森鴎外記念館の庭に、だいすきな沈丁花の花が綻びだしているのを見つけた。
この世で一番すきな香りのこの花を
今年最初に見るのが鴎外の庭だったとは・・・!
勝手ながら、吉兆のしるし?
近づくと、やさしい春の香り。
ここ、「観潮楼跡」に建つ「森鴎外記念館」は鴎外が30歳から亡くなる60歳まで暮らした土地、
千駄木の団子坂上近く。
たくさんの文筆家や文化人との交流の場、サロンのようでもあったというご自宅跡。
館内には鴎外のお人柄を偲ばせる資料が並び、
著名人からの葉書のコーナーでは、夏目漱石・与謝野寛・晶子・北原白秋などなど
そうそうたる顔ぶれの方々の直筆の葉書をモニターで裏表見ることが出来て感無量。
鴎外が娘に宛てた旅先からの葉書も、やさしいお人柄を物語ります。
映像の部屋では、わたしも子どもの頃からすきな画家・安野光雅氏が
鴎外を語るVTRが流れており、「無人島へ行くなら「即興詩人」を持っていく」
と語っていらしたのが印象的でした。
この「即興詩人」はアンデルセン作。
鴎外が10年もの歳月をかけて翻訳したものなのだそうです。
この先、ぜひ読んでみたいな。
ここには当時のまま屋敷正面門の敷石が残されています。
写真に残る通り、鴎外がここから愛馬に乗って陸軍へと出勤していたのね・・・と思うと不思議です。
時空は違えど同じ空間・・・。たくさんの文化人がここを歩いて屋敷に入って行く姿が見えてくるようです。
正面玄関前の景色。
以前はここから品川沖を臨めたという。
それでここの屋敷を「観潮楼」と名付けたのだそうです。
景色は変わっても、変わらない時空間。。。
ここを後にして、団子坂を下り、谷中を抜けて日暮里駅へと歩きながら
この道もその道も、子煩悩な鴎外が
子どもたちと散歩したりしていたのだろうなあ・・・と
自分だけそっと明治の空気を感じつつ歩いているのでした。