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PC98なのに何故か32ビットで登場した「98NOTE/SX」

2006-08-14 20:59:15 | パソコン(PC)

 押入のお宝(ガラクタ)発掘でNECのPC-8801MK2を発見し、続いて、小型の元箱に入った同じNECのノート型のパソコンPC-9801NSが出てきました。

NECのノート型パソコンの初代機はA4ファイルサイズのPC-9801Nでした。
PC-98シリーズでは初めてのノート型パソコンで、既にデスクトップで使われていたCPUのV30(10MHz)が搭載されていました。しかし、東芝に先を越されたこともあって、慌てて辻褄を合わせたような出来の未成熟?なノート型パソコンで短命に終わりました。

余談ですが、日本初のノート型パソコンはセイコーエプソンのPC98互換機 PC-286NOTE executiveでしたが、直後に出た東芝初のノート型パソコンの二倍以上の価格だったため話題になる間も無く忘れ去られたそうです。

この初代PC-9801Nの後継モデルとして、NECが起死回生?の思いで世に出したA4ファイルサイズのPC-9801NSは、別名「98NOTE/SX」とも呼ばれ、CPUをi386SX(12MHz)に改めて1990年5月に発売されました。

 NEC PC-9801NS

先行する東芝のノート型パソコン「Dynabook J-3100SS」を越える事を期待して、従来、NECのPC98シリーズは16ビット機だったのに突然32ビット仕様で登場しビックリしました。

しかし、このi386SXは、32ビットのCPUなのに、廉価版と言う事でI/Oが16ビットのまま、32ビットならではの特徴を持ってはいませんでした。また、残念ながら32ビット命令で書かれたプログラムが当時まだ全然なかったので、その早さを実感できる機会もありませんでした。

当時は未だ、ハードディスクが一般的でなかった時代。アプリの多くがフロッピー二枚差しで動作するものでした。PC-9801NSには3.5インチFDD(フロッピーディスクドライブ)は一つしかないので、その様なアプリを動かすために内蔵のRAMがRAM-DRIVEとして使える様に設計されていました。

それでも、ノート型パソコンを待っていた私には当然ながら食指が動きました。

秋葉原のどこの店で買うかで暫く思案していましたが、当時は未だアキバに一店舗しかなかったソフマップへ行きました。

ソフマップのその頃の店内ルールは、徹底した「質問お断り」。
とにかく「値段」と「在庫」だけ聞いて、納得出来れば「それ買います」って言うだけでした。

所狭しと積んである商品の山から一台を下ろし、紐掛けして「お待たせしました~」っと手渡されました。もちろん現金決済、その代わり、アキバで一番安い価格設定をしていました。それは、たしか1990年8月だった様に記憶しています。

価格は二十五万円近くでソフマップ価格は二十万円くらいだったと思いますが、細かな数字は忘れています。当時の私にとってはとても高い買い物でしたが、それでもFDDは一台だけ。20MBのHDD内蔵モデルは更に五万円くらい必要でとても手が出ませんでした。

それでも その後すぐに、2MBのRAMカードを購入し、EMSメモリーとして、MS-DOSのRAM 640kBの呪縛から何とか逃れたいと必死でした。

OSはMS-DOS3.3Cであったと思いますが、一太郎dashとロータス1-2-3のアプリをそれぞれシステム込みのFD(フロッピーディスク)として製作し、必要に応じて抜き差しして立ち上げていました。いま思えば、FD一枚で起動してアプリが使える訳で、それなりに凄いことだと感心します。

1990年からWin95が登場した1995年頃までワープロと表計算の仕事に活躍してくれとても助かりました。今はマイクロソフトオフィスなど誰もが当たり前に使う時代ですが、当時では凄く先進的なことだった?と自分では思います。

 充電式バッテリーパック

充電式バッテリーも一時間半くらいしか動作しなかったですが、持ち歩けることが嬉しかったです。当時は生意気にもサムソナイトのアタッシュケースを持ち、PC-9801NSを小脇に抱えて仕事に出たことがシバシバありました。

しかし、バッテリ込みの全重量は恐らく3.5kgを越えていたと思います。今のノートタイプPCで2.5kgはポピュラーですが、これでも重くて、持って歩くことなど嫌われています。

それでも、パソコンを持って歩けること自体が「出来るサラリーマン」の条件の一つくらいに考えていた時代を、今さらに思い起こし、我ながら恥じ入ると共に技術の進歩に驚きを隠せません。