KADOMIUMTANK ソフビブログ

ヘミングウェイの詩にこんなのがある。
「人生は素晴らしい 戦う価値がある」
後の方は賛成だ byモーガン・フリーマン

ゴルバ×ピッピー

2010年03月23日 | 特撮・SF


最近のお買い物。ぶたのはなさんの新作からゴルバとピッピー。

この「チビラくん」シリーズもチビラ・ガキンコファミリー
双方からゲストの宇宙人・怪獣までも登場し、マイナーな番組の
キャラのソフビ化という面でメーカーさんの本気度が
うれしい展開になっています。
造形的には番組のキャラクターにある程度忠実な一方で
ぶたのはなさんのまったりとした造形テイストが
キャラのかわいらしさをMAXに引き出した
ある意味、新訳的要素も出てきている。

劇中カラーと違うカラバリも最近は続々リリースされていますが
ぶたのはなオリジナルとして楽しめる要素が
さらに加わってきたように思います。
特にこのピッピーは右のFirst colorが劇中オリジナル
カラーなんですけど、左の新カラーも駄菓子的宇宙人風というか
ビビッドなカラフルさで今までのチビラくんアイテムの中でも
ぶっとんだ仕上がりになっており、一目で気に入った次第。



ガキンコのお父さん、ゴルバ。
「おっちうえ!」(ガキンコは舌ったらずにこう呼びます)

ぶたのはなさんはゴルバの亡き妻オク、
息子のガキンコとゴルバファミリーをとうとう
全部立体化してくれました。賢婦であったのだろう
オクが隣にいてゴルバもうれしそう。
ガキンコが生まれる時にオクが亡くなったように
思うので、ソフビとしてとうとう家族3匹で
すごすことが出来て、シアワセかも。
劇中でもゴルバは在りし日のオクの姿を
夢に見たり、時には心が折れそうになって
泣いたりしてました。


タコはオクを買ってから、
ゴルバが届くまでオクは開封しないで
待っていたのでしたので自分自身もようやく
三匹そろえて並べたところ。

見ての通りオクはブースカ。本編では
ブースカのきぐるみを付けまつげ、ピンクのケープを
巻くことで女性の怪獣としてアクセントして
まんま流用しています。「チビラくん」は低予算番組なので
過去の番組の主役格のキャラのスーツさえも迷わず
導入したということカナ?まあ作り手としては
過去の人気番組のキャラを導入して友情出演というか
お客への顔見知り効果も期待した気は少ししますね。

ゴルバとガキンコが親子喧嘩をしていたりすると
家の額?(鏡?)に常時佇んでいるオクの肖像が
ケープの端を目に当てて泣くしぐさをしたり
体を揺り動かしたりする場面がたびたび
出てきます。たぶんゴルバが男やもめで必死な想いでガキンコを
育てている時に、時々亡くなったオクにささやいたり
すがりたい気持ちになる時に
肖像のオクが自分に反応しているように見える、という
演出なんでしょうが…。



はたしてこんな難しい演出が
子供には理解できたのでしょうか?なにしろチビラくんの本放送は
朝の8時前後なのでどう見てもこの時間帯では
未就学児か幼稚園の子しか見ていないと思います。
自分も幼児の頃に時間帯から推察して
再放送で見た記憶があるのですが、
当時は内容がまったく理解できませんでした。

近年ケーブルで放映したときに見てみたら、
侵略宇宙人や宇宙からの来訪者がカイジュウ町を
騒動に巻き込み、チビラたちと関わるうちに
どこかで共存や和解の余地があるのに、結局保守的な大人である
パパゴン、ママゴンやゴルバが町の平和をお題目に
よそ者として言い分も聞かずに追い出すようなストーリーパターンが多く、
要はセブンのペガッサ星人の回やノンマルトの使者のように
ピリリと風刺が利いているエピソードがいくつかあるということですね。

おそらくは当時のメインユーザーである
子供たちにはちょっとハイブローすぎて
話が理解できなかったんじゃないかと思います。
おまけに1日5分で一週間オンエア(×6話)
で1話終了形式ですからどれだけ内容が把握できたかというと、
毎日細切れじゃ無理がありすぎだろう、と。
ゆえに最近のケーブルオンエアまで、この放映形式がネックになって
リピートもなかったので、番組の詳細は知られずじまいでした。

たとえば「イワタニの企業キャラクター・ゴキドンが出てくる」
説もあり、それは「怪獣怪人大百科」にも登場怪獣として
ゴキドンの写真が載っていたからなのですが
見てみると結局そんな場面はなかったり。
(放映当時の怪獣ショーイベントで
チビラファミリーとゴキドンが共演したショーがあり
それで資料上、誤認されていた説が濃厚)



だいぶラインナップが揃ったので
ジオラマ風に並べても楽しいですね。

ゴルバは時々ママゴンにモーションをかけます。
それはママゴンが好きなのも確かでしょうが
ライバルのパパゴンに対するデモンストレーション
もあいまっての行動なのでしょう。

そのママゴンの誘惑場面が子供番組と思えない感じなんですが、
パパゴンと不和になったママゴンに言い寄ったり、
ヒドイとママゴンに変身してパパゴンとの仲を
裂こうとしたり。またママゴンもパパゴンと不仲の時は
平気でよろめいたりする。
しかもパパゴンとママゴンが仲直りするとゴルバを執拗に排斥したり。
アメリカのソープオペラ並みのドロドロな愁嘆場が何度か描かれていました。
キグルミで三角関係や男女の痴話げんかをやってると
人間が演じてるよりも戯画化され、生々しくもあり
見ていて何か脳がくらくらしてきます。

ちなみにゴルバは変身能力があり、
初期話数は胴体のみが人間のプロポーション(これが気持ち悪い)
のカウボーイとか警官に化けたりしてチビラファミリーに
近寄ったりします(演出的には、顔がゴルバまんまなのに
チビラたちは気づかない)。

後期はウルトラ怪獣の
きぐるみが数多く流用されるようになって、
プラチク星人の体の装飾が取れた状態のきぐるみを
流用した変身体になって、チビラの家で開かれた
パーティーを邪魔しに現れたりしたこともありました。

しかしママゴンはもてます。こういう顔立ちが
カイジュウ町では美人なんでしょうか?ゴルバのほか、
ハレハレにも誘惑されていましたのでパパゴンも
気が気ではありません。



以前発売されたウー、エレキング、アギラーも
たびたびチビラくんの冒険に行った世界に生息する
怪獣役とか、カイジュウ町の住人として登場。



さてピッピー。
旧ブログのピッピーの記事でも書きましたが
ピッピーのキグルミはチャメゴンの頭部部分の耳を
切り取って、タイツとマントをつけた胴体と合わせた
円谷お得意の予算にやさしい出来合い衣装系の宇宙人。
それにしても頭でっかちでシュールです。
このピッピーの話の数回前に、カイジュウ町の住人役で
チャメゴンが普通に出ているので、そのあとキグルミが耳を
ぶったぎられて改造され最後のご奉公をしたのでしょう。ナムー…。

とにかくブースカだろうがチャメゴンだろうが使えるキグルミは
必勝鍋に食材をおしげなくくべるように
ガンガン改造しては劇中に投入していた当時の円谷プロ。
そしてクタクタになった怪獣キグルミが荒地の赤土にまみれたり
海岸の潮風にさらされたり過酷な屋外の環境で
擦り切れるようにひたすらバトルを繰り広げる
「ウルトラファイト」…。「帰ってきたウルトラマン」の
スタート前夜、第二次怪獣ブーム前夜の潜在人気を帯番組で
体を張って支えた一期ウルトラ怪獣たちの最後のご奉仕風景が
この「チビラくん」でも垣間見ることができます。


ぶたのはなさんのこの新カラーピッピーは
ぶたのはなさんのオリジナルソフビ「S隊員」を思わせる
色センスでまとめられており、
ソフト焼き玩具始動前夜の同社の作品と地続き感も
感じられる出来です。よく見ると頭部と胴体の成型色が
変えて作ってあるんですね。



ピッピーは文明が発達した宇宙のユートピアと称される
チドレン星からパパゴンが呼び寄せた、
チビラの家庭教師だったのですが、彼は子供の少なくなった星から
他星の子供たちを誘拐する使命を帯びた密使であったという
北朝鮮の拉致事件を先取りしたような
ショッキングな設定。一度はチビラもガキンコもうるさい
親たちから離れられるとピッピーの誘いに乗り気だったのですが
誘いが実質誘拐であることを悟ったチビラがピッピーに
裏切られたと思い計画は頓挫して、ピッピーは
パパゴンたちに捕まりトラベルマシーンで
本星に強制送還されてしまいます。
他星の親子の絆が崩壊したところに甘い誘惑で
切り込もうとしたピッピー。
パパゴン「子供は親といっしょに暮らしたほうがシアワセなんじゃよ」
ピッピー「君たちもボクと来たほうが絶対シアワセになれるんだよ~」
最後の懇願が悲しかったピッピー。




劇中ではピッピーがまるで人間標本を集めているダダのように
さかんにチドレン本星の上司らしき人物と連絡を取っていたのですが、
新カラーの駄菓子屋スペーシーなピッピーは
その画面には登場しなかった
セブン上司ならぬ「ピッピー上司」とか脳内設定にしてます。
あと、前に青線のウルトラの星の市民がぶたのはなさんから
出たから、この新カラーピッピーも「チドレン星の市民」とか(笑)

ぶたのはなピッピーの服はどこかタイツというよりは
ムームーみたいですね。
「チドレン星」は大人もこんなムームーみたいな
服を着ているのでしょうか。

キュートな姿で、レギュラーで登場していたら
番組に華を添えていたであろうに
あっという間にカイジュウ町から去り、
1話分しか登場しないハレハレ、ピッピー。
ともにはからずもカイジュウ町から排除されてしまう存在ですが、
チビラくんやガキンコたちと共に住人として
暮らしていたらどんな大騒動が・・・。

劇中キャラクターとしては、中盤から登場しカイジュウ町に定住、
たびたび話に絡んでくる頭部が電子頭脳に改造された物知りおじさん、
ナンジャーさんがいるのですが、「ハレハレがもしカイジュウ町にいついたら
こんな感じでチビラくんやガキンコを示唆する
年長者のキャラクターになっているのでは?」と思える存在でした。

実は映像作品「チビラくん」のストーリーそのものも
元々はまったく完成したものとは違うものとなる予定でした。

放映開始当初は子役の女の子・ユミちゃんを主役に
カイジュウ町にやってきた騒動記として
キグルミたちと子役の物語が描かれる
予定でした。視聴者目線風に女の子を据えたのでしょう。
そのせいでユミちゃんの出ている初期は幼児番組的要素が色濃いです。
番組前に作られた当時のグッズ類には
チビラたちといっしょにユミちゃんらしきスペーススーツの女の子が
描かれたものもあり、このキャラクター配置で行く予定だった
ことがうかがえます。

ブースカとは真逆に怪獣のセカイに人間が闖入して
きたら?という設定ということですね。そのはずが
ユミちゃんの子役があまりに幼児なため
演技やセットに入る際の精神的コンディションなどで
どうにも無理があり、(要は撮影中にたびたび泣き出したりとかで)
結局数話で降板。(本編上では書置きを残し
いなくなるというあわただしい処理)
急遽、キグルミカイジュウたち
メインのストーリーへと変更になったそうで、
製作時点の現場の混沌さやスタッフの紆余曲折ぶりが
うかがえるところです。

思えば、「チビラくん」は完成したフィルムが
本来ある姿ではなかったということですね。とにかく子役の降板を
「なんとかする」必要に迫られたスタッフが
従来から作りなれたウルトラシリーズ的な方向で「とりあえず」と
ハーフビターな風刺劇という豊穣な「実」を持たせてしまったというか。
路線が定まらない中、手馴れたスタッフたちも
子供をあやしながらヒヤヒヤ作るよりはSFブラックホーム
コメディとして毒をまぶしたりして作るほうが
作り手として知的好奇心だって沸いたことでしょう。
まあ子役の降板がはからずも作り手の暴走を引き起こすトリガーになり
アダ花を生み出したという感じカナ。

ある意味、「カイジュウ町から子供を排除したら出来た子供番組」
といったら過言か。

時間が経って見れば、ウルトラの変奏曲ともいえる風刺劇として、
また第一次と第二次怪獣ブームをつなぐ昭和感の横溢した怪獣ドラマとして、
大人にとっては寝かしておいたワインのように楽しめる番組なのだけど、
企画通りでいけば本来の子供が無邪気に楽しめるような、
「普通の子供番組」になっていた可能性が高かった、ということでしょうね。
「チビラくん」のキャラクタービジュアルだけを見ると
屈託のない幼児番組となっていたほうが自然だと多くの人が思うでしょう。

昭和の朝の時間帯に帯番組で放映されていた
SFブラックホームコメディ番組「チビラくん」。そして現代、
ぶたのはなさんがカイジュウ町の住人を次々と製品化していることで
チビラくんのおはなしは、すでに完成している物語の
くびきを離れ、ソフビを手にした人それぞれが
好きに組み立てて屈託なく楽しめる
「本来あるべき子供番組のキャラクターになる」
機会が初めて得られたといえるのかもしれません。


つ【Unlimited Sky Full Version】
最終決戦のアーチャーアリオス出撃シーンでこの曲がかかった時、
ハレルヤにピーリス中尉と呼ばれて
「マリーでいい」はグッと来たな。
TVが終わってもう一年経ったのか。いろんなシーンが
同時代的な混沌とした状況につながっていて頭を離れない作品。

http://www.youtube.com/watch?v=-tPZAYeEQc8

つ【旧ソフビブログ ぶたのはな/ピッピー】
http://pink.ap.teacup.com/kadomiumtank/247.html

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