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グレン・グリーンウォルド 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 その1

2014年05月28日 | 帝国・帝国主義・軍産官報複合

   グレン・グリーンウォルド 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 新潮社 2014年5月13日発行 1700円+税 

 

 ▲ 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 新潮社 裏表紙 帯 スノーデンが、世界の読者に贈ることば

注文していた『暴露』が5月26日に届く、すでに、発行日は5月25日の2刷となっている。世界24ヶ国同時刊行というから、世界ではどのくらいの勢いで売れているのだろうか。フランスの哲学者ミシェル・フーコーの『言葉と物』は、1966年の刊行当時、まるでパンのように売れたと言われたが、この本はグローバル・ファシズムの危機の真っ只中で書かれた本である。

ジョージ・オーウェルの『1984年』を誤読したばかりに、今日の世界の厄災を招いた我々自身の惰眠の日々に対し、圧倒的な一撃を浴びせることだろう。

今度ばかりは、世界が、グローバル・ファシズムに到る最後の崖っぷちにいることに覚醒させられることになる。

5月27日読了。

2012年12月1日「キンキナトゥス」と名乗るEメ-ルが 2005年から、政治ブログを立ち上げていた憲法・市民権活動弁護士・ジャーナリスト グレン・グリーンウォルドのもとに届いた。・・・・

キンキナトゥスとは何か

「ルキウス・クィンクティウス・キンキナトゥスといえば、紀元前五世紀の頃の農民で、執政官に任命されてローマを外敵の襲撃から守った人物だが、・・・・キンキナトゥスは・・・・ただちに進んで政治権力を返上し、ふたたび農民に戻ったのだ。・・・政治権力を社会的利益のために行使することの意義と、より多くの善のためであれば、個人の力を制限したり、場合によっては手放したりすることの重要性を今日に伝えている」 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 新潮社 第一章 18頁

そう、「グローバル・ファシズム帝国」 の中で 「甦ったキンキナトゥス」

帝国を構成するひとりの執政官の たったひとりの反乱=おだやかな・しかし決然とした・徹底した・生命を賭した・覚醒の物語なのである。

すでに2013年6月イギリスのガーディアン紙の番組で、報じられたスノーデンへのインタビューはデモクラシー・ナウ・日本版でも放送している。また多くのメディアでも一部は報じているのだが、その多くは、事の重大さのあまり、米国の無言の恐怖・自己規制と萎縮した報道のため、まともに報じられることがごくわずかだったのである。

デモクラシー・ナウ・日本版で紹介された ガーディアン紙 スノーデンへのインタビュー番組はここ

 
 

また、上記のデモクラシー・ナウ・日本版の放送の紹介記事が2013年7月19日当ブログにあります。ここ

エドワード・スノーデン  自分には 何が大切か 決断すべき時もある

 

 

 ▲ 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 新潮社 2014年 目次

 

 さて、目次はいたって簡素、しかしこの本、堂々の384頁

これを1回のブログでは紹介しきれないので、各章の中で、付箋を貼っていたいくつかを紹介していきたい。

一章、二章は、目次に示されているように、作者グレン・グリーンウォルドが、スノーデンからEメールを受け取り、長い間放置するも、ようやく事の重大さに気がつき、映像作家ローラ・ポイトラスとともに、香港での取材の模様を活写する。この2章で、読者はぐいぐいと、世界史の現場にたちあう興奮を覚えることだろう。また、米国政府の狼狽と怒りと恐怖、大本営化して政府のご意見を伺う多くのメディアの迷走ぶりも知ることができる。

本命の本論はリーク文書を掲げ、逐次適切な解読をすすめていく 三章の「すべてを収集する」からである。

 

たとえば、スノーデンが紹介している2010年9月10日付日付にある リーク文書55

このリストは何だ(第三章 すべてを収集する 219頁)

  ▲ これは、外交的スパイ目的のためにアメリカ国内にある大使館や領事館にNSAがアクセスしていた(ターゲットとしていた)外交施設の一覧

多くの国のさまざまな施設だけでなく、さまざまな監視法により不法に情報を収集していたこともわかる。

 ▲ リーク文書55を 理解するための用語解説 (第三章 220-221頁)

ちなみにこのリーク文書55の中に、アメリカ国内にある(同盟国たる)日本の外交施設が入っている。

ニューヨークの日本の外交施設は4つの方法で情報収集されている。日本の大使館・領事館など、テロ行為を準備しているわけではないので、目的は別にあると断定できる。別の目的つまり、事前に外交姿勢を察知し、適切な対応をとる、あるいは、勘案となっている経済政策の動向を事前に察知し、対応する磐石な準備をもって会議に望み、会議をリードし、合意文書を目的通りに作成する等々・・・

NSAによる情報収集の方法の中で、日本はこの表では4つのやり方が示されている。

1 MINERALIZE :  LANの埋め込み装置からの情報収集

2 HIGHLANDS :  埋め込み装置からの情報収集

3 MAGNETIC  :  磁気放射センサーからの情報収集

4 VAGRANT   : コンピューター画面の情報収集

とあった。

1 のLANの埋め込み装置からの情報収集 とは何だろう。

これを明らかにする記述は本書221頁から226頁にあった。

2012年、アメリカの下院情報委員会はこのような報告をしたそうだ。

中国の二大電気通信機器製造業者は「米国法に抵触している可能性があり、アメリカの定める法的義務、もしくは企業行為の国際基準に則っていない」と。さらに「中国の電気通信業者が、アメリカ市場に進出を続けていることについて、疑念の眼を持ったほうがいい」と警告した。

ところが、

スノーデンがもたらしたNSAのリーク文書には2010年6月に作成された「アクセスおよびターゲット特定部門責任者の報告書」によれば、中国に向けた警告どころではなく、「国外に輸出されるルーター・サーバー、その他のネットワーク機器を定期的に受領、押収している」と言っている。「そして、それらの機器に裏口(バックドア)監視ツールを埋め込んだ上で、ふたたび梱包し、未開封であることを示すシールを貼って、何事もなかったように出荷している」というのである。

「NSAはこうして、世界中の全ネットワークと全ユーザーに対するアクセス手段を得ていた」

というのである。

リーク文書56

は次の通り 

 ▲ リーク文書56  

 

またリーク文書57は以下の通り

 ▲ リーク文書57 『暴露 スノーデンが私に託したファイル』 新潮社 2014年 224ー225頁

 

以下はルーター・サーバー機への不正工作を仕掛ける作業の写真映像

 

 ▲ リーク文書57にある 写真  同上書225頁

このリーク文書に、作業風景が掲載されているところを見ると、これらは、マニュアル化してあり、常時このような特別アクセス工作・作業室で、ある国に送付されるはずの輸出用通信ネットワーク機器が改造され、自らの情報位置を外部に示しアクセスポイントとなるようにしていたし、現在も仕組んでいると考えたほうがいいだろう。

これは、リーク文書57 に記される通り、 「もっとも生産的」 になるわけだ。

自画自賛・冗談まじりの 「信号諜報の秘訣ーそれは文字どおり 手作り!」

これではアメリカは 「なんでもお見通し」 なわけだ。ゴッドハンドならぬ、真っ黒の悪魔の手だ。これはオバマ大統領も弁明できないだろう。

それにしてもスノーデンは、自らの命の危険を冒してまで、情報工作の奥深くをよく探索してくれた。

この本の4・5章で語られるが、大手マス・メディアは、その殆どが、国家権力の手に落ち、征服され、屈服している。悲しいことだが。

ちなみにかなり前のことになるが、アメリカのネットワーク・テレビの経営者たちがほとんど、似たような同質の寡頭・政・財・商・軍・産・複合体の巨頭たちに独占されていることを ダニエル・エスチューリンが『ビルダーバーグ倶楽部』 で曝いてみせてくれていた。当ブログの下のここ

『ビルダーバーグ倶楽部 世界を支配する陰のグローバル政府』 エスチューリン 

 

インターネットの自由の確保の戦いこそ、スノーデンの声を生かす自由闊達な表現 光の一つとなるだろう。

権力は 光 の下では生きられない ゾンビ なのだと考えよう。希望はまだあるはずだ。

 

この項 続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



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