2001年の9.11事件以後、アメリカ報道メディア言説の大政翼賛体制ぶりにはあきれたと思ったのは私ひとりだけではあるまい。どこに、独裁国を批判する「自由な社会をめざす表現」があったのか。また、どうしてかくもひどい政府の嘘を報道として垂れ流していたのか。我が家で積み上がったまま、読まれず、片隅に移動していた『ビルダーバーグ倶楽部』の本であったが、数年前ユーチューブの動画を見ている時、「ロックフェラーの友は911を事前に予告した」というアーロン・ルッソのインタビューでの言葉が頭から離れなかった。何度見ても「911事件の11ヶ月前に、ある事件が起き、アフガニスタンを攻撃し、ビンラディン捜しをすることになるとロックフェラーが言っていたと証言しているのだ。また、CFRの会員の誘いもしてきたと言っていた」 あまりにも大きな問題なので、資料を捜しながら、ことの意味を掘り下げようと思っていたのだが。この本には解決の手がかりがあった。それは実に簡単な誰にもわかることであった。その簡単なこととは?
まずは『ビルダーバーグ倶楽部』 の著者、ダニエル・エスチューリンの肩書きを書籍巻末の著者略歴から、記す。
ダニエル・エスチューリン Daniel Estulin
「ジャーナリスト。1966年3月ソ連生まれ。1980年3月反ソ活動によりソ連から追放される。父のアイザック・エスチューリンは、著名な科学者だったが、反体制活動家でもあり同郷の市民のために、言論の自由を求めたことに対する罪で、投獄され、KGBの拷問を受けて死亡した。さらに、叔父が、スターリンの悪口を言ったことを家族の誰かに密告され、チェーカー(KGBの前身)に殺害される。
一方で、祖父は、KGBの部長を務めていて、1950年代は対敵諜報部員をしていた。その関係で、KGBをはじめMI6や、CIAからも多くの情報が得られ、著者はどのジャーナリストよりも、信頼度の高い詳細な機密情報を持っている。特にビルダー・バーグの権力掌握については、多角的な分析から、衝撃的な事実をいくつも掘り起こし、何度も命を狙われた。そのため、長年カナダのトロントに住んでいたが、現在ではマドリッドに移住し、執筆活動を続けている。」
この横顔が事実であるなら、左であれ右であれ全体主義の権力と暴力とを生き抜いた、異様に鋭い嗅覚と探索力に優れたジャーナリスト・研究家ということになる。
陰謀論者として、左・右の両方の体制側の人々から攻撃されてきたのもこのような、彼の一族の歴史的経験があるからなのかも知れない。
また私は、コールマンの言う「300人委員会」の陰謀 や、「世界単一政府の計画」、「人間の再奴隷化計画」などということも、911事件が起こる前までは、気にすることはあまりなかったのだが。
911の不思議で不可解な貿易センタービルの崩壊(私には爆発+制御解体にみえた)
特に貿易センター第7ビルは、旅客機は激突していない、制御解体にしか見えない。
犯人・容疑者割り出しの異常な早さの発表、ハイジャック犯との作り話めいた格闘と、高度航行中の航空機からの涙線を誘う電話。単にパスポートを盗まれ、名前を使われたただけの、エジプトやサウジの今も生きている無実の人物を差し引くと、1機あたりの実行犯は、きわめて少数で、4機ものハイジャックそのものが実行不可能な状態。
強度の高い耐熱構造の鉄骨ビルは、熱遮断するメカニカル・フロアにより火災はそこで食い止められ崩壊しない。20時間燃えても、中心部の構造鉄骨、熱遮断するメカニカル床がきちんと残っていた、2006年2月12日に起きたマドリッドの高層ビル・ウィンド・ソル・ビル火災の事例からして、歴史上これからもあり得ない完全崩壊現象。
極めつけは、コンクリートが雲や粉のようにミクロとなった、周辺に降り積もった灰の中に、ビル制御解体に使用され鉄を瞬時に溶かす熱量を発する「テルミット」と呼ばれている物質が見つかったことが、欧米の科学者により確認されていること。もしこれが「ナノ・テルミット」クラスのものとなれば、高度な軍事機密物質で、ビル解体業者は使えず、国家しか生産・管理できないもの。ではないのか。)
このブログの案内前書きに記した通り、
アーロン・ルッソが、911事件の起きる11ヶ月も前に友人(ロックフェラー)から聞いた、「ある事件がきっかけで、アフガニスタンを攻撃する。オサマを洞窟で捜す。中東は終わりのない長い戦争になる」という謎。
など、その後実際に事実として起きたことがアーロン・ルッソが聞いたシナリオ通りになっていることに改めて驚愕した。 「思考の死角」 をもう一度徹底的に再考する必要がある。
本の目次
はじめに 新たな時代の幕開け―絶対隷属に陥る世界
第1章 ビルダーバーグ―世界を支配する秘密組織
第2章 外交問題評議会(CFR)
第3章 ロックフェラーの陰謀と三極委員会
第4章 キャッシュレス社会
結論 それは行動すること
付録1 ビルダーバーグの会話から
付録2 秘密厳守が破られ、世間にさらされたビルダーバーグ
付録3 二〇〇五年度ビルダーバーグ会議出席者名簿
この本の巻頭の言葉にこのような言葉が掲げられている。
「・・・・・大金持ちの一団、彼らは西洋地域の政治、経済、社会の各方面で、きわめて大きな影響力を持つ。その一団が人知れず集まってたくらむことは、後にたまたま起きたかのように現実となる。」 英国 『タイムス』紙 1977年
「成長の過程でナショナリズムに染まった国民に、再教育を施し、主権の一部を超国家機関に預けるという考え方になじませるのは、骨の折れることだ。」 ピルダーバーグの創設者、ベルンハルト殿下
さて、400頁を超えるこの本を1頁で紹介するのは困難だ。今回はテレビネットワークとビルダーバーグについて触れる。
はじめにと言う章では、「新たな時代の幕開け ー絶対隷属に陥る世界ー 」と題されているように、ジョージ・オーウェルをもしのぐ絶対隷属の世界が構想されていることが予告される。
1章に、アメリカの報道メディアの、大政翼賛ぶりの秘密が指摘される。
そのうちの1節 「米国五大ネットワークとビルダーバーグ」 を紹介しよう。
(以下関係人物の役職等は、ダニエル・エスチューリンが調査して得た時点の役職で、現在のものではない)
テレビ放送ネットワークが米国で、発揮する不穏な世論制御の機能としてのアメリカ3大ネットワーク局のことだ。 NBC、 CBS、 ABC がRCAを母体としていること。、
「理屈の上では、三局とも独立会社だから、間違いなく公正なニュースが視聴者に届く、ということになっている。しかし実際には多数の銀行や、複雑極まる関係を築き上げている。」
「NBCは親会社のRCAとともに、GE(ジェネラル・エレクトリック)に買収された企業だ。GEは「世界最大規模を誇る企業の一つで、長い間、労働組合とは対立したきた。そしてその事業は、兵器、金属、原子力をはじめ、幅広い分野に及び、共和党にとっては不可欠な献金企業である。」
オランダ『エクスポージャー』紙 1993年の記事には米ネットワーク各会社の取締役の顔ぶれが掲載されている。
引用開始
NBCの取締役
ジョン・ブラッドマス ロックフェラー財団理事、CFR、三極委員会メンバー
ピーター・G・ピーターソン リーマンブラザース・クーンロープ(ロスチャイルド系)元会長
ロバート・チジック RCAおよびファースト・シティバンコープ(議会公聴会でロスチャイルド系列銀行と認定)会長
トーマス・ペイン ノースロップ(米国軍事産業の大手企業)社長、ロンドン戦略研究所理事
ドナルド・スマイリー メトロポリタン・ライフ及びUSスチール会長
ソーントン・ブラッドショー RCA会長、アトランティック・リッチフィールド石油取締役、 ロックフェラー・ブラザース財団およびアスペン人間学研究所理事
ABCの取締役
レイ・アダム JPモルガン およびメトロポリタン生命保険取締役
フランク・ケリー IBM会長、JPモルガンおよびモルガン・ギャランティー・トラスト取締役
ドナルド・C・クック 投資銀行ラザード・フレールのシニアパートナー、同社の幹部はビルダーバーグ会議に出席し、クック自身はビルダー・バーグのメンバー
ジョン・T・コナー CFRメンバー、ロスチャイルド系クーン・ローブ法律事務所、元米国海軍長官、商務長官、ロックフェラー・ロスチャイルド系のチェース・マンハッタン銀行取締役、ゼネラルモーターズ取締役
トーマス・Mメイシオス ロスチャイルド系のマニファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト取締役
ジョージ・ジェンキンス モルガン系メトロポリタン生命保険とロスチャイルド系のシティーバンクの会長
マーチン・J・シュワブ マニファクチャラーズ・ハノーバー・トラスト取締役
アラン・グリーンスパン 米国FRB議長、CFR、三極委員会、ビルダーバーグのメンバー、フーバー研究所理事、JPモルガン、モルガン、ギャランティ・トラスト、週刊雑誌タイム社、ゼネラル・フーズの取締役
ユーリック・ヘインズ・ジュニア フォード財団理事、マリーン・ミッドランド銀行取締役
CBSの取締役
CBSはバイアコムの子会社で、200以上のテレビ局と255のラジオ局を系列下とする全米ネットワークを構築している。ウィリアム・ベイリーはタビストック研究所で大衆洗脳のテクニックを伝授されている。
長期にわたり、ブラウンブラザースハリマンの監督下にあり、その下のブレスコット・ブッシュが取締役として送り込まれていた。
ウィリアム・ベイリー会長 300人委員会のメンバー(ブレスコット・ブッシュは彼のためにCBS買収資金を用立てた)
ハロルド・ブラウン CFRメンバー、元米国空軍及び国防長官
ローズウェル・ギルパトリック CFRとビルダーバーグのメンバー、元ニューヨーク連邦準備銀行理事
ヘンリー・シュナフト チェース・マンハッタン銀行取締、ブルックリン研究所理事
マイケル・C・ベルジュラック レブロン会長、マニファクチャラーズ・ハノーバー・銀行取締役
ジェームズ・D・ウォフェンソン CFR 、三極委員会、ビルダーバーグのメンバー、クリントン時代の世界銀行総裁
フランクリン・トーマス CFRメンバー、フォード財団理事長
ニュートン・D・ミノウ CFR、ランド・コーポレーション取締役、ロンドンタビストック(洗脳)研究所、及びビルダーバーグ・グループに直結するデッチリー財団理事
以上のほか、CBS元社長のフランク・スタントン CFRメンバーは、ロックフェラー財団及びカーネギー研究所の資産運用にあたっていた。
(要するにロスチャイルドとロックフェラーの両家で米国の情報通信を裏側から完全に統制し、ビルダーバーグの要請に自ら対応していると言うことだ。)
FOXニュース・チャンネルはルバート・マードックの手にある。マードックのネットワークは、「共和党と深い関係にあり、共和党のギングリッジ元下院議長もかつてフォックスニュースのコメンテーターの一人だった。」
引用終わり
このアメリカの三大ネッワーク会社の取締役員構成の人脈を眺めれば、それぞれの会社に軍事産業の役員・元国防長官、空軍・海軍長官など軍事関係者が取締役として配置されているのがわかる。軍・産・官(国)・金融・報道・各種政策研究所の、水も漏らさぬ体制となっていることが明確にわかる。また、洗脳やプロパガンダなどの特殊研究所との関係者も役員をかねているのもわかる。これでは毎日が計算されたプロパガンダ放送ともいえるだろう。1993年の記事でこのような事実が明らかなっていたのだから、大政翼賛報道は冷戦終結ととともに、さらに勢いを増し数十年も行われてきたのだ。と認識するしかないだろう。
いくつも、自由で公正な報道機関があるように見えながら、
「裏では全く同質の、自由な!資本活動による、徹底した寡頭政治が断行されていると言えるだろう」
報道メディアにおける民主主義の廃棄の準備は着々と進められてきたのではないだろうか。
上記のような会社役員構成で、どのような、自由な、調査報道がなされるのであろうか、ある機関が作成した、加工済みの世界認識と情勢分析が、日々世界の現実として、製作されている。彼らが「知るべき現実を生産している」のではないだろうか。
情報筋の「忍びの者」をあえて、ネットワークに潜り込ませ、聞き耳を立てる必要はほとんどないであろう。なぜなら、 ある機関が ネットワークを 経営している ようなもの だから。
「新たな新世界秩序」には、中産階級は存在せず、あるのは、支配者と隷属者となっていくのがみえるようだ。
事態は、アイゼンハワーが大統領退任演説で憂慮していた50年以上前より、もっと深刻だということだ。
そういえば、ニクソン大統領も、正義を重んずる、ワシントンポストの二人の記者の追求と手柄によって、大統領職を辞する結果となったと一般大衆向けには注釈されている。が、エスチューリンも指摘していたが、ベトナム戦争継続と、さらなる冷戦(中国と国交を結ぶのはもってのほか)を望む一団の意向により、すげ替えさせられたというのが、まっとうな解釈なのだろう。『ディープ・スロート』のボブ・ウッドワードは元海軍情報将校であったし、アレクサンダー・ヘイグが彼の上官であった時代もあった。ワシントン・ポストとその後の彼の著作からみても、軍部と深いパイプを築いて表現活動をしているとみなせる。(『静かなるクーデター ウォーターゲート事件20年後の真実』 1993 新潮社参照)
「嵌められる前に躱(かわす)準備を」 と 著者は言う。 然り。
つづく