時間のしずく time drops 

たいせつなもの。すきなこと。

飴とベビーカーの頃

2010-02-19 | essay
ベビーカーを押さなくなってもう久しい。
末っ子がベビーカーを卒業したころは
なんだか手持無沙汰な気分だったなあ。

長男から数えたら十年近くベビーカーを押す日々を
過ごしていたわけだものねえ。

ベビーカーを手放したときに、
「もうワカイママじゃないんだなあ・・・」と実感した。
(あれ、もうとっくに?)

赤ちゃんを乗せてベビーカーを押していると、
街で見知らぬ年配のご婦人によく話かけられる。
皆さん、一様に「たいへんでわからないだろうけれど、
今が一番いい時なのよ~!」と
懐かしげにしみじみおっしゃる。
もうすっかりオトナになった息子さんや娘さんの
赤ちゃんの頃を想い出してらっしゃるのねえ。

今となっては、もうあの頃のおばさま方の気持ちが
よ~~くわかるわ。

わたしは「赤ちゃん好き」なタイプなので、
子育てを苦痛に感じたことはないのだけれど、
タイヘンな瞬間は多々あった。

長男が2歳、ふたり目の大きなお腹をかかえていたある日のこと。
普段そんなによそで騒ぐことのなかった長男が、
大型スーパーのなかで、我儘からとんでもなく大騒ぎして泣き出し、
ベビーカーにも乗りたがらず、わたしは荷物も抱えていて
にっちもさっちもいかない状態に。。。
なだめてもどうにも収まらない息子に、こっちまで泣きたい気持ち。

よくある光景なのだけれど、普段おとなしい彼ゆえ
こういう状況に慣れていないわたしに
周りの非難がましい視線がたいへん痛切に突き刺さる。

その時、ひとりの見知らぬご婦人がにこやかに
そっと近づいてきてくれて
「落ち着いてからあげてね」と
わたしの手にあめちゃんを2,3個にぎらせてくれた。
お礼を言うのがやっとで、すんでのところで本当に自分まで
泣き出してしまうところだった。

痛い視線もあれば、仏さまのようなひともいる。

今度はわたしの番。
ベビーカーの中のよその赤ちゃんをついのぞきこんで
にっこりしてしまう年代になった今、
あの時のご婦人のように
おおきなこころをひとに分けてあげられる人間でありたいな、と思う。

ベビーカー。
次に押すのはずっと先の孫のためかな??

シルバーカーが先だったりして?

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