先日、神田神保町の三省堂神保町本店でスイス製の地図を買いました。スイスとイタリア国境に近いアルプス山々が連なる範囲の二万五千分の一のモノです。
地図の地名は "ZERMATT GORNERGRAT"、英語表記でないので、読みにくいですが、カタカナ表記すれば「ツェルマット ゴルナーグラート」の様になります。これだけでも、スイス通や山好きの方々なら、おおよその見当が付いたのではないでしょうか。
幾重にも折り畳まれた地図を広げて、かって辿った道筋を忘れかけた記憶の中から思い起こしてみました。
ベルギーの首都ブリュセル深夜発、イタリアのミラノ行きTEE(ヨーロツパ特急)に乗車、途中ルクセンブルグを縦断して翌朝スイス最後の駅、ブリーグで下車しました。
草原?の向こうに今まで乗っていた車両より遥かに小型で赤い塗色の登山電車が待っていました。何十人かの乗客が乗り換え、電車はノロノロと山肌を縫うようにして高度を上げて行きました。次第に開けてくる視界はまるでハイジとペーターの世界の様に感じました。
一時間半ほどして山間の村?終点ツェルマットへ到着。駅前には馬車が待っていて驚きました。標高千六百メートルのこの村では、環境保全のため自動車の乗り入れは規制され、代わりに荷物運搬用の電動カートと馬車が村のメインストリートを行き交っていました。
昼前にホテルにチェックインして直ぐ、更に上へ登る登山電車へ乗車。この電車もアブト式だったと思いますが、先ほどとは異なり大きな岩が露出した荒々しい山肌を一時間もかけて終着駅ゴルナーグラートへ到着。駅前には宿泊施設でしょうか大きな建物があり、そばのオープンカフェでは、アルプスの雄大なパノラマ風景を目の前に談笑する大勢の観光客の姿がありました。
そこから凍り付いた細い登山道を百メートルくら登ったところが標高三千九十メートルの山頂、午後一時頃でした。その時は運良く無風快晴、気温は零度くらい、積雪もわずか、登山の身支度をしていなかった私にも周囲の絶景を楽しむ余裕があり、今思えば大変ラッキーでした。
太陽はイタリア方向から眩しく射し、真西方向一万メートルの彼方に、爪を立てた様な独特のフォルムのマッターホーン四千四百七十七メートルがそびえ立っていました。南には、アルプス二番目の高峰、モンテローザから山肌を青白く光る氷河がこちらへ向かって流れ下るような様が見てとれ、北の方にアイガーに連なる峰々も遠望できました。しかし、なにより、マッターホーン見たさの一心で此処までやって来ました。それまで写真でしかお目に掛かれなかった名峰だけに実物を目の当たりにして言葉にならない感激のひと時を過ごしました。それは正に1970年10月31日、今から三十七年前の今日の出来事でした。
地図の地名は "ZERMATT GORNERGRAT"、英語表記でないので、読みにくいですが、カタカナ表記すれば「ツェルマット ゴルナーグラート」の様になります。これだけでも、スイス通や山好きの方々なら、おおよその見当が付いたのではないでしょうか。
幾重にも折り畳まれた地図を広げて、かって辿った道筋を忘れかけた記憶の中から思い起こしてみました。
ベルギーの首都ブリュセル深夜発、イタリアのミラノ行きTEE(ヨーロツパ特急)に乗車、途中ルクセンブルグを縦断して翌朝スイス最後の駅、ブリーグで下車しました。
草原?の向こうに今まで乗っていた車両より遥かに小型で赤い塗色の登山電車が待っていました。何十人かの乗客が乗り換え、電車はノロノロと山肌を縫うようにして高度を上げて行きました。次第に開けてくる視界はまるでハイジとペーターの世界の様に感じました。
一時間半ほどして山間の村?終点ツェルマットへ到着。駅前には馬車が待っていて驚きました。標高千六百メートルのこの村では、環境保全のため自動車の乗り入れは規制され、代わりに荷物運搬用の電動カートと馬車が村のメインストリートを行き交っていました。
昼前にホテルにチェックインして直ぐ、更に上へ登る登山電車へ乗車。この電車もアブト式だったと思いますが、先ほどとは異なり大きな岩が露出した荒々しい山肌を一時間もかけて終着駅ゴルナーグラートへ到着。駅前には宿泊施設でしょうか大きな建物があり、そばのオープンカフェでは、アルプスの雄大なパノラマ風景を目の前に談笑する大勢の観光客の姿がありました。
そこから凍り付いた細い登山道を百メートルくら登ったところが標高三千九十メートルの山頂、午後一時頃でした。その時は運良く無風快晴、気温は零度くらい、積雪もわずか、登山の身支度をしていなかった私にも周囲の絶景を楽しむ余裕があり、今思えば大変ラッキーでした。
太陽はイタリア方向から眩しく射し、真西方向一万メートルの彼方に、爪を立てた様な独特のフォルムのマッターホーン四千四百七十七メートルがそびえ立っていました。南には、アルプス二番目の高峰、モンテローザから山肌を青白く光る氷河がこちらへ向かって流れ下るような様が見てとれ、北の方にアイガーに連なる峰々も遠望できました。しかし、なにより、マッターホーン見たさの一心で此処までやって来ました。それまで写真でしかお目に掛かれなかった名峰だけに実物を目の当たりにして言葉にならない感激のひと時を過ごしました。それは正に1970年10月31日、今から三十七年前の今日の出来事でした。