![Img_8499 Img_8499](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/ef/38d291bb0d3d5eaa48ad57f62e0aef56.jpg)
金沢には桜の名所があまたあるが、
中でも一番好きな、裏山の桜。
兼六園の開花から、3、4日遅れて咲き始める。
毎年心待ちにしていて、
咲く前の匂い立つ時や、
散った後の余韻さえも感じ取りに行くほど。
![Img_8440 Img_8440](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/22/e4c978ee7c13e47599a38100c3135116.jpg)
でも今年の冬は雪が多く、
かなりの枝が冬の間に折れてしまった。
上の写真の桜の枝も途中から寸断されている。
実は この大きなしだれ桜が雪の災害にあった後、
私は偶然ここに来て、
その可哀想な姿を目の当たりにしたのだ。
ばっさり折れた太い枝から
しなやかな細い枝がいくつも下がり、
まだ固い、小さなつぼみがびっしり付いていた。
![Img_0957 Img_0957](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/fd/2bdd53ede201fa33c78f3919557b6efe.jpg)
車で持って帰るには大きすぎるし、
その日は迷った末、あきらめた。
でも数日後、強い力に引き戻されるように、現場へ。
するとタイミングよく、工事の方が来て、
たまたま持っていたチェーンソーで
私の車で運べるサイズに切って下さった。
![Img_0992 Img_0992](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/89/148fbc9a17046abf515a524e52130c16.jpg)
折れた桜の枝を全部積むと、
バックミラーも役に立たないほどの状態だったが、
とにかくアトリエに持ち帰った。
親木も、車上の枝を見守る。
別れの瞬間、でも希望を託された瞬間。
![Img_0998 Img_0998](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3a/9e/81f065b3b7d443b46f63e2427c8e4db7.jpg)
大量の桜の枝を、枝ぶりごとに選別し、
花のアトリエの可能な場所を全部使って生けた。
ちゃんと咲くのかどうかわからなかったが、
とにかく祈るような気持で、生けた。
ある日、気づいた。
つぼみが少し大きくなっていた。
またある日、気づいた。
つぼみの先っちょにピンクの点が現れた。
そしてある日、小さな花びらがほころんだ。
![Img_7833 Img_7833](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/55/90/953db7e2aa6ea61bbf63480f0d211cd3.jpg)
4月10日の桜
![Img_7830 Img_7830](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/d9/8190d5abee34dfdb38d379185c560614.jpg)
4月17日の桜
![Img_8227 Img_8227](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/36/077a82215d04e253e63900a58c2faa5e.jpg)
驚くべきは、DNAの能力。
現地の花の咲き具合と、持ち帰った桜のそれが
ぴったり同じペースなのだ。
こちらは陽も当たらないし、
気温も違うはずである。
今朝の桜、ほぼ満開。
![Img_8537 Img_8537](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/c4/bddd39ec6d270e9917d28e7e145e3ff7.jpg)
アトリエの中は一気に華やいだ。
ふわぁとした優しい空気につつまれている。
![Img_8546 Img_8546](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/6e/eaf5270226843dd0af07b2e76403eae3.jpg)
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裏山の桜の方は、枝を減らした分、
残った体で懸命に花を咲かせている。
満身からみなぎるパワーのすごいこと。
![Img_8446 Img_8446](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/f4/2a8398ecd651491fa5804d9e7e9c2405.jpg)
となりの桜とも競うように咲く。
今朝は、この桜のシャワーを浴びて
どれほどのエネルギーをもらったかわからない。
![Img_8483 Img_8483](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/60/7e/0200ee35ac993844d7af8505e4480a16.jpg)
植物の潜在能力の高さを思い知った春。
人間が植物を支配しきれるわけがないのだ。
相互の関係ではあるけど、
テレパシーのようなものを持つ(と私は思う)植物には、
動物のように動く力がなくてもいいのである。
あたふたと余計なエネルギーを使わずとも、
こうして動物を動かして、
枝いっぱいの桜を咲かすことができればよいのだ。
花が咲けば、虫も鳥も人間も
吸い寄せられるように集まってくる。
![Img_8401 Img_8401](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3d/3d/f5468cde2fa7f74a8b749b2db31f338a.jpg)
時々、植物にしてやられたな、
と思うことがあるけれど、
それは、やっぱり我々は自然界の一細胞なのだな、
と再認識するということでもあるのだ。
さて先ほどから降り出した雨で、
いよいよ裏山の桜も散りはじめることでしょう。
今朝の桜の美しさを、眼の奥で再生している。
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