痛みを訴えて治療院にお見えになる患者さんが多いのですが
『鍼灸治療を受けると、なぜ痛みや凝りが取れ、血行が良くなるのですか?』
と質問されます。
「痛み」というものを、東洋医学では「気」であると考えます。
気血が阻滞すると痛みが発生する事を「不通則痛」と言い。
気・血・精の不足などで臓腑・経絡が滋養されないと痛みが発生する事を「不栄則痛」と言います。
つまり東洋医学では「気」の異常が「痛み」であると考えます。
東洋医学に対して西洋医学では「痛み」は感覚神経の異常、あるいは神経の異常興奮だという考え方があります。
鍼の刺激により異常興奮の神経を鎮静させるというのが西洋医学の鍼理論です。
この西洋医学(現代医学)的な鎮痛効果の実際に目で見える現象として「軸索反射」と言う現象があります。
皮膚を鍼で刺激すると、血管拡張神経に作用し、血管の拡張が生じて血行が盛んになり、局所に紅斑が出現します、この現象を「軸索反射」と言います。
これは
「求心性神経線維の終末にある受容器を鍼で刺激すると、インパルスは求心性に伝達されるが、軸索の枝分かれ部分から逆行して末梢にインパルスが伝わ り、その神経端末部からも脊髄におけると同様な神経伝達物質(サブスタンPなど)が遊離され、血管拡張神経に作用し、血管の拡張が生じて血行が盛んにな る」
ために起こるものであり、「軸索反射」は鍼が痛みや、凝りに有効的に作用する機序の一つとされています。
西洋医学的には簡単にまとめると刺鍼による「軸索反射」が血流を促進して疼痛物質を排除し痛みや、凝り、筋疲労が改善されるわけです。