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たいせつなもの。すきなこと。

バイクの旅のころ

2010-04-10 | essay
結婚前後、夫とよくバイクで気ままな旅をした。

バイクで。と言っても、二輪免許のないわたしは
荷物と共に彼のバイクの後ろ。

週末になると、オフロードバイクにテントや寝袋、
最小限の自炊道具を積み込み、
あちこちの山や、温泉のはしご旅へ気の向くままに出掛けた。

後ろに乗って揺られていると
風は心地よく撫でてゆくし、
ちょうど大きな荷物がいい背もたれとなって
何度もうっかり居眠りまでしちゃったものだ。

彼は、学生時代の頃からともだちと
北海道一周のバイクの旅に出たり、
ひとりでもよくぶらっとテントを持って旅していたなあ。
もともと、一匹狼的で鉄砲玉のようなひと。
思えば、今はよく納まっているものだ。
[気ままなマイペース]は、今も相変わらずだけど。

バイクの気ままな旅も、まだふたりだったから出来たこと。
今や五人の大所帯。気の向くままってのは
さすがにムズカシイ。

昔、旅先の山奥で、やっと見つけた民宿に立ち寄り
お風呂だけお借りしたときに、
庭先にいた宿泊客の中年男性が
「いいねえ、若くて身軽で!僕も昔はバイクで旅したもんだよ」
と声をかけてきた。
今はもうこうよ、ってなことを言いつつ、
後ろに気配のある奥様やお子さん達をちょっと振り返りながら
苦笑いしていた。

そんな一瞬の光景が、ぐるりと時間を超えて、
今度は我が身の上に合わさる。

ああ、そうかあ。。。
あの時のオジサンは、今のわたしたちと同じ世代。
確かに、十二分に「ささやかにしあわせ」なんだけれど、
置いてきたもの、失くしてきたものも数知れず・・・。
あの時のオジサンの微妙な笑顔の内訳が、
今はとてもよくわかるよ。

「もし」とか「たら」とか、悔いるのはキライだけれど、
自分の歩いた道のりを振り返って、いろいろと物想う
お年頃なのかもしれないね、40代って。
でも、前進するための後方確認は、たいせつなことだよね。

ガレージに眠っているあのオフロードバイク。
子どもたちがもう少し大きくなって親離れしたら、
整備して、またふたりで気ままな温泉はしご旅に出よう

しかし、居眠りしないようにしなきゃね。
今度こそ眠りこけて転げ落ちそうだ~

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