KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

sludge demon×daigomi

2010年09月01日 | インディーズソフビ



宵闇迫ればーー…。NEAR DARK、
MORE BLACK 、
SOUL OF BLACK 、
MORE BIZZARE !

てなわけでJAPAN MONSTER VINYL TOYの感性を漆黒の海の向こうで
ハイブリッド、クリーチャーの要素をブレンドされた
ORIGINAL & DARKな VINYL KAIJU TOYを見ていきたい。

インディーズソフビのカスタム&メーカー屋号である
MUTANT VINYL HARDCORE(ミュータントビニールハードコア)
を主宰するLASH氏がデザイン・造形。

下のほうで白い顔でにやけているのは
日本妖怪的感受性もこめられた異色のキャラクターソフビ、
SLUDGE DEMON(スラッジデーモン)。

ヤツはすでに日本にも上陸していたりします。
国内では7月のスーフェスでvelocitronさんのブースで力さんの塗装VER.により販売、
さらにその後BLObPUSさんがコラボカスタムを行い販売するなど、
日本のソフビファンの間でもその異形のルックスが知られるところと
なっている。

そして近々まんだらけさんとのコラボレーションで
生みの親であるLASH氏本人が塗装した、初の蓄光成型による
TOXIC GID VER.とでもいうべき限定SLUDGE DEMONの販売も
行われる予定で気になるトコロです。



これはBLObPUSカラーのアイテム。お能の面や歌舞伎の幕などをイメージしたカラーらしく
日本販売品としてのイメージを強調されたことで、LASH氏のコンセプトである
妖怪的感性もねりこんで作られているクリーチャーだなと思えますね。




手足がなく、名前にもあるスラッジ状のドロドロの胴体に面のような顔が
張り付き、エビスさまのように屈託なく笑っている。その笑顔が見た者にもたらすものは
福か災厄か?

一見、非常にシンプルなデザインのアイテムなのですが、
作り手の目線を想像するに、
いろいろ自分の作りたいものを作っているうちに
自分の標榜する最終イメージに近づこうと徹底的に部品を排除していったら
ここまでシンプルになりました、
そう、出来あがってみたら自分はこれが作りたくてたまらなかった的な
潔ささえも感じ取れるトコロ。ドロドロへのオブセッションが横溢している辺りは
BEMON公害怪獣あたりの示すSLUGなキャラクターへのリスペクトも隠せない感じだろうか。

この胴体は軟体生物のよう。やはり粘液を滴らせて地面に不気味な痕跡を
残しながら移動するんでしょうね、
嫌な感じがまたGOOD。そんなところもソフビとして
手にしたくなる触感をミョーにそそらせるキャラクターではある。
ソフビも子供の時に接した時の原初的感情である、
触感が命だと最近とみに思います。
ちょっと小さいアイテムカナ?と思われるところですが
このSLUDGE DEMONは手にしたときの
元禄の世のフィギュア?である「根付」のような、すっぽりと手に収まる感じが
キャラクターの「カタマリとしてまとまっている」快感とあいまって
触感面でもミリキを放っていると思います。

LASH氏はさらにこの次のアイテムも製品化している模様。
これがまた著しく妖怪テイストな面々なのが自分のやりたいことと
ブレてない感じでほほえましい。
LASH氏は、最近では日本産インディーズ妖怪系ソフビといえる山桜さんの仁王骨や大蛇鬼を
ノリノリでカスタムペイントしているようで、妖怪系キャラへのこだわりがうかがえるところです。

現地ではすでに販売しているのカナ?2作目 DOJI-SAN(ドウジサン) は、
画像を見ると日本の座敷わらしとこなきじじいと油すましを足して
若干アメリカ人の好みそうなドワーフ系クリーチャー要素をアマルガムした
土俗的民話テイストのどろっと漂う、しかも愛嬌たっぷりなキャラクターのようで
なかなか妖怪を「わかっている」作り手のようです。

DOJI-SANはゴブリン・ドワーフ10%、日本妖怪90%的配分というところか。
この位の抑えメな洋テイスト調合だと日本のソフビファンにも大いになじめる感じか。
その調合こそLASH的料理センスなのでしょう。

彼のアイテムは日本でも支持が得られそうな、
いや、妖怪発祥の国でこそ売るべきキャラクターと思います。
そしてこのSLUDGE DEMONにはすでにMUTANT VINYL HARDCOREのメーカーとしての
MAKERS SOULがシンプルなつくりの中に初作としてすでに根付いているように思います。



SLUDGE DEMON, そしてMONSTER WORTHIPさんのKUSOGON(クソゴン)と
いっしょに映っている巨大なジャンク&スカムなヤツは、GUMONというメーカーの
DAIGOMI(ダイゴミ)。これは今年初夏に販売されたBLObPUSさんのカスタムコラボカラーVER.。

一目瞭然でスクラップの集結した公害怪獣らしきキャラクターであることが
わかります。ほとんど映画のプロップのような重量感のあるアイテムです。

手が巨大なハサミ状なのですが、これで地球上の廃物をかき集めて
自分に取り込み、どんどん巨大化していくのでしょうか。
人類が地球上でモノを作り、汚していくとこのダイゴミがどんどん力をつけて
強大になっていく。人類の破滅の映し鏡として廃棄物という負の存在を糧に
生命力を得ていくかのような
ディストピア&インダストリアルなキャラクターバックボーンが
思わず脳裏に浮かんできます。



スクラップ系の公害怪獣というと日本では昭和のオリジナル怪獣ソフビで
スモゴン1号・2号が始祖的アンダーグラウンドアイコンとして存在していますが、
海外の作り手としての感性で
スクラップの集合体というスパルタンな怪獣イメージに増幅させて生み出された
公害モンスターソフビのようです。
スモゴンシリーズに漂うような、
スクラップの持つ、生産・成長過程から棄てられた者のアイロニーという
方向でつむがれたキャラクター造形とは創意を異にして、
ひたすら廃物とともに増殖する無機質なロボットのような不気味さで
まとめているのが独自のポイントですね。

惜しむらくは、このモンスターの最大のミリキである
全身に纏うたくさんの廃物たちが、既存の市販されている
ストラクチャーの貼り付けによるディティール表現だったことカナ。
ここは日本でいうならブルマァクのガルバンや
ターゲットアースさんのスモゴン2号みたいに
一個一個記号的な感じの造形でついていたらこのキャラクターのアイデアが
ソフビとしての「柔」とうまく表現が合致したように思います。

というかこういうスクラップのような体表の記号表現こそソフビの造形スキルを
手にしたお客にわからせる全体の肝に当たるところのハズだし。そこは
日本と海外の造形表現の違いなのかもしれませんが心残りといえば心残り。

まあ、既存のストラクチャーの流用貼り付けにより
逆にスクラップとしての硬質なイメージが強調されたともいえるのですが。
面白いと思ったのは、よく見てみると自動車やバイク、家屋などの中に
ぺっちゃんこになった人間らしきものも
ダイゴミの体表に吸い寄せられて一体となっているのが見つかる点です。人間も死ねば
只の肉のスクラップに過ぎないとでもいわんばかりにダイゴミの血肉に取り込まれた、いうことか。
何かアメリカンな死人の概念、ペシミスティックな風刺も感じられます。
とにもかくにも手にするとジャンクアートのオブジェのような
異色のモンスタートイになっていることが伝わってきます。
なによりもGUMONというメーカーはこのキャラクターがファーストプロダクツなので、
今後造形面でさらにスキルがつくことで、より自分のオリジナル要素が
立体の製作面でも反映されたアイテムになっていくのでは。次作も楽しみですね。




ソフビは手にした瞬間に、写真やネット上に貼られた画像では得られない
えもいえぬ何かが侵入してくるものだなと改めて思います。
そして海を越えたソフビの好きな連中のもつパッションも侵入してくる。
彼らの熱さは本気です。年々、日本の怪獣的感性を分析して自分たちの
日本怪獣の新訳ともいえるソフビが生まれています。やがては日本のファンも
まったく想像しえない、しかもとんでもなく感性のツボを突いたアイテムが
続々と上陸してくるかもしれません。

霧の深い夜は海からくる奴らに気をつけろ!
海外ソフビカイジュウの襲撃はすでに始まっている・・・!

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6 コメント

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Unknown (メガたぬき)
2010-09-01 23:10:04
どうもこんばんわ。
サンドイッチマンの記事の
写真、どれも良い構図ですね!
タイミングが上手くいかないと
撮れない感じのものって
ありますね。

子どもの頃は、
ヘドラは別としても、
あまりジャンクな怪獣は
好きじゃなかった記憶があります。
確か、ウルトラマンダイナに
ユメノカタマリっていう怪獣が
出てくる回があったと思いますが、
あまりに印象が混沌としていたり、
判然としなかったりすると、
ただグチャグチャ作ったものでも
怪獣と呼べるのか。と思ったり、
あのぐらいの怪獣だったら自分でも
思いつくよねという感じで、
当時は見てしまっていたと思います。
そういう意味でも、ジャンクな怪獣
を作るのは難しいと思いますね。

スラッジデーモンの背面は、
なんだか、シグナリオンみたいな
ディティールですね。
こういう系統だと、
片手に腹話術の人形を持った
どちらが本体か分からないような
妖怪のキャラクターが見てみたい
気がします。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2010-09-01 23:48:36
>メガたぬきさん

こんばんわ!あいかわらず9月に入っても
暑いですね。
スラッジデーモンの背中、シグナリオン(笑)!
なんか既視感があるなと思ったら、確かに。
もうシグナリオンにしか見えん(笑)。
スラッジデーモンの路線は鳥山石燕の絵のように
何匹かこの手の付喪神ぽい、同じデザイン
ポリシーのヤツが居ると
飾っていて映えるかもしれませんね。

たしかにジャンクの怪獣は難しいです。
自分も子供の頃はあまり公害怪獣という
存在に惹かれなかったように思います。
ヘドラのソフビも買ってもらったけど
思い入れはあまりなかったように記憶しています。
ご指摘のダイナに出てくるユメノカタマリは
ようわからん形の怪獣でした。ウルトラマン80に
出てくるガゼラもジャンク系ですけど
子供が作った怪獣という設定でなかなか愛嬌のある
姿なのがよかったですね。あとジャンボーグAの
ダンプコングも車モチーフでよくまとまっていた
と思います。
やはりグチャグチャな
だけでなく、ルックスの根幹を成すポイントとして
ディティールのない箇所を作らないと
全体から緩急が生まれないのかもしれませんね。
ダイゴミはぶっちゃけ、
まだ習作という感じなんですが
大きさのもたらす作り手のやる気に感心して
今後に期待という気持ちで載せてみました。

サンドイッチマンはねえ、なんか外出時に
仕事だったんですけど、ものすごく日中暑くて
仕事が終わってからこれから帰るのか~と
思ったらくらくらして帰るのもその場でどこかで
休むのもいやになり、なんかそういう時って
あるでしょう、こんな暑さだと(笑)。
芝生とかあったら倒れこみたくなりそうな。

ヤケクソで暑い中撮りまくった感じですね。
バックに人が映るときも、そうなんですよ、
ちょっとそこに立って固まってて!みたいな感じで
半ば脅迫めいてる感じで撮ってました。

なんか黒いロボットを持ったヤツがカメラ向けて
こっちにファインダー向けてるでしょう、
固まるんですよ、これが。
ほんとに発狂してたかもしれない。
苦しいけど気持ちいいのはこういう時です。
ウルトラファイトも日没頃の砂浜の撮影で完全に
怪獣もセブンもグダグダになって
撮ってるのがありありな回ってあるんですが
こういう帰るのもこの場で休むのもへとへとな
時の空気が生む写真というのがハプニング的で
なんだか自分も後で見て楽しめるようなのが
撮れる気がします。サンドイッチマンロボは
書いてる文章だって全然キャラと
関係ない一方的な妄想ですしね。れっきとした
版権アイテムなのにこの黒いサンドイッチマン
ロボはタコが精神汚染してできた
オリジナルロボットソフビ、そうだ
エヴァ参号機みたいなものです(笑)。

でもメガたぬさんもブログのこないだの記事で
夏の終わりを撮るために
わざわざ海に行ったんでしょう?
そういうの、なんか詩的で
惹かれますよ。今年は海の青いソラをまだ
見ずじまいなんで、ああ、こんなに
青かったか、とうれしかったな。
写真のチカラというか魔力っていうのは
画像に映っているものだけでない
撮ったヒトの言霊みたいな
ものが伝わって見たヒトをハッとさせるもの
なんでしょうね。夏は暑さもあって
ヒトを精神的彼岸に導き、そういう写真が
撮りやすい季節のような気がします。
返信する
Unknown (マンガ)
2010-09-02 11:57:13
良く思うんだけど、
ディテール無視した塗装じゃなくて、
普通の模型みたいに、ディテールにのった、
デザインなりの塗装してみればいいのに。
こういう塗りの何倍も時間がかかるから
大変だろうけど、一品くらい塗れば、
設計意図が客に伝わっていいと思うんだよなぁ。
本歌取りのはずが、何から崩してるのか
良く分からん状態に。
返信する
Unknown (タコペッティ)
2010-09-02 12:15:21
>マンガ氏

こんにちわ。それだとソフビでなくて
フィギュアになっちゃうんだよな~。

版権のソフビだと劇中カラーというのがあって
TVや作品中のディティールに近い色で
なぞっていく塗りが
ひとつの付加価値になっているんですけどね。

要は今のソフビのお客がどういう方向の塗りを
求めているかなんですよ。レトロ塗装がソフビの
本来の簡略・記号化された塗装表現として適切
なのか、キャラクターによってはフィギュア的な
塗り方がいいのか、造形のテイストによって
変わりますからね。

こういう廃棄物を全身にまとっていたり
ヘドロや粘液にまみれているようなキャラクターは
あいまいな感じでいろんな色を吹く
塗装が主流になってる感じですね。まあ
どこのメーカーも全部がそういう塗りだと
没個性になっちゃうし、
現に一時期、インディーズのソフビが
みなそういう全色くまなく色のはざまを
意識しないで塗ったくるみたいな傾向に
陥ってしまった部分もあるような。そういう
玉虫色みたいな豪華なのを一品モノの
カスタムアイテムで求めるお客も居るので
いたしかたなしみたいな部分もあるかな、と。

ひとつ言うならクリーチャーとカイジュウは
塗りも違うハズ、と思いますね。
やはりキャラに合った塗装ってのがあると。
自分はカイジュウは基本、生物らしい色のほうが
見ていてほっとしますね。
返信する
Unknown (もぐら)
2010-09-02 19:27:26
こういうのはいらないw
返信する
Unknown (タコペッティ)
2010-09-02 21:12:34
>もぐらさん

手厳しいね(笑)。
結局日本人的なソフビの嗜好があって
嗜好面でがっちり
セキュリティがかかってるヒトには
難しい方向性なのかも。このごろ思うに、
日本のメーカーが作る
アメリカンテイストの、というか
アメリカ人を消費者狙いにした怪獣ソフビって
つまるところどこまでも外人さん向けの商材
なんだなと強く思うわけで
今度は逆に日本から来たそれを消費してる
外人さんもソフビを作りたいと思うと
今回紹介したようなアイテムが発想として
商品化されるのも逆説的にありうる。

現にこうして作られてるのですが、
ただそれが日本に逆輸入されたらはたして日本の
レトロソフビの嗜好が根源にがっちりある
ネイティブソフビユーザーに定着するか?という
話ですよね。

ぶっちゃけもぐらさんのように
結構壁はあついかと思うんです

が、記事にも書いたように邦洋テイストのブレンド
比率がだいぶ日本寄りになってるなと思うので
突然変異の直前フラグなのか?と思い
紹介してみました。
後でピンとくる変化だったかどうか
今の時点で枝分かれがここだったと
付箋をつけときたい、、みたいな感じ
でしょうか。
それこそブツを見る日本人のソフビファンの
反応こそ多様である、当然そうなるだろうなと
思ってます。あくまでお客はお客なんだから
純粋に反応していいはずですからね。
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