現存する同潤会アパートは、もうここ上野下アパートだけ。
1929年(昭和4年)竣工のこのアパートも、取り壊しが決まったそうだ。
そりゃあ・・・縁もゆかりもないよそのお宅には違いないのだけれど、
戦火も逃れ美しく現存する歴史ある建築物が消えてゆくのは、たいへん忍びない。
一目最後に見ておきたくてそっと眺めさせていただきました。
魅惑的な奥の階段・・・。入ってみたいけれど居住者以外は立入禁止。そりゃそうよね。
塀の穴にも歴史あり?
同じく同潤会青山アパート(現・表参道ヒルズ)には、晩年雑貨屋さんやら洋服屋さんやら
いろいろ小さなお店が入っていたから中へ入ることもできたっけね。
風情のある階段を、時間の層を感じながらゆっくり上るのがすきだったなあ。
今はもう形のないあちこちの建物・・・。
古いビルの階段の冷たい手すりの感触をてのひらがまだ覚えてる。
過去がこいしいわけじゃないけれど
時間の積もった味わいのある建築物には、かけがえのない魅力がある。
古い建物は、設計したひと、築いたひと、暮らしたひと、
そして流れた時間が作り上げた大きな芸術品。だよね。
カタチあるものは、いつかはなくなる。
いつの時代も、モノもヒトも同じこと。
わかってはいるのだけれどね。
春のはじまりのこの日、薄桃色のはなびらが淡く儚く見えました。