KADOMIUMTANK ソフビブログ

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ZOLLMENファンシートイ/タケミ

2012年11月02日 | モンド・トラッシュ






ZOLLMENさんからこの秋に発売されたファンシートイ(FANCY TOY)シリーズの
新カラー「タケミ」。
異形かつモンドテイストなキャラクター揃いなZOLLMENアイテムでもFANCY TOYは
メーカーさんの趣味度が明確になったシリーズのように見えます。



FANCY TOYシリーズは、カイジュウファミリーを描いた実写コメディ特撮番組の
放映当時の70年代に販売されたソフビシリーズのパチものを標榜して作られたのは
キャラクター造形を見るとおぼろげながらにわかるのですが、
このメーカーさんならではの変態サイボーグな造形センスやフリークス趣味の
造形アイデアがフルに投入され、ZOLLMENアイテムの中でも、
そしてインディーズソフビのパチ怪獣ソフビ中でも
異能のプロダクツと位置づけられるシリーズとなっています。




今回販売されたタケミはこの「FANCY TOY」のファミリーを想起させる
キャラクター中で、「ママのカイジュウ」ポジションにあたるキャラクター
なのではないかと思います。
同時にこのFANCY TOYシリーズの中でもずば抜けて異形なキャラクターとしての
ルックスを持っています。



ポリープの細胞が顔で増殖したような顔面は同社の円盤怪獣マザーも髣髴とさせます。
今回発売されたタケミのカラーはブロッコリーとか、緑色野菜風ですね。
見ていると野菜が食べたくなるようなベジタブル系でまとめている気がします。
もっとガン細胞みたいなどギツいカラーで発売されたこともあったのですが、
家庭のキッチンに居ることの多いママのキャラなのでこれはこれで
合っているような気もします。






占領下の日本で作られたセルロイド人形のようなボディに女性らしい細腕、
そしてブツブツでできた顔面。人体パーツとクラシックな VINYL TOYの
造形的記号をかき集めて構成されたかのような女の怪物がタケミ。



口のような器官?が右頬にもうひとつついており、
「口数が多い」とか「二枚舌」といったマイナス面の属性が
ぼんやり浮かんできそうです。





マネキン人形のようなしなやかな腕の部分の造形と、人形のような胴体と
化け物のような顔、身体部品の比率とつなぎ合わせ具合が
見る者に対して得もいえない気色悪さを放射する造形物です。
でもこのFANCYというキーワードがその名に躍るシリーズらしくとりあえず
不思議にキュートさもある。

FANCY TOYシリーズを並べていると、他のロビンやおとうさん?風のカイジュウ、
ウッドはファーストカラーが
元のキャラのイメージに似ていたこともあり、ある程度造形的近似値があるのですが、
このタケミだけがなぜかイマジネイティブにいじりまくっていて、
パチネタソフビなのに、もはやオリジナルに倣ったのは等身バランスのみで、
まったく原型をとどめていません。

思うに顔はもっとロビンに似ている母親だったのが
何かあって顔面にブツブツが増殖して変形してしまったのでしょうか。
勝手に脳内にタケミにまつわるいろんなストーリーが浮かんできます。
もしかしてこのFANCY TOYの世界観では顔がドロドロなのは「美人」と
定義されているのかもしれないですが。










FANCYTOY・ポピー。

タコはこのFANCYTOYシリーズははじめに4体セットで発売されたときに
買ってないのでその後、バラバラに気に入ったカラーのものがでたときに
収集しています。これは先にいろんな色が出そうだなと思ったので。
このポピーはKING BEEで販売されたときのカラーです。





ポピーはビーグル犬のような姿の怪獣で、おそらくは長男?・ロビンの
ペットポジションだと思います。
ポピーにはEXOHEAD氏独自の変態サイボーグ系造形センスが投入され、頭部は
ロボトミー?されたような着脱可能なコクピットを搭載しており、そこに
同社のキングペポラに付属していたミニペポラのような、変てこな生物が
搭乗しています。
さらに尻尾もひきづり防止対策にチープな滑車が付いてたり、元ネタに似ているようで
似てないコレジャナイ感が満点。
体内で何者かに操縦されているという造形的設定もあいまって
そのまなざしもどよーんと弛緩したような表情となっており、これまた
悪意の入り混じったユーモアの漂うキャラクターソフビとなっています。












特別出演・タコが最近よく遊んでる「秀昭」くん。
レトロ造形のアイテムなので、FANCY TOYの中に入れても違和感があまりありません。
FANCY TOYも「フェイクの当時モノ」的テイストを漂わせようと、
妙にレトロ造形を意識して作られていることがわかります。



タケミのスカートの中には肛門のように見える穴がディティーリングされていますが、
これはポリ製キャラクター玩具特有にあるブロー成型時の空気抜きの穴のパロディ
ではないのかとふと思っていたり。どういうわけかTOYで作っても人間の肛門の
位置につくことが多いんですよね、この押し出し成型時に空気を逃がすための穴は。



そしてロビン。一応このFANCY TOYシリーズの主人公なんだろうか。
右のはランブルモンスターズさんが塗装したバージョン。色が腹の卍(ナチスの
マークでなくてまんじらしいです)ワッフェンSS風味にはまりすぎて
ちょっとアブナイ(笑)ですが、ゆえにお気に入り。

のちにメディコムトイさんから発売されたのは左の青いロビンですが、ロビンの
おともだちにあたる同種別個体の子供カイジュウという自分解釈でいつもいっしょに
置いています。視点を変えると実はこの青いカラーのほうがランブルさんの
塗装版よりもキワドイんですが。










このロビンもディティールを見てみると手の先が未成熟で指が三本だったり、
キバが口の左右から違った方向に生えてたりと遺伝情報の異常めいた
ディティールが入っており、「双生獣バジラ」的なフリーキーな
要素を持つキャラクターのようですね。





FANCY TOYの等身バランスやサイズはどことなく昭和の非怪獣系な当時「マンガ」と総称
されるところのキャラクター玩具的なアイテムのスケールや等身バランスを意識した
ような感じもあります。同時にポリ人形のような、ソフビよりもディティールがユルい
人形のイメージも折りこんだ印象ですね。足の長靴のような履物の造形も
ポリ玩具によくあるビニールパーツの靴っぽい。

ZOLLMENさんが玩具ショップ、ガリンポを展開していた頃は
いろんな昭和のTOYを扱ってきたようなので、その経験から古いソフビやポリ玩具の
記号性が頭に叩き込まれてこのFANCY TOYのような編集性の高いソフビシリーズが
生まれるバックボーンになったのかもしれません。










昭和キャラクターTOYの造形的形象をカットアップして玩具の持つ極北性に
着眼しつつ、カイジュウファミリーのソフビシリーズを元にフルに妄想を盛り込んで
造形したオリジナルソフビシリーズがFANCY TOYといえるのかもしれません。
その証左にキャラクターの名前もすでにこの世に存在しない昭和の懐かしい
玩具メーカーの名前ばかりではありませんか・
足裏の「タケミ」「アーク」なんて名前を見ると昭和の玩具好きは
思わずメランコリックな気分になるでしょう☆



FANCY TOYのコンセプトは、有名キャラの「チャーリーブラウン」や
「テレタビーズ」を、エロ妄想や怪物系のディティールアップによって
再構築したブラックユーモアあふれるアイテムを展開する
アメリカのアーティスト、RON ENGLISHの作風にも
どこか通じるものがありそうです。

日本のカイジュウソフビのジャンルで昭和のTOYカルチャーの造形的「ヤレ」部分から
再解釈しつつ、自家中毒的かつブラックなオリジナルソフビシリーズFANCY TOYを
ものしたZOLLMENさん。



ZOLLMEN的極北標榜、異能のメーカーとしての活躍では70年代後期のロボット
玩具のパロディアイテム「スペースGUY 56」、レトロ造形による怪獣ソフビの
オーソドックスな造形スタイルを遵守しつつ、禁断ともいえる畸形の怪獣キャラクター
を生み出した「バジラ」などのアイテムをこれまでも生み出しています。

これからもオモチャのもつ「仕様」にブラックな「毒」で味付けし
隠微なミリキを独自の武器としてソフビ界でも異彩を放ってくれることでしょう。


【ANGEL/GMT】
この音源捜しまくったな~。劇中ではちょっとしかかからない。
コメント欄の外人さんも「やっと見つけた」って
書いてるヒトが居たんだが(笑)海の向こうにもマニアいるんだね。
「悪魔の毒々ハイスクール」挿入歌

http://www.youtube.com/watch?v=DpJSuq7kZW0


【Dawn of the Dead(remake) Bus Scene】

http://www.youtube.com/watch?v=pG8bh84j3-M


【Daybreakers (2010): Blood Riot】

ここ数年吸血鬼ものは映画、TVといっぱいあったけど
一昨年の「デイブレイカー」はスタイリッシュな映像かつ
スプラッター描写もあり、自分的に一番好きなやつ。
吸血鬼が文明生活の隆盛を誇る本作の劇中世界では血を提供する
人間の方が希少種になって吸血鬼が食料対策として養殖してたりとか
保護してたりとか、人工血液でしのいだりとか
設定がひねってある。吸血鬼版「ガタカ」というところか、
吸血習慣を止めようとする弟と対立する兄貴のドラマを中核に置いた
青春ホラーとしてまとめあげており、ウエルメイド。

http://www.youtube.com/watch?v=x9qPQSoqoXU

【「ザ・ウーマン」予告編】
前作「襲撃者の夜」を見返したらカナダ国境を放浪する食人ファミリーたちが
警察やFBIに追い立てられ、ラストで辛くも脱出してる娘が一人居た。
今回はその娘の行った先、顛末を描いた続編。
日本でももう上映始まってるんだな。ソフト出るまで待つか思案中。

ハッ そうだ、「凶暴な食人族に野蛮人の習慣を止めさせて
文明人へと教育しようとする」展開って
ジョージ秋山先生の「アマゾンくん」みたいではないか!
ジャック・ケッチャムの作品はとにかく読むと(観ると)
不愉快でヘトヘトに疲れてとにかくげっそりするけど
物語の行き先を見届けずにはいられない筆致の力強さは認めざるを得ない。
暗黒版スタンドバイミーの名は伊達でない。

http://www.youtube.com/watch?v=i4VWQBo26Gk


【David Cronenberg's The Brood - Final Scene】

情け容赦なく群れで襲ってくる
テレタビーズみたいな格好のモンスターチャイルドが何度見ても怖すぎる。
クローネンバーグ監督は80年頃のカナダでちまちま撮ってた頃の
作品が寒々かつどろっとしててイイ。
本作はしかも離婚の渦中で子供の養育権を巡り元嫁と争ってる中でささくれだった
感情の中で撮ったので内容がリアル人生とリンクしてエッジの立った
怪作に仕上がった。日本公開時の副題には「怒りのメタファー」とある。
暗黒版「クレイマークレイマー」の名は伊達でない。


http://www.youtube.com/watch?v=epACN4pDcRU

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