能登の春は、金沢より一週間ほど遅れてやってくる。
今年は冬のような寒さが長く続き、
梅も 桃も 桜も、その次の花々も
一斉に咲きそろって、
まさに春爛漫の風景が広がっていた。
奥能登の道沿いには
こうしてたくさんの桜や
水仙やチューリップが植えられている。
季節ごとに、誰かが花を咲かせているようだ。
こんな能登の人たちのあたたかさに
いつも和まされる。
車を降りて、野道を歩く。
あてずっぽうに進んで行くと、
黄色い草の道に出た。
黄色い道をずんずん歩いていくと、
昔ながらの生活風景がゆっくり流れていく。
小さな小屋の横に、小さな犬小屋。
背後の山桜の巨木が、
風雨から守ってくれているよう。
黄色い野道は、
建物や植物を避けるように、蛇行し、のびていく。
ゆるやかなカーブを曲がると、
突然、目を見張るような花の木に出会ったり、
雄大な風景に目を奪われていたら
足元から刺すような視線を感じ、
ふと見ると、小さな野花がびっしり
沿道を埋め尽くしているのである。
車のスピードでは見えないものたち。
自然はこんなにも多様な命に溢れている。
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