。
マンチェスターのサルフォード・ラッズ・クラブでぱちり。
モリッシーのライブ前にも彼らの曲が
かかっていましたね。
Mexrrissey - First Of The Gang To Die
一部トレイラー(メキシコで流れるもの)では彼らのこの曲↑
“El primero del Gang”が使われています。
…長くなってきたので、では実際にLAのチカーノ、ラティーノたちがなぜモリッシーを
好きなのか、という話(少しルイスの発言にはありましたが)は次の②に続きます!
★オマケ★
ルイスの部下、カートのこのヘアスタイル…もうモリッシーを意識していると
しか思えないw
→続きその②はこちらへ!